子育てをしていると、子供を叱ることは日常茶飯事です。
子供は突然道路に走り出したり、時間がないのに我がままで困らせたり、お友達を叩いてしまったりするため、ハラハラやイライラといった感情でいっぱいになってしまうこともあるでしょう。
しかし、子供を叱るとき「これで大丈夫だろうか?」と不安を抱える方がたくさんいます。叱ったあとに自分の行動を振り返り、自己嫌悪で落ち込んでしまう方もいるかもしれません。
そのため、この記事では子供の叱り方について解説します。叱ると怒るの違いは何か、叱ることによる影響と怒ることによる影響、子供を叱る際のポイントなどについて説明しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
子供への「叱る」が「怒る」になっていませんか?
子どもを叱るというのは、正しい行動へと導くためにすること。「叱る」と「怒る」という言葉は似ていますが、実際には大きな違いがあります。
叱るは間違ったことを正しいことへと指導することで、怒るは我慢できない自分の感情をあらわにして相手にぶつけることですね。
そのため、怒ることは控える方がよいですが、叱ることは悪いことではありません。
ただし、叱り方は学校では習わないため、今までに自分が経験してきたやり方を真似ることが多くなってしまうでしょう。その結果、叱っているつもりでもただ怒っているだけになっている親御さまはたくさんいます。
ときには時間を取って、自分が感情的に怒鳴っているだけなのか、子どもの行動を良い方向へと促しているのかを、じっくり考えてみることも必要でしょう。
なお、いかなるときでも暴力はNGです。躾で叩くという話を見聞きしますが、暴力は暴力以外の何物でもありません。親がそれを理解しておくことで、育児中にとてもイライラしたときでも、感情的に手を出すことを防止できるようになります。
子供を「きちんと叱る」ことによって期待できる良い影響
子どもを怒るのではなく叱るようにすると、以下の良い影響があると考えられています。
- 命や安全を守る知識が身につく
- 他人の心身を傷つける行為を抑制・防止する
- 社会的ルールが身につく
命や安全を守る知識が身につく
命にかかわることや安全が脅かされるようなことは、叱る必要があります。子供が危険なことをしたときに一番近くにいる親が注意し、行動を叱ることで、危機回避能力が育つのです。
一時、子供の自尊心を育てるためと「叱らない育児」が話題になったことがありますが、子供本人やそのほかの人の命・安全にかかわるようなことは、しっかり叱らなくてはなりません。
自分や他人の安全を守る力を身につけさせましょう。
他人の心身を傷つける行為を抑制・防止する
人に危害を加える行為をしたときに叱ることで、してはいけない行動だと学びます。
誰であろうと、暴力や暴言で他人を傷つけてはいけないことをしっかり教え込むことで、人と絆を結び、社会の中で生きる協調性を身につけられます。
社会的ルールが身につく
間違ったことをしたときに親が叱ることで、社会のルールが学べます。
たとえばレストランやスーパーで走ると、事故を引き起こす可能性がありますよね。走ること自体は悪いことではありませんが、場所を考えなければならないと教える必要があります。
子供は良いことと悪いことの区別がつきません。親が叱ることで、徐々に社会のルールを覚えさせましょう。
子供を「感情的に怒る」ことによって懸念される影響
親が感情的に怒ってしまった場合、子供に影響すると思われるのは以下のようなものがあります。
- 恐怖で行動がしにくくなる
- 自己肯定感が下がる
- 学習の機会を失う
恐怖で行動がしにくくなる
大きな声で怒鳴ると、子供は怯えるばかりで話の内容を覚えていません。
怒られた原因は覚えていませんが、恐怖はしっかり植え付けられるのです。
そのため、新しい行動をしようとしたとき、怒鳴られる恐怖を思い出してチャレンジを諦めてしまうようになることがあります。
自己肯定感が下がる
あの子はできるのに、といった他人と比べる言動をするとき、親としては意欲を高めようとしているつもりかもしれません。
確かに子供によっては悔しさをバネにできる子もいるでしょう。
しかし多くの場合、親からそのように言われると逆効果です。子供は比べられて否定されることで、自分はダメなのだと自信をなくすだけになります。
躾ではなく、子供の劣等感を育ててしまう可能性が高いでしょう。
学習の機会を失う
子供は大人のようにスムーズには体を動かせず、頭も回りません。
失敗して経験を積むことで対応が上手になってくるため、失敗するたびに頭ごなしに怒鳴っていると、恐怖が先だって学習の機会を失ってしまいます。
子供を叱る際のコツ
子供を叱る際にはコツがあります。子供の心を健全に育てるため、以下のことに気を付けるようにしてみましょう。
- 目線を合わせる
- 理由を述べる
- 叱る理由は1度に1つにする
- その場で短く話す
- 一度気持ちを肯定する
目線を合わせる
高いところから見下ろすと、それだけで威圧感がでて子供は怯えてしまいます。
叱るときはしゃがんで子供と目線を合わせ、体ごと向き直って話すようにしてください。
スマートフォンを見ながらや台所を片付けながらなど、何かをしながら子供を叱ろうとすると大人の本気は伝わりません。
理由を述べる
子供は理由がわからずに間違いをおかしていることが多いもの。
叱る際にはなぜ叱られるのか、その理由を述べることが大切です。
なぜ叱られているのかを本人が理解すれば、同じことは起こりにくくなります。
叱る理由は1度に1つにする
叱っているうちにいろいろと思い出し、アレもコレもと言いたくなってしまうことがあるかもしれません。
しかし、叱るときは1つのことに集中しましょう。話が広がると子供が混乱し、叱られている原因がわからなくなります。
その場で短く話す
叱られる時間は誰でも嫌なものです。
長々くどくどと話すのではなく、短くきっぱりと話を終わらせるようにしましょう。短い方が伝えたいことがストレートに伝わり、子供も理解しやすくなります。
また、外でお友達と遊んでいるときなどに「これはダメだな」と感じることを子供がした場合、その場で注意するようにします。
人目を気にして家に帰ってから叱ろうとするのではなく、少し端へ連れて行ってその場で叱ることも大切です。
子供は「今」を生きているため、時間があくとできごとそのものを忘れてしまいます。
一度気持ちを肯定する
子供なりに理由があってダメなことをしてしまったときは、一方的に厳しく叱っても逆効果になることが多いでしょう。
たとえば友達と遊び道具を取り合いしていて、子供が相手の子を強く押してしまったような場合です。
押すことは暴力ですから、それを叱る必要はあります。しかしその前に「道具を取られて嫌だった」という子供の気持ちに「嫌だったんだね」と寄り添うようにしましょう。
子供を叱るとは愛情を持って躾をすること! 叱ったあとはフォローも忘れずに
子供を叱るという行為は、本来、子供を正しい方へ導くこと、つまり「躾」です。決して親の言うことを聞かせるためでも、自分の感情のはけ口にするためでもありません。
子供は何度も同じ間違いをしますし、口答えをすることもあるでしょう。しかし、子供の健全な心を育てるためには、親が辛抱強く付き合うことが大切です。
幼少期の子供の場合は、叱るというより「大事なことを伝える」といったイメージを持つとよいかもしれませんね。
気持ちの切り替えがうまくできない子もいるため、叱ったあとは頭をなでたり抱きしめるなど、フォローも忘れないようにしてくださいね。
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