- 糖化と老化の関係について
- 糖化が引き起こす悪影響について
- 糖化を防ぐ食事方法について
アンチエイジングの研究が進むにつれ、老化を進める原因のひとつに「糖化」があるとわかり、さまざまな分野で注目されています。
糖化によってできた物質は、人の肌や血管、細胞組織にダメージを与え、肌荒れやシミ・シワ、白内障、動脈硬化といった症状や病気の原因になるのです。
この記事では、糖化とは何か、なぜ糖化が老化を早めるのかについて解説します。
糖化による問題や症状、そして糖化を改善・予防するための食生活の見直しについても説明しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
老化を進ませる糖化とは?
糖化とは、糖とタンパク質、脂質が結合する反応のことを指す言葉です。
食事で糖質を多く摂取すると、余った糖分は血液中に漂い、タンパク質と結合、変質してAGEsを発生させてしまいます。
AGEsとは「終末糖化産物(Advanced Glycation End Products)」のことで、これが生成されることを発見者の名前を取ってメイラード反応(糖化反応)と呼びます。
AGEsはつまり、劣化したタンパク質の最終状態と言えるものです。
タンパク質が持つ本来の働きが損なわれるうえに、劣化したタンパク質を排除しようとした免疫細胞によって、炎症反応が引き起こされます。
細胞や髪、肌、爪など、人体はその20%がタンパク質でできているため、AGEsが増えることによる影響はとても大きく、老化が進むことになります。
「糖化」と「酸化」の違い
人の老化を進ませるもので糖化と似た言葉には「酸化」があります。ここで、酸化と糖化の違いを確認しましょう。
酸化
体内の活性酸素が脂質やたんぱく質、酵素、細胞のDNAを傷つけてさまざまな疾病を引き起こすことです。
鉄が酸素で錆びてボロボロになることと似ているため「体が錆びる」とも言い表されます。
糖化
体内に過剰に摂取した糖分がタンパク質や脂質と結び付き、細胞などを劣化させる現象です。
糖化によって作られるAGEsは内臓などの体内組織に作用し、多くの病気を引き起こす原因となります。ホットケーキを焼くと表面が茶色く焦げる反応と似ているため「体が焦げる」とも言い表されています。
肌の老化の原因は、酸化が7割で糖化が3割と考えられているため、酸化の方がより影響はありますが、糖化についても気を付けなければなりません。
糖化による問題や症状
糖化することによる問題や、症状は以下の通りです。
糖化することによる起こる症状
- 肌のたるみやシワ
- 皮膚の変色
- 肌の乾燥
- 動脈硬化
- 組織の炎症
- 白内障
肌のたるみやシワ
体内で大量にAGEsが生成されると、タンパク質でできたコラーゲン繊維を変形させてしまいます。
コラーゲン繊維は人の体形や肌の弾力、機能の維持を担当する大切な繊維です。
そのコラーゲン繊維が変形すると、正常な構造が破壊されて弾力性を失うため、たるみやシワが起こる原因になります。
さらに糖化反応で生成された老廃物は皮膚の細胞に沈着しやすいため、シミやくすみが発生してしまいます。
皮膚の変色
AGEsは褐色であるため、皮膚の細胞に沈着すると肌が黄色っぽく変色して見えることがあります。これが肌のくすみですね。
AGEsが体内に溜まっている人ほど肌の赤味が弱く、黄色味が強くなります。
血色が悪く不健康に見えてしまうため、女性の中にはお化粧でカバーしようとして厚塗りになり、さらに肌の状態が悪くなってしまうという悪循環に陥る方もいます。
肌の乾燥
AGEsにより、体内で炎症反応がごく少しずつ進んでいきます。
その影響を受け、肌細胞の保水力が奪われていき、肌の乾燥を招きます。
肌の保湿成分の生産を促し助ける酵素の主成分は、糖化されやすいタンパク質です。
そのため、糖化によって保湿成分の分泌が阻害されると肌は乾燥し、みずみずしさを失っていきます。
