スポーツ選手や高齢者にとって、怪我は選手生命や日常生活に支障をきたす可能性があるため、怪我をしにくい身体を作ることが大切です。筋肉量を増やして関節の可動域を広げ、スムーズに体が動くようにしなければなりません。
そこで注目されているのが、近年日本でも大きな広がりを見せているTRXトレーニングです。では、なぜTRXトレーニングが怪我予防に効果的なのでしょうか?
ここではそもそも怪我予防に必要な条件や、TRXトレーニングが効果的である理由、そしてTRXのべーシックなトレーニングメニューを紹介します。
トレーニングをより効果的に行うため、どのような動きが日常生活やスポーツでのパフォーマンスを向上させるのか、知識を蓄えていきましょう。
目次
TRXは怪我予防対策にもリハビリにもおすすめ
TRXは自重と地球の重力を利用した全身トレーニング。誰でも無理なく全身の筋肉やバランス力、持久力を高められます。
TRXトレーニングには、ストレッチや従来の筋トレ、ヨガなどのさまざまな要素を取り入れた数百以上ものトレーニングメニューがあり、医療・介護向けメニューもあるなどリハビリツールとしても優秀です。
日常生活やスポーツにおけるパフォーマンスの向上効果もあるため、体がスムーズに動くことによって怪我予防にも役立つのですね。
TRXについてはこちらをどうぞ「全身運動のTRXとは? 得られる5つのメリットやメニューの一例を紹介」
怪我予防に必要な2つの条件とは
ではもう少し具体的に、なぜ人は怪我をするのか、怪我をしないようにするためにはどうすればよいのかについてみていきましょう。
人が運動やスポーツを行う際に怪我をしないためには、「柔軟性」と「筋力」の2つの要素が絶対に必要です。
怪我をしないための「柔軟性」と「筋力」
柔軟性は、運動するために必要な要素で、可動性とも言い換えられます。そして筋力は体を支えるために必要な要素で、安定性のことですね。
柔軟性は運動の範囲を決定し、筋力は運動する力や安定性の機能を発揮します。そのためどちらかひとつだけが突出していても、バランスが悪くなって高いパフォーマンスを発揮するのは難しく、体へ負担がかかるのです。
たとえば、新体操の選手をイメージしてみましょう。新体操選手はその優れた柔軟性に目がいきますが、ジャンプ力や安定した着地、演技中にブレない体を作っているのは彼らの筋力です。
体が柔らかく動きがスムーズであることは、関節や筋肉への負担が少ない状態。それにプラスして倒れずに踏ん張れる筋力があると、怪我のリスクは減少します。
怪我のリスクを減らすためには筋肉量が必要
怪我予防のために必要な筋肉量は決まっていることをご存じでしょうか。人が安定してスムーズな動作を行うためには、一定量の筋肉が必要です。
まだ筋肉がない赤ちゃんや幼児、そして加齢によって筋肉が落ちてしまった高齢者の方は、普段から転んだり躓いたりすることが多くなりますよね。そして最も筋肉量が多いとされている10代後半の若者は、滅多に怪我の心配はありません。
つまり、筋肉量が減れば減るほど日常生活やスポーツでの怪我発生率が上がるのです。
まずは、現在の自分が持つ筋肉量を知ることから始めましょう。筋肉量を計算すると、筋肉率がわかります。その筋肉率を性別ごとの指標に当てはめてみてください。体組成計があれば数字もすぐにわかります。
【筋肉量の出し方】
体重(㎏)× 体脂肪率(%)= 体脂肪量(㎏)
体重(㎏)- 体脂肪量(㎏)= 除脂肪体重(㎏)
除脂肪体重(㎏)÷ 2 =筋肉量
【筋肉率の出し方】
筋肉量(kg) ÷ 体重(kg)× 100 = 筋肉率
【筋肉率の指標】
筋肉率 | 男性 | 女性 |
25.9%以下 | - | 低い |
30.9%以下 | 低い | |
31.0%〜34.9% | 標準 | 標準 |
35.9%〜38.9% | やや高い | やや高い |
39.0%以上 | 高い | 高い |
参考:uFit「筋肉量の平均値を男女別に解説。筋肉量の計算方法を知って最適な食事とトレーニングを行おう!」
もしも体組成計がないという方は、簡易方法をどうぞ。簡易方法では、BMI20前後、体脂肪率15%以下でおおむね筋肉量は問題ないと判断できます。
【BMIの出し方】
体重(kg)÷身長(m)の2乗
TRXはファンクショナルトレーニング! 怪我予防に効果的
ファンクショナルトレーニングは、身体を機能的に動かすことを目的とするトレーニングのこと。概念の一種で、条件に当てはまる運動をそう呼びますが、TRXはそのひとつです。ファンクショナルトレーニングに継続して取り組むことで、日常生活やスポーツでのパフォーマンスを向上させる効果があります。
