「どうしてあの人は年を取らないのだろう?」思わずそう考えてしまうほど、若々しい人っていますよね。
実は、多くの若く見える人に共通するのが「運動量」、そして「筋肉量の多さ」です。
アンチエイジングには筋トレが効果的であることは以前から言われていましたが、昨今では筋トレは肌にもよいという研究結果が発表されました。
今回は、筋トレがアンチエイジングに効果的である理由を解説します。
なぜ筋トレが老化に歯止めをかけるのか、その理由を研究結果から説明し、さらにどのようなトレーニングが効果的なのかを紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
アンチエイジングに筋トレが効果的な理由
アンチエイジングには筋トレが効果的と言われる理由は、筋トレをすることで筋肉量を維持・増加できるためです。
筋肉は、わたし達人間の体を支えているものですよね。
普段の生活で使われる筋肉は偏ってしまいがちなため、成人以降は意識して全身の筋肉を鍛える必要があります。
太りたくない、体を大きくしたくないからと筋トレを始めることに躊躇する女性も多いのですが、実際には筋肉量が少ない方が太りやすくなってしまいます。
その理由は、全体の代謝が下がるため。他にも筋肉量が落ちると、皮膚がたるんだり、くすんだりといった年齢を感じることが増えます。
筋肉量の差は代謝の高さの差
筋トレによって筋肉量を増やすことで、基礎代謝を向上できます。
代謝とは、簡単にいうと何かを別の何かに変えることや、それに必要なエネルギーを作り出す反応のことです。
食べたものを小さく分解して別の成分にしたり、体を動かすためのエネルギーに変えたりすることを指します。
基礎代謝が高いということはつまり、その力が大きいということ。「代謝がよい人」は「生命活動エネルギーが大きい人」とも言えるでしょう。
そのため、活力や肌の状態は、基礎代謝がどの程度あるかによって決まります。
筋肉の量が多いと基礎代謝が上がり、さまざまな「消化・吸収の代謝」や「エネルギー代謝」「肌の代謝」といった反応がスムーズに行われるようになるのです。
筋トレで筋肉量を維持・増加させる必要がある
普通に生活しているだけでは、年々筋肉量は減少します。
特にあまり動かない仕事(事務仕事など)をしている人は、その傾向が顕著です。
筋肉量が減少すると基礎代謝も減少するため、以下のような問題が発生します。
- 消化・吸収の代謝が落ちて体内のエネルギーを効率的に回せなくなる
- 体を動かしてもカロリー消費の幅が少なくなる
- 肌の生まれ変わりのサイクルが崩れてシミ・シワ・くすみなどの肌トラブルが発生しやすくなる
筋トレに取り組むことで、筋肉量が減らないように維持したり、増加させたりしましょう。
30代以降に減少していくのは速筋
ウォーキングなど有酸素運動ではダメなのか、と疑問を持つ方もいるでしょう。
実は、有酸素運動で鍛えられるのは「遅筋」と呼ばれる持久力を発揮する筋肉です。
有酸素運動は脂肪燃焼効果も高いため、脂肪量を減らして体形をキープするのに効果があります。
しかし、30代以降にどんどん減少するうえに代謝に関わってくるのは、瞬発的な力を発揮する「速筋」の方です。
速筋を鍛えるには、筋肉に負荷をかける筋トレをしなくてはなりません。
つまり、若さを目指すなら、有酸素運動だけでなく筋トレにも同時に取り組む必要があるのです。
筋トレによるアンチエイジングが研究で証明! 運動で皮膚老化が改善できる
以前から、筋トレが筋肉の老化に対してアンチエイジング効果があることは知られていましたが、皮膚に対しての研究はありませんでした。
そのため、2023年に立命館大学スポーツ健康科学部の藤田聡教授らの研究チームが、ポーラ化成工業株式会社と協同して研究を実施しました。
そして有酸素運動と無酸素運動の両方で、皮膚の弾力性と真皮構造が改善されることを明らかにしたのです。
特に無酸素運動(筋トレ)は、真皮の厚みを増加させて若々しい外見に貢献する可能性が高いと発表しています。
参考:scientific「Resistance training rejuvenates aging skin by reducing circulating inflammatory factors and enhancing dermal extracellular matrices」
どのような研究だったか
40〜50代の女性61名を、有酸素運動を行うグループと筋トレを行うグループとにわけ、4カ月間にわたって週2回の運動を行ってもらいました。
試験の前後で皮膚計測、採決、体組成測定、運動パフォーマンスの評価などを実施。
その結果、どちらのグループも皮膚老化の指標である皮膚弾力性と真皮構造が改善しました。
筋トレグループはさらに、加齢によって薄くなっていく真皮の厚みも改善していました。
これは筋トレによって血中の炎症性ケモカインが減少し、その影響で真皮の細胞外基質(ECM)が増えるためです。
真皮の厚みは、顔のシミやシワ、たるみなど、見た目の若々しさに関連します。
アンチエイジングに効果的な筋トレ【ジム編】
上記の研究では、ジムにあるトレーニングマシンを使い、以下のトレーニングを行っていたと発表されています。
- レッグカール(太ももの後ろ側の筋肉・ハムストリングを鍛える)
- レッグエクステンション(太ももの前側にある筋肉・大腿四頭筋を鍛える)
- アームカール(力こぶができる筋肉・上腕二頭筋を鍛える)
- ローイング(背中の筋肉・広背筋を鍛える)
- ショルダープレス(肩の筋肉・三角筋を鍛える)
- チェストプレス(胸の筋肉・大胸筋を鍛える)
実際に行うときには、マシンの重量を1回に持ち上げられる重さの半分程度から始め、まずは重さに慣れるようにします。
慣れてきたら、1回で持ち上げられる重さを少しずつ重くしていきましょう。
10回3セットを目安に、1つずつのトレーニングに取り組んでください。
アンチエイジングに効果的な筋トレ【自宅編】
自宅でトレーニングをしたい方は、自分の体重を負荷として取り組む自重トレーニングや、簡単に手に入るアイテムを使って行いましょう。以下のメニューがおすすめです。
- スクワット(下半身の筋肉を同時に鍛える)
- アームカール(上腕二頭筋を鍛える)
- 腕立て伏せ(肩・腕の後ろ側・胸の筋肉を鍛える)
- 懸垂(背中の筋肉を鍛える)
アームカールは500mlのペットボトルに水を入れて持ち、力こぶを作るように肘を曲げて伸ばす動きを繰り返します。重さに慣れてきたら、1Lのペットボトルに変えましょう。
腕立て伏せは初心者の場合、腕が自分の体重を支えきれないことが多いもの。その場合は、膝を床について取り組むようにしてください。
懸垂は家の中でぶら下がれるところを探して行います。頑丈なドアがあればドアが動かないようにドアと床の隙間をタオルなどで埋め、ドアの上側からぶら下がって懸垂しましょう。
筋トレでアンチエイジング! 筋肉量を維持・増加して生き生きと過ごそう
筋トレをすることによるメリットは、心身が丈夫になることだけではありません。健康だけでなく美容にも多くのよい効果が期待でき、見た目も少しずつ若返ります。
普段、仕事や通勤で割と動いているという方でも、使っている筋肉は偏っています。使われていない筋肉を刺激するためにも、ぜひ生活に筋トレに取り組む時間を組み込むようにしてくださいね。