産後クライシスとガルガル期とは? その兆候や乗り越え方を解説 - NEIGHBORFIT | 運動で心と身体を整える

産後クライシスとガルガル期とは? その兆候や乗り越え方を解説

知育・発育

産前産後の女性に発生しやすいのが「夫や周囲の人、少しの物事に対してやたらとイライラする」状態です。

自分の感情がコントロールできなくなり、人格が変わってしまったのかと思われるほど攻撃的になることもあります。

その際に大きな影響を受けるのが「夫婦仲」です。この時期に夫婦仲が著しく冷めることを「産後クライシス」、そして産後に母親が攻撃的になってしまう期間のことを「ガルガル期」と呼びます。

この記事では、産後クライシスやガルガル期について、主な兆候や発症しやすい人の特徴、困難な時期の乗り越え方などについて解説します。

 

産後クライシスやガルガル期とは?

産後クライシスとは、出産後に夫婦間の愛情が著しく冷め、夫婦仲が悪くなる現象や特徴のことを指す言葉です。

産後早い段階で離婚まで進んでしまうケースも多々あり、家庭崩壊の大きな原因になっています。

ガルガル期とは、近年SNSで普及した「産後、手負いの獣状態になった母親」を指す言葉です。

女性が産後のホルモンバランスの変化によって精神的に不安定になり、警戒心や攻撃心が高まった結果、まるで人格が変わったのかと思うほどに気性が荒くなることを言います。

動物が出産後、子どもを守るためにガルガルと威嚇する防衛反応から連想して「ガルガル期」と呼ばれるようになりました。

産後クライシスとガルガル期は「産後」という共通した時期に出るため、合わせて使われることがよくあります。

どちらもその大きな原因は、母体のホルモンバランスの激しい変化によるものです。

ただし、過度のストレスや心身の疲れがきっかけで出るため、産後の母親のケアが十分でない場合に発生することが多いと考えられています。

母親本人も「どうしてこんなにイライラするのかわからない」と苦しむうえに、夫や周囲の人は理不尽に怒られることが増えて、やはり苦しみます。

「そのような状態になる時期」と知っているかどうかで気持ちが大きく異なるため、お互いに産後の母体の状態を理解し、協力して困難を乗り越えるようにしましょう。

 

産後クライシス・ガルガル期の主な兆候

両方に共通することは、心身共に不安定になることです。その結果、母親には以下のような兆候が認められます。

  • 理由もなく涙がでる
  • ささいなことにもイライラする
  • 気分の変動が激しい
  • 赤ちゃんに触られたくないと感じる
  • 夫に対し嫌悪感を抱く
  • 我が子を可愛いと感じられない
  • 周囲の人やものが汚く感じる

 

それまでは大丈夫だったこと、特に何も感じなかった行動までも、イライラするようになることが多いでしょう。夫の存在や言動が気に障り、声を荒らげて怒鳴ってしまうため、夫は出産で妻が変わってしまったと感じる人もたくさんいます。

お互いに孤独を感じ、愛情が徐々に減っていってしまうのです。

 

産後クライシス・ガルガル期の期間は個人差がある

産後の情緒が不安定な状態は、一般的に出産後2〜3カ月程度で一度鎮まることが多いと言われていますが、個人差があります。まったく症状が出ない人、出たけれどすぐに終了しする人、1年近く続く人とさまざまです。また、症状も攻撃的になる人もいれば、強い落ち込みが出る人もいます。

真面目で完璧主義の女性に出やすいと考えられていますが、本人の性格だけでなく、母親の置かれている環境や赤ちゃんの健康状態によっても変化します。

周囲のサポートを十分に受けられる人は、ガルガル期が比較的早く収まり、産後クライシスも収束しやすくなると言われています。そのため、できるだけ母親の疲れがでないように、環境を整えることが大切です。

 

産後クライシス・ガルガル期になりやすい人の特徴

以下は、産後クライシスやガルガル期に陥りやすいと言われる人の特徴です。

  • 生真面目・完璧主義の方
  • 初産の方
  • 産中産後に身体的ダメージが強かった方
  • 赤ちゃんに手がかかる方
  • 精神疾患を持っている方
  • 頼れる人がいない方

 

産後は、2トントラックに轢かれたのと同じ体内状態になると言われています。それほどの身体的ダメージを負った状態で授乳による寝不足期間に入るため、精神的な余裕がなくなってしまうのです。

また、赤ちゃんの体調が悪い、夜泣きが多い、癇が強い、ミルクを飲まないなど手がかかる場合、母親は自分を責め、不安定な精神状態になってしまいやすくなります。

 

産後クライシスやガルガル期の乗り越え方

では、乗り越え方をみていきましょう。精神的負担を軽減するため、以下の3つを試してみてください。

  • 産後クライシスやガルガル期についてパートナーに伝える・知ってもらう
  • 育児や家事は少しずつ手を抜く
  • 短時間でも一人の時間を確保する

 

産後クライシスやガルガル期についてパートナーに伝える・知ってもらう

まずは知識の共有が必要です。

産後にホルモンの影響でイライラしやすくなること、些細な事がとても気に障ること、たとえ身内であっても赤ちゃんを触られることに拒否感を抱いてしまうことなど、できるだけ言葉にしてパートナーや家族に伝えてください。その際、感情的にならないように努力し、事実として淡々と伝えることが大切です。

インターネットにある情報や、育児関連の本などを説明に利用してみてください。より詳細に事実や例を含めて伝えられるようになります。

 

育児や家事は少しずつ手を抜く

今までは自分でコントロールできたことも、育児が関わると基本的には思い通りにはなりません。家事はこのレベルではなければならない、子どもはこう育てなければならないといった「絶対○○」の考え方を、一度消してしまいましょう。

「〜ねばならない」は、自分で決めた縛りであることが多いもの。今は自分ひとりの生活ではないという事実を受け入れ、少しずつ手を抜いて、心身の健康を守ることに注力してください。

 

短時間でも一人の時間を確保する

産後、体調が改善してきたら、一人の時間を確保すべく努力しましょう。30分でも1時間でも「好きなことができる時間」があるだけで、精神的負担は変わります。

パートナーに協力を願って、週末に2時間一人で外出させてもらう、一時預かりを利用して美容院へ行くなど、いろいろ調節してみましょう。

 

産後に注意したい精神的な疾病

ガルガル期が長引いているという場合、産後うつや産褥精神病が疑われます。

産後うつは、育児が本格化する産後すぐから3カ月ころにかけて発症する精神疾患です。不眠ややる気の喪失、食欲不振、気分の落ち込みや極度の疲労感などが続くといった症状があります。母親の状態がひどい場合は、子どもの世話は到底できません。子どもを離して入院するなどの対応が必要です。

産褥精神病はごく稀に、500〜1000回の出産に1回の割合で発症する精神疾患です。産後、母親は幻覚や幻聴、妄想などに悩まされるようになります。発症の予測は困難であるうえに、発症すると急速に悪化するため迅速な対応が必要です。

参考:Medicak Note「産褥精神病

 

産後クライシスやガルガル期について正しく知ろう

産後クライシスやガルガル期は、母親本人にとっても周囲の家族にとっても大変つらい現象です。ただし、知っているか知っていないかによって受け止める気持ちの余裕が異なるため、正しく知識を身に着けておく必要があります。

困難な時期ですが、やがて必ず収まります。お子さんの誕生という幸せを堪能し、ゆっくりと新しい家族を作っていくため、産後の母体に関する知識を共有して心身を整えていきましょう。

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