ダイエットや健康を意識する方はメタボリックシンドローム(メタボ)という言葉は聞き慣れた言葉かと思いますが、メタボとは下っ腹が出てるということ? お腹がどのくらい太るとよくないの?など、気になる方もいらっしゃるでしょう。
メタボリックシンドロームは、心臓病や脳卒中などの大きな病気を引き起こす原因となりやすく、メタボの判断基準のひとつに腹囲が入っています。
この記事ではメタボとは何か、メタボと診断される腹囲の数値や正しい腹囲の測り方、メタボを予防・改善するための方法などを解説します。
目次
メタボとは?
メタボとは、メタボリックシンドロームを略した言葉です。
お腹の内面や内臓周囲に脂肪が蓄積する「内蔵型肥満」であり、さらに脂質代謝異常と高血圧、高血糖のいずれか2つが当てはまる状態を指して言います。
メタボ状態は動脈硬化を促進し、脳梗塞や心筋梗塞といった大きな病気にかかるリスクを高めます。
中高年から計測されるために中高年の病気と思われがちなのですが、実際には年齢や性別を問わず若い人でもメタボ状態になります。
将来の生活習慣病を防ぐためにも、若年の内から運動習慣や食生活の見直しなどを心がけるようにすることが大切です。
メタボだと診断される腹囲と基準値
日本では、ウエスト周囲径を以下のように定めています。
男性腹囲:85㎝以下
女性腹囲:90㎝以下
腹囲が男性85㎝以上、女性90㎝以上になると、内臓脂肪面積が男女ともに100㎠に相当すると考えられるためです。これにプラスして、以下の3つから2つの項目で基準値を超えた場合はメタボと診断されます。
【血清脂質】
トリグリセライド(中性脂肪)150mg/dl以上かつ/またはHDLコレステロール 40mg/dl未満
【血圧】
最高血圧 130mmHg 以上かつ/または最低血圧 85mmHg 以上
【血糖】
空腹時血糖値 110mg/dl 以上
参考:e-ヘルスネット「メタボリックシンドロームの診断基準」
腹囲がメタボ診断に含まれる理由
メタボかどうかを診断するために腹囲を測るのは、腹囲を測ることで内臓脂肪がどのくらい蓄積しているかがわかるためです。
本来、内臓脂肪の蓄積はCTスキャンなどでの測定が望ましいのですが、一般の健康診断での使用が難しいため、腹囲を利用します。
男性の方がメタボになりやすい
男性はもともと内臓脂肪がつきやすく、女性は皮下脂肪がつきやすいという傾向があります。
そのため、女性に比べて男性の方がメタボになりやすく、中高年になると男性は少し太っただけでも内臓脂肪がつき、お腹が出てきます。
ただし内臓脂肪よりも皮下脂肪の方が落としにくいため、男性は運動をすると早めに効果を実感できますが、女性の方が痩せにくく、効果を実感しにくいでしょう。
自分はメタボ? 腹囲の正しい測り方
腹囲の正しい位置は、おへそがある位置かその少し上です。
正しくは肋骨下縁(肋骨の一番下にある骨の下側)から前上長骨棘(腰骨の両側にある出っ張り)までの高さの中心が腹囲となり、いわゆるウエストラインではありません。
【腹囲の正しい測り方】
- 両足を揃えて真っ直ぐ立つ
- 息を吐いて力を抜く
- 体の中心線に対して直角になるようにおへそに重なるのところでメジャーを巻く
メタボ検診では測る位置を変えることもある
健康診断などで腹囲を計測する際、基本は前述したようにおへそがある位置で測ります。
ただし肥満が目立つ、お腹がたるんでいるなどの場合、看護師さんが必要と判断したらおへその位置で測らないケースもあるため、少しずれた場所で測られたとしても間違いではありません。
腹囲を測る理想の時間帯は朝食前
腹囲の理想的な測定時間は午前中、朝食をとる前とされています。
これは、起床後トイレを済ませた状態がむくみも解消されたうえに、食べ物の影響もほぼ受けない状態の腹囲を測れるためです。
数字を見ることは、自分の意識を変える強力な方法になります。毎朝腹囲を計測する習慣をつけると、運動をしようとか食事に気を付けようといった意識づけになるため、ぜひ測るようにしてみてください。
メタボの予防・改善法
メタボを予防・改善する以下の方法を、それぞれみていきましょう。
- 食事
- 運動
- 嗜好品
食事
1日3食、栄養が偏らないようにバランスよく食べ、暴飲暴食を避けましょう。腹八分目は健康を維持するための目安です。
そして食事ではまず野菜を食べるようにし、よく噛むことで満腹中枢を刺激して食べ過ぎないようにします。
成長期を過ぎた成人は、夜ご飯の炭水化物は減らし気味で考えるくらいが適当です。夕食ではなるべく主菜を食べるようにし、白米はお茶碗に1杯程度で抑えましょう。
運動
摂りすぎたエネルギー(カロリー)は、運動で消費することが大切です。
特におすすめなのは、よく歩くようにすること。歩行は優秀で、道具が不要の全身運動です。日ごろから歩くことを意識するだけで、特に運動不足だと自覚がある方なら、体の変化を短期間で感じられるでしょう。
ストレッチやラジオ体操なども負荷が軽いため、毎日行うようにしてください。
また、性別によってつきやすい脂肪の種類が異なるため、男性は筋トレをメインに、女性は有酸素運動をメインに体を動かすことをおすすめします。
男性は筋トレをメインに
前述した通り、男性は女性に比べ内臓脂肪がつきやすいのですが、内臓脂肪は細胞レベルが小さく消費もされやすいという特徴があります。そのため筋トレで筋肉量を増やし、基礎代謝を上げることがおすすめです。
女性は有酸素運動をメインに
女性は男性に比べ、なかなか消費されない皮下脂肪がつきやすいため、運動しても短期間での痩せは期待できません。
短時間の筋トレで筋肉量を上げるとまずは体が大きくなってしまうため、20分以上の有酸素運動を続け、じっくり脂肪を燃焼させていく方法がおすすめです。
嗜好品
嗜好品をコントロールすることで、メタボ予防につなげましょう。
タバコやお酒は手軽なストレス解消に好まれますが、楽しさ、美味しさの反面、病気のリスクはどうしても高くなります。できるだけ摂取しないように心がけましょう。
完全にやめられない場合でも、意識的に控えるようにすることが大切です。
たとえば、お酒を飲むと気が大きくなるうえにおつまみが進むことで、塩分の摂りすぎ、カロリーの摂りすぎを招きます。ただしお酒も糖質が少ない種類(蒸留酒:ウィスキーや焼酎、ワイン)を選んだり、おつまみをスナック類からチーズなどの健康的なものに変えることで少しずつメタボ改善ができます。
禁煙はどうしても難しいという方は、禁煙外来の力を借りることも検討してみましょう。薬の力を借りると、禁煙までの工程が多少楽になるかもしれません。
メタボ予防のためにも腹囲は定期的な計測がおすすめ
メタボリックシンドロームは、内臓脂肪型の肥満に加えて、高血圧、高血糖、脂質代謝異常が重なった「病気になりやすい状態」のことです。
少しでも健康寿命を延ばすため、できるだけ早い内からメタボ予防を始めるようにしましょう。
最初に習慣化してほしいことは、毎朝の腹囲計測です。自分の腹囲の数値を知ったうえで、運動・食事・嗜好品のコントロールに挑戦してください。
効果的に内臓脂肪を減らすことで、健康と達成感を手に入れましょう。
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