現代人、特に日本人は、世界でも睡眠時間が少ないと言われています。
しかし、睡眠をしっかりとることは、健やかな心身を保ち最高のパフォーマンスをするために必要不可欠なこと。睡眠不足はトレーニングやダイエット、仕事、勉強などほとんどのことに悪影響を及ぼします。
この記事では、寝不足の際に運動しても大丈夫なのか、どのような悪影響があるのかについて解説します。
寝不足で運動することのデメリット、寝不足での運動時に注意すること、睡眠と運動の関係などについて、一緒に確認していきましょう。
目次
寝不足で運動はできる? 寝不足の日に運動をするデメリット
寝不足の場合、運動はおすすめしません。寝不足時の運動がもたらすデメリットは、次の3つが考えられます。
- パフォーマンスが低下する
- ケガのリスクが増える
- 疲労が重なる
- イライラする
このように、心身にさまざまな悪影響を及ぼします。
ただし、軽い運動で血行を促進することは、寝不足による集中力の低下や気力の低下に効果的です。そのため、体を目覚めさせるといった意味でのウォーキングやストレッチなど、負荷が軽い運動はするとよいでしょう。
パフォーマンスが低下する
運動不足は運動や生活のパフォーマンスを低下させます。
寝不足のときと睡眠が足りているときとでは、ウェイトを持ち上げられる回数が減少したり、最大負荷が減ったりといった差が出ることが、2012年のイギリスUKスポーツによる研究で確認されました。
睡眠時間が6時間以下のグループと8時間以上のグループに分け、ベンチプレスやスクワットなどの多関節トレーニングに取り組ませた結果、睡眠不足のグループはすべての種目において総負荷量が減少していました。
参考:National Library of Medicine「Acute caffeine ingestion’s increase of voluntarily chosen resistance-training load after limited sleep」
ケガのリスクが増える
寝不足時には集中力が下がるため、トレーニングの際にケガのリスクが増えてしまいます。ダンベルやバーベルを体の上に落としてしまうと大変なうえ、ケガをするとその分トレーニングができなくなるため、筋力が減ってしまうことにつながります。
疲労が重なる
寝不足は、そもそも心身の疲れが完全に取れていない状態です。そこに運動を加えることにより、さらに疲労が蓄積してしまうことになってしまいます。
集中力も判断力も低下している状態でいつもと同じ運動をしようとすると、どこかに過度な負担がかかってしまいます。疲労がどんどん積み重なっていくとスムーズに回復できないようになり、慢性疲労症候群を発症してしまう恐れもあるでしょう。
イライラする
睡眠不足は精神面にも悪影響を及ぼします。
睡眠不足になると判断力が低下するため外からの刺激や情報の処理が追い付かず、脳が負担に感じてイライラを作り出します。
そのイライラを解消するために過剰な重量や回数によるオーバートレーニングをしてしまうなど、自虐的行為を誘発しやすくなるのです。
寝不足で運動する際に注意しなければいけないこと
次の2点は、寝不足で運動する際に気を付けるべきことです。
- 追い込みすぎない
- 仮眠をとる
追い込みすぎない
普段からトレーニングしている人の中には、一度運動を始めると極限まで自分を追い込むことが習慣化している人もたくさんいます。しかし、寝不足のときは体に負担がかかりやすいため、極限まで追い込むトレーニングはやめるようにしましょう。
追い込むことで疲労が蓄積しますが、寝不足の場合は心身の回復に時間がかかってしまいます。
行うのであれば、血流を促進させる程度の軽めの運動にしてください。
仮眠をとる
寝不足のままで運動すると、前述したようにケガのリスクが上がります。
そのため、日中に15分〜30分程度の仮眠をとるようにして睡眠不足を少しでも解消しましょう。適切な昼寝は心身の疲労が軽減し、集中力やモチベーションも復活させます。
睡眠と運動の関係
では、睡眠と運動の関係をみていきましょう。
人間が健康に心身を保つうえでは睡眠も運動も欠かせませんが、この2つは切っても切れない関係にあります。
- 十分な睡眠は運動のパフォーマンスを向上させ効率も上げる
- 適度な運動は睡眠の質を上げ心身を健やかに保つ
運動をするためには十分な睡眠が必要で、質の良い睡眠を取るためには適度な運動が必要です。厚生労働省が発表した「健康づくりのための睡眠指針2014」には、運動習慣がある人には不眠が少ないと記載されています。
目安としては、7〜8時間程度の睡眠を取るようにしましょう。人によって適切な睡眠時間は異なりますが、運動する方は特に長時間の睡眠により運動パフォーマンスが向上するとされています。
睡眠不足だと運動効果が低下し、運動不足だと睡眠の質が低下すると理解し、毎日の睡眠時間と質を維持するための努力をしていきましょう。
参考:厚生労働省「健康づくりのための睡眠指針2014」
寝不足や睡眠の質の低下を防ぐために気を付けること
以下の3つは寝不足や睡眠の質を防ぐための方法です。
- 習慣的に運動に取り組む
- 睡眠の直前に激しい運動はしない
- 極端な負荷をかけない
習慣的に運動に取り組む
寝不足を解消するには質のよい睡眠を取る必要がありますが、そのために必要なことは運動の習慣です。
習慣的な運動によって血流が促進されると、全身に酸素や栄養素が回りやすくなります。また体を適度に疲れさせることで、スムーズに入眠できます。
ただし、最初から激しい運動はしないようにしましょう。現在の体力では耐えられないような強度の運動をすると、疲れがなかなか取れずに長続きしません。
筋トレなどの負荷が重い運動をするなら週に2〜3回が目安です。散歩やウォーキング、エレベーターでなく階段を使用するなどの負荷が軽い運動はできるだけ毎日続け、徐々に時間を増やしていくことがおすすめです。
睡眠の直前に激しい運動はしない
あまりに負荷が強い激しい運動は、眠る前にはしないようにしましょう。大きく体を動かすことで交感神経が刺激され、興奮して頭が覚めてしまいます。
寝つきがスムーズでないと睡眠の質を上げることは難しいため、眠る前に脳が興奮することは避けるようにしてください。
激しい運動は睡眠の3時間前まで、が目安です。
極端な負荷をかけない
運動時に極端な負荷をかけると、疲れが残りやすくなります。
また、強い筋肉痛が発生すると睡眠を妨げるため、重量は少しずつ増やし、体を慣らしながら運動するようにしましょう。
寝不足は運動に悪影響! 睡眠不足のときは休息を優先しよう
寝不足は何一つとしてよいことがありません。
寝不足の状態は、疲れが取れず心身が回復しきっていない状態です。そのときに運動するとパフォーマンスが低下して苦しむばかりでなく、ケガをする恐れもあります。
睡眠不足のときは、休息を優先してください。とは言え、適度な運動はその日の夜の睡眠の質を向上させるため、疲れを感じている場合はストレッチや軽い散歩などで軽い全身運動をするようにしましょう。