運動が心身によい影響を与えることは数々の研究で認められていますが、自己肯定感を高めることも確認されています。
大量の情報が瞬時に手に入る現代社会では、自己肯定感は心の健康を保つためにとても重要な要素です。
ストレスに対して強くなり、困難な状況でも前向きに対応できる力を身に着けていきましょう。
この記事では、自己肯定感と運動の関係や、自己肯定感を高めるための運動のポイントなどを解説します。
目次
自己肯定感とは
自己肯定感とは、自分を肯定的に受け入れ、その存在を「価値があるもの」として認識する感覚や意識を指します。
自己肯定感の高さは精神的な健康に大きく関係するため、非常に大切です。子どもから大人まで、できるだけ自己肯定感を高めることで「しなやかで強い心身」を維持できるようになります。
参考:National Library of Medicine Physical activity and self-esteem: testing direct and indirect relationships associated with psychological and physical mechanisms
自己肯定感が高い状態
自己肯定感が高い状態の人は、以下のような特徴があります。
- 自信を持っている
- 失敗を乗り越える力がある
- ストレスに強い
- チャレンジ精神が旺盛
- 他人と比較しない
- 情緒が落ち着いている
- 人間関係を良好に保てる
- 幸福感が高い
自分に対し価値を認めているため、全体的にネガティブになりません。精神的に安定しており、新しいことに興味を持つと躊躇せずに挑戦する傾向があります。
自己肯定感が低い状態
そして自己肯定感が低い状態の人には、以下のような特徴があります。
- 他人をうらやむ
- 失敗するといつまでも落ち込む
- ストレスに弱い
- チャレンジしようとしない
- 承認欲求が強くなる
- 周囲の顔色をうかがう
他人と自分を比較することは誰にでもありますが、自己肯定感が低いと他人をうらやましいと思うだけで、向上心がなくなってしまいます。
また、承認欲求が強く、依存症やメンタルの不安定を引き起こしやすくなります。
自分に自信がないことで些細なことでも悩み、他者とのコミュニケーションも苦手になるため、学校や職場といった場所を苦痛に感じることが多いでしょう。
自己肯定感と運動の深い関係
自己肯定感を高める方法にはさまざまなものがありますが、中でも運動との関係は深いと言われています。
運動をすることで健康的な体を手にできるだけでなく、精神的な健康も育てられます。
その理由は、運動によって体形が変化したり体力が向上したりするほか、ホルモン分泌によるストレスの軽減や、設定した目標を達成することによる満足感などが得られるためです。
運動による体の変化
運動することで筋肉がつき、脂肪が減るなど体形の変化が感じられるようになります。体力も向上するため、疲れにくくなるでしょう。
自分の努力が目に見える形となるため、自然に自己肯定感が高まります。
運動によるエンドルフィンの分泌
運動することで、以下のような脳内物質が分泌されます。
- エンドルフィン:「脳内麻薬」と呼ばれる神経伝達物質で、多幸感をもたらす。
- セロトニン:気分や感情を調整する神経伝達物質で、精神状態を安定させる。
- ドーパミン:運動制御や感情調整などの役割を持つ神経伝達物質で、幸福感やモチベーションを作る。
「幸せホルモン」と呼ばれるこれらが分泌されることで、ポジティブな気持ちになりやすくなります。
目標設定と達成感の獲得
運動には目標設定がつきものです。たとえば「今日は縄跳びをする」「10回飛ぶ」など小さな目標を設定し、達成していくことで自分に自信が持てるようになります。
達成感を積み上げることで、自己評価も高まります。
自己肯定感を高める運動のポイント
運動の種類や頻度、期間などについては、現在もさまざまな研究が進んでいます。
しかし、以下3つのポイントは、効果的であるとすでに認められたものです。
- 継続的な運動が自己肯定感を養う
- 有酸素運動を取り入れる
- 1回の運動は30~60分が目安
継続的な運動が自己肯定感を養う
単発の運動でも効果はみられますが、半年ほど続けることでどんどん自己肯定感が高まります。
継続を大切にし、長い目でみて自己肯定感を育てていくのがよいでしょう。
有酸素運動を取り入れる
筋トレは、理想の体型を作ることや、筋量をアップして疲れにくくする効果が見込めます。
しかし、脳内物質を分泌させ、ストレスを軽減するのは心肺機能を向上させる中強度の有酸素運動です。
- ウォーキング:軽い早歩きで30分以上
- サイクリング:あまりギアを上げずに20分以上
- ランニング:自分のペースで30分~60分程度
- ダンス:エアロビクスなど動きの大きなダンスを20分以上
大掃除のような全身を使う動きも有酸素運動に入ります。
たとえば有酸素運動で代表的なランニングは「走った」「頑張った」といった達成感が得られやすいうえに、走行距離や時間が記録として残りやすい種目です。
一定期間は知ることで「ドーパミン」や「エンドルフィン」などが放出され、すがすがしい気持ちになります。
有酸素運動をしたあとは快感と幸福感に包まれ、自然と明るい気持ちになるため、自己肯定感が上がりやすいのです。
1回の運動は30~60分が目安
世界保健機構(WHO)によると、運動は1回につき30分から1時間程度続けること、そして週に最低150分は運動することが推奨されています。
目安を週に3〜5回、1回30分〜60分程度にし、中強度の有酸素運動を含んだエクササイズを目指しましょう。
参考:WHO身体活動・座 World Health Organization
自己肯定感を高めるためのおすすめの運動
運動には多くの種類がありますが、中でも自己肯定感を高めるために効果的とされているものは「チームスポーツ」そして「ヨガやピラティス」、「ダンス」です。
チームスポーツ
野球やサッカー、バレーボールなどの球技に代表されるチームスポーツは、他人と協力しあうことで自己肯定感を高められます。
仲間と一緒に目標のために努力し、達成する喜びは大きなもの。
コミュニケーション能力も養えるため、子どもには特に有効です。
ヨガやピラティス
ヨガやピラティスは、心身のリラックスを促進する運動です。
呼吸を意識して心を落ち着け、自分の心身と対話をしながら体を伸ばしていきます。
自己肯定感を高めるためには、自分を見つめなおす静かな時間も必要です。
柔軟性やバランス感覚を養いながら、ゆっくり自分を受け入れていきましょう。
ダンス
音楽に合わせ、楽しみながら体を動かすのがダンスです。
ストレスが軽減され、汗をかくことで気分もリフレッシュされます。
ダンスの動きを理解し踊れるようになることで達成感も得られ、自己肯定感の向上につながります。
他の人たちと合わせて踊るダンスでは、チームスポーツ的な効果も得られるでしょう。
運動を継続して自己肯定感を高めよう!
精神の健康のためには自己肯定感がとても大切です。
その自己肯定感を高めるためにおすすめの方法が、運動をすること。
体を動かすことで理想の体形やポジティブな思考を手に入れ、無理なく自己肯定感を高めていきましょう。