- 筋肉痛の概要について
- 筋肉痛と年齢の関係について
- 筋肉痛時のケア方法と注意点
「最近筋肉痛がなかなか出ない、遅れてくるからもう年だわ」などと悲しむ方がいらっしゃいますが、実は筋肉痛の発生と年齢はさほど関係がないと言われています。
では、なぜ筋肉痛が早く出たり遅く出たりするのでしょうか?
この記事では、筋肉痛とは何か、筋肉痛の2つの種類や年齢との関係、筋肉痛のケア方法などを解説します。
筋肉痛でつらい思いをされている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
筋肉痛とは
筋肉痛と呼ばれている症状の正式な名称は「筋・筋膜性疼痛症候群」です。
これは、過度の運動や慣れていない動きを行った際に、首や肩、腕、脚などの部位に痛みが発生する状態を指します。
一般的にまとめて「筋肉痛」と言われることが多いのですが、実際には「急性」と「遅発性」の2種類に大別されます。
筋肉痛が早く現れるか、時間を置いて現れるかは、その種類の違いによるもので、日頃の運動習慣や運動量の差が影響すると考えられています。
急性筋肉痛
急性筋肉痛とは運動中から直後に起こるもので、早発性筋肉痛や現発性筋肉痛とも呼ばれます。
筋膜の部分断裂や筋肉の代謝物である水素イオンなどが溜まり、筋肉内にある痛み受容器を刺激することが痛み発生の原因と言われています。
特徴は、筋肉が熱をもって焼け付くような痛みが起こることです。
アスリートが追い込み練習をしたり、子どもが運動会の練習に懸命に取り組んだりした際に発熱することがあります。
元気だったのに、夜になって急に38度の熱が出た、といったような場合ですね。実はそれも、急性筋肉痛の一種です。
遅発性筋肉痛
一般的に「筋肉痛」と言われるのが遅発性筋肉痛で、運動後数時間から数日後に痛みとして現れます。
かつては乳酸(※)が溜まった結果などと言われていましたが、最近では「筋肉の疲労によるさまざまな作用が起こり、神経過敏になった結果」であると言われています。
筋肉を動かすと筋原線維に微細な断裂が起き、その傷を修復するために修復物質が筋肉に届けられます。
そうして筋肉は「太く強く」なるのですが、筋肉痛が遅く出る人は、修復物質が筋肉に届きにくい状態になっています。
運動不足の方に多いのが、体の細部へ栄養や酸素を運ぶ毛細血管が未発達であることです。
それが原因となり、修復物質が届きにくく、また溜まった発痛物質を老廃物として排出する動きも遅れがちになります。
そのため、筋肉痛が遅く出るだけでなく、なかなか痛みが引きません。
※乳酸:体を動かすエネルギーを作るため、糖を分解する際にできる生成物のこと。以前は疲労物質であると考えられていたが、現在は否定されている。
筋肉痛と年齢の関係
筋肉痛の原因やメカニズムについては、現在まだはっきりとは解明されておらず、いくつか説があるという段階です。
しかし「年を取ると筋肉痛が遅く発生する」という話は、あくまでも俗説であると考えられています。
基本的には、筋肉痛が発生するスピードは年齢と関係がありません。
しかし、人が年齢を重ねると筋線維がどんどんと痩せていくことは事実であり、自ずと運動能力も落ちます。
その結果、瞬発的に大きな力が出せなくなるため、筋肉痛の発生スピードも遅くなる場合が多いと言えます。
筋肉痛についてわかっていることは、以下のことです。
- 筋肉にかける負荷が高ければ高いほど、激しい筋肉痛が短い時間で発生する
- 筋肉痛には種類があり、普段の運動量の差によってどちらかが発生する
つまり、筋肉痛が遅れて出てくるのは、加齢による身体機能の低下だけでなく、運動の習慣や遺伝も関係する筋肉の質による個人差が大きく影響しているのです。
筋肉痛を和らげる6つのケア方法