動脈硬化
コラーゲンは血管の壁を作る成分でもあるため、AGEsが血管に影響すると血管の弾力性も失われてしまいます。
その結果、血管がもろくなり動脈硬化が起こりやすくなります。
組織の炎症
AGEsは前述したように、簡単に説明すると劣化したタンパク質です。
これを体内から排除しようとする免疫細胞によって、炎症反応が起こります。
この際の炎症反応は、ウィルスなどに感染したときに起こるような激しい反応ではありません。
しかし、長期間くすぶるようにしてじんわりと炎症反応が続き、慢性炎症を招いてしまいます。
慢性炎症は糖尿病や動脈硬化など、加齢にともなって増えていく複数の病気の原因になると考えられているため、注意しなければなりません。
白内障
眼球の水晶体もタンパク質で構成されています。
この水晶体が濁り、視力低下が起こる病気が白内障です。
水晶体が濁る原因は、水晶体を構成しているタンパク質にAGEsが蓄積されるからであると考えられています。
糖化しやすい生活習慣とは
以下の生活習慣を持っている方は、糖化しやすい人であると言えます。
いくつ当てはまるかを確認してみましょう。
糖化チェックシート
- パンや麺類など小麦由来の食品をよく食べる
- 食事は炭水化物から食べる
- お菓子やジュースなど甘いものをよく食べる
- 仕事やプライベートでストレスを感じることが多い
- 睡眠が6時間未満
- 運動習慣がない
- 野菜をあまり食べない
- 早食い
- 若いころと同じ食事量
人間の細胞はタンパク質と細胞から作られており、糖は生命維持のために必要なエネルギー源です。
そのため老化の原因となる糖化を引き起こすからといって糖の摂取はゼロにはできませんが、毎日の食事で炭水化物が多かったり、お菓子やジュースをよく摂取するという方は、糖が過剰になっている恐れがあります。
また、睡眠不足であったり運動不足であったりすると、基礎代謝が下がり体内の脂肪燃焼効率が下がってしまいます。
生活習慣を整えて基礎代謝を上げ、脂肪燃焼率を向上させることも、糖化防止には必要です。
▼糖質抜きダイエットについては以下の記事で詳しく解説しています。
糖化を防ぐには食事の見直しから!
糖化はごく自然な反応で、体に余分な糖分があると必ず発生するものです。
しかし老化を少しでも遅らせるために、糖分の摂取を控えることはもちろん、食事の内容や食べ方、調理方法などを見直す必要があります。
以下の内容を、意識的に実践していきましょう。継続することで徐々に体の内側から変化していきますよ。
糖化を遅らせる食事方法
- 野菜を先に食べる
- よく噛む
- 間食やおやつを控える
- 炭水化物の摂取量を控え目にする
- 食材は「生」か「蒸す・ゆでる」もしくは「煮る」を心がける
糖化が最も進むのは、血糖値が急激に上昇するときです。
つまり、血糖値の上昇を緩やかにすると、糖化を抑制できるということですね。
そのためにはベジファーストが簡単です。
食事の際には、野菜やきのこ類から食べ、続いて肉や魚といったタンパク質、最後に炭水化物のご飯やパンを食べるようにしましょう。
よく噛むことで満福中枢を刺激して食べ過ぎを防ぎ、炭水化物の量は控え目にしてください。
また、できるだけ油を使わないことも大切ですよ。
老化の原因のひとつ「糖化」を少しでも抑えよう!
老化を早める原因には「酸化」と「糖化」がありますが、糖化は血液中の糖がタンパク質や脂質と結びつくことで発生します。
少しでも糖化を抑えるためには、生活習慣全体の見直し、特に食生活の見直しが必要です。毎食食べ過ぎていたり、おやつや間食が多かったり、炭水化物が好きだったりする方は、少し気を付けてみてください。
できることから取り組み、少しでも糖化を減少させていきましょう。
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