従来の筋トレが「筋力を増やすこと」が目的であるとすれば、ファンクショナルトレーニングは「動ける体を作ること」が目的です。その効果は以下のようなものがあります。
- 姿勢が良くなる
- 怪我をしにくくなる
- 骨盤周辺のバランスが改善する
- 腰痛や肩こりなどのつらい症状が改善する
その他、日常生活における階段の上り下りや荷物の持ち運び、でこぼこ 道でも安定して歩けるなど、基本的な動作が行いやすくなります。
参考:公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット「ファンクショナルトレーニング」
怪我予防に効果的なTRXのベーシックトレーニングメニュー
ではここで、怪我予防に効果的な、基本中の基本であるTRXのトレーニングメニューを3つ紹介しましょう。
- TRXローロウ
- TRXバックランジ
- TRXスクワット
TRXローロウ
ローロウは背中を刺激するトレーニングメニューです。負荷のコントロールがしやすいうえにシンプルな動きのため、老若男女、誰でも取り組みやすいという特徴があります。
【TRXローロウのやり方】
- TRXの正面に立ってハンドルを両手に握る。
- 肩を下げ、肘を曲げて両手を胸のわきにつける。
- サスペンショントレーナーをぴんと張ったら、足をアンカーポイントに向かって適切な位置まで近づける(近ければ近いほど負荷が強くなる)。
- 息を吐きながら肘をゆっくりとのばし、腕が伸びきったら息を吸いながら肘を曲げて元の体勢に戻る。
- 10回を1セットとして3セット繰り返す。
引き寄せる動作は背中の筋肉を意識して行いますが、見た目としては肘から肩までしか動きません。肘と肩以外は動かさず、背中や膝が曲がらないように姿勢を意識しましょう。呼吸を忘れないようにして繰り返します。
TRXバックランジ
TRXバックランジは足を後ろへ出して踏み込む動作のメニューです。サスペンショントレーナーによる補助があるため、筋力がない高齢者の方や運動を久しぶりに行う方にもおすすめします。
【TRXバックランジのやり方】
- TRXの正面に立ち、肘を90度に曲げてサスペンショントレーナーがぴんと張るところをスタートポイントにする。
- 片足を大きく後ろに出し、前の足の膝が90度の角度になるまでしゃがみ込む。
- 後ろに出した足を戻しながら立ち上がる。
- 左右の足を交互にして同様に行い、20回繰り返す。
TRXに体重を預けすぎてしまうと、足の筋肉をうまく刺激できません。あくまでもサスペンショントレーナーは補助だと考え、片足でしゃがみ込むイメージを持って行ってください。
TRXスクワット
スクワットは言わずと知れた下半身を鍛える定番のトレーニングメニューです。サスペンショントレーナーを利用することで強度を下げたり、体のそれぞれの筋肉の連動性向上が期待できます。
筋力量の少ない方は、しゃがむという動作の際に何かに捕まることが多いもの。TRXスクワットはそういったシーンに近いため、初めてでもトレーニングは行いやすいというのが特徴です。
【TRXスクワットのやり方】
- TRXの正面に立ち、肘を90度くらいに曲げてサスペンショントレーナーがぴんと張る程度まで後ろに下がる。
- サスペンショントレーナーがたるまないようにしつつ、息を吐きながら太ももが床と水平になる程度までしゃがむ。
- 同じくサスペンショントレーナーがたるまないようにしつつ、息を吸いながら立ち上がる。
- 20回を目安に繰り返す。
立ち上がるときにつらい方は、サスペンショントレーナーを引っ張りながら立ち上がってください。膝を痛めることにつながるため、膝がつま先より前に出ないように注意しましょう。
怪我予防に効果的! TRXで全身を連動させて鍛えよう!
TRXは自然な動きをスムーズにし、筋力や持久力、瞬発力をつけるのに最適なトレーニングです。全身を連動させるため基本動作のパフォーマンスが向上し、日常生活や各種スポーツでの怪我予防にもつながりますよ。
NEIGHBORFITのTRXトレーニングでは、初心者の方でも安心して参加できるグループレッスンやパーソナルレッスンをご用意しております。お友達との参加もOKですので、ぜひ一度、体験にお越しください。
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