筋肉痛を放置しておくと血流が悪い状態が続くことになるため、回復に時間がかかります。
つまり、栄養や酸素を全身に運ぶ役割がある血のめぐりをよくすることで、筋肉の修復に必要な栄養をスムーズに届けられるのです。
また、急激に負荷がかかった場合は筋肉が炎症を起こしているため、まずは冷やさなくてはなりません。
そのため、筋肉痛が出たときには以下のことを試してみてください。
- 冷やす
- 軽い運動をする
- 痛みに配慮したストレッチやマッサージをする
- ぬるめのお湯で入浴する
- 食事療法を試す
- しっかり休息する
冷やす
急性筋肉痛の場合、運動中に熱と痛みを持ち、運動を続けられなくなります。
そんなときは、患部に氷嚢などを当てて熱を取るようにしましょう。炎症反応を抑えて痛みを減少させます。
15分ほど感覚がなくなるまで直接的に冷やし、その後15分ほど放置してください。
そして再度冷やすというサイクルを繰り返すのが一般的な方法です。
軽い運動をする
少し筋肉痛が出ているかなという場合におすすめなのは、比較的負荷が軽い運動をすることです。
血流が促進されて栄養や酸素が全身に行きわたり、痛みが軽減されやすくなります。
ウォーキングや水泳など、負荷の低い有酸素運動が効果的です。
痛みに配慮したストレッチやマッサージをする
ストレッチやマッサージで血流促進ができます。ただし、痛みに配慮した「軽く」「優しい」レベルであることが重要です。
ストレッチをする際にはぐいぐいと伸ばすことはせず、ゆっくり慎重に伸ばすようにしましょう。
また、マッサージも同様に、軽くさするくらいのものがおすすめです。
プロのマッサージを受ける場合は問題ありませんが、自分でやるのであれば揉まないようにしてください。
筋肉の走行に逆らったり強く力をかけたりすると、筋肉が傷つく恐れがあります。
ぬるめのお湯で入浴する
遅発性筋肉痛の場合は、ぬるめのお湯にじっくり浸かることも効果的です。
お湯が熱いと筋肉に炎症が起こっている場合に悪化させてしまう可能性があるため、普段は熱いお湯が好きという方でもぬるめ(40度以下)にしましょう。
全身が温まることによって硬くなっていた筋肉が解れ、リラックスして深い呼吸をすることで酸素が全身に届けられるため、痛みは少しずつ減少していきます。
このとき、湯舟の中で痛みがある箇所を揉み解さないようにしてくださいね。触る場合は「なでる」程度です。
食事療法を試す
栄養摂取も大切です。筋肉痛であれ他の病気であれ、栄養がないことには人体は回復しません。
症状からの回復速度を促すため、バランスの取れた食事をしっかり食べるようにしましょう。
タンパク質だけでなく、糖質、ビタミン、ミネラル、カルシウムなどを万遍なく摂ることが大切です。
しっかり休息する
慣れない運動をしたり激しい運動をしたりした場合は、体が疲れています。さらに精神的なストレスがあると、人は痛みを感じやすくなってしまいます。
筋肉痛があるときは、しっかり休息するようにしてください。十分な睡眠は人体を修復するだけでなく、ストレス発散にもなります。
夜の睡眠時間は7時間以上を守り、痛むところがあるうちは運動も休むか負荷が軽いものを少しだけにするようにしましょう。
痛みがあるということは、トラブルが発生しているということです。無理にトレーニングをしないことが大切です。
筋肉痛の発生が遅いのは運動不足が大きな原因
筋肉痛が遅れて出るのは、筋肉痛の種類が異なること、そして普段の運動不足によって血流に滞りがあり、修復が遅れていることなどが原因です。
遅く出たからといって年齢のせいとは言えませんので、加齢だからといって凹む必要はありません。
筋肉痛が出ないようにするためには、普段から運動することが大切です。
負荷が軽いウォーキング程度で構いませんので、できるだけ継続して取り組むようにしてみましょう。