赤ちゃんには誕生してから数カ月の間しか見られない、原始的な反応がいくつかあります。
それを初めてみたときは、多くの大人が驚いたり可愛くて目を細めたりするもの。しかし中には「大丈夫だろうか」と焦るような動きをすることもありますよね。
この記事では、思わず見ている大人が焦ってしまう赤ちゃんの動き、モロー反射について紹介します。
モロー反射の原因や発生時期、心配するほど激しい反射をした場合などに試していただきたいことなども説明するので、ぜひ参考にしてください。
目次
モロー反射は原始反射のひとつ
モロー反射は、赤ちゃんが自分の意思とは関係なく起こす反射で、正常な動きのひとつです。
「ばんざい」をするかのように両手を広げ、指もすべて伸ばして開き、そのあと何かに抱き着くように左右対称の動きをします。
モロー反射を発見したのはオーストリアの小児歯科医エルンスト・モロー氏で生後0〜4カ月ごろまでの赤ちゃんに見られることを発見しました。
モロー反射はあくまでも自然な反応で、成長の中で起こる通常の動きであるため過度に心配する必要はありません。
生後4か月を過ぎると多くの子どもはモロー反射が見られなくなります。
原始反射とは? モロー反射以外の代表的な原始反射
原始反射は人に生まれつき備わっている反射運動のことで、無意識に手足など特定の筋肉が動くことです。
モロー反射以外にもさまざまな原始反射があるため、以下の代表的な原始反射を紹介しましょう。
- 歩行反射
- 把握反射
- 哺乳反射
- バビンスキー反射
- 非対称性緊張性頚反射
歩行反射
大人が赤ちゃんの両側の脇下に手をやり立たせるようにして支え、足裏を床に触れさせるようにすると、赤ちゃんは足を交互に動かして歩くような動きをします。
まだ首が座っていない生後すぐにこの反射が見られるため、見た人は驚きますが、これも原始反射です。
把握反射
人の指やものが触れると、赤ちゃんはぎゅっと握り締める動作を把握反射といいます。
赤ちゃんの手の平に大人が指を差し入れると握り返してくれますが、そのことですね。
手だけでなく、足も何かに触れると足の指を曲げて包み込むような動きをしますよ。
哺乳反射
口元に触れたものを吸おうとする動きです。
出産後すぐから見られる反応で、生後5か月から7か月程度でなくなります。
これは、生まれてすぐでも母乳を飲めるようにするため。吸い付くことで栄養摂取の機会を逃さないようになっています。
以下の複数の反射をまとめて「哺乳反射」と呼びます。
- 探索反射:口周辺を刺激すると触れたものを探すように上下左右に顔を動かして口を開く。
- 捕捉反射:唇に何かが触れると触れたものを探すように上下左右に顔を動かす。
- 吸てつ反射:乳首や指を口でくわえると舌をなめらかに動かして吸う。
バビンスキー反射
バビンスキー反射は、赤ちゃんの足の指が広がる動きのこと。
脚の裏の外側をかかとからつま先にかけて刺激すると、足の親指が外側に曲がり、他の指は扇を広げるかのように開きます。生まれてすぐから反射が見られ、1歳や2歳ごろには自然になくなります。
この反応は生後3か月頃の新生児まで見られますが、それ以降においてのはビンスキー反射は異常とされますが、赤ちゃんのときは正常な神経の発達を示すものです。
非対称性緊張性頚反射
非対称性緊張性頚反射とは、決まった形で手足を曲げ伸ばす動きのことです。
仰向け状態の赤ちゃんの頭部を左右どちらかに向けると、顔を向けた側の手足を伸ばして反対側の手足を曲げます。生後半年ほどで消失する反射です。
参考サイト:原始反射とは?種類や消失時期・保育所での対処法を解説 | 保育士を応援する情報サイト 保育と暮らしをすこやかに【ほいくらし】
モロー反射の原因と発生時期
モロー反射の原因といつ起こるのかについて、もう少し詳しくみていきましょう。
モロー反射の原因
モロー反射の原因は音や光、感触などの刺激です。
外部からの刺激によって対処しようとする動きと考えてください。赤ちゃんは外部の危険から自分の身を守ろうとしているのですね。
モロー反射が起こりやすいのは、以下のような状況です。
- 体がぐらっと大きく傾いたとき
- 急に大きな音が聞こえたとき
- いきなり明るい光が差したとき
つまり、何かに驚いたときと考えられます。
生後すぐの赤ちゃんは手足のコントロール力が未熟であるため、自分自身の動きに驚いてモロー反射が起きるケースもあります。
赤ちゃんを寝かせようとベビーベッドに置いた刺激でモロー反射が起こり、それに驚いた赤ちゃんが起きて泣き出してしまったというのはよくあることです。
生後間もないために経験不足から危険の予測が難しく、あらゆる外部刺激に反応してしまうのではないかと考えられています。
モロー反射が発生する時期
モロー反射は0〜4カ月ごろまでの赤ちゃんに見られます。ただし、個人差があり4カ月を過ぎても反射が消失しない子もいます。
いつまでも消失しない場合は脳や神経に問題がある可能性も出てきますが、多くの場合は心配不要です。生後半年くらいまでは様子を見て、まだ現れるようであればかかりつけ医に相談しましょう。
モロー反射が「非常に激しい」「生後4ヵ月以降でもなくならない」場合の対応法
モロー反射が激しい赤ちゃんは、外部からの刺激に対し繊細であると考えられます。
また、なかなかモロー反射がなくならない場合にも、反射が軽減する可能性がある次のような対応を心がけてみてください。
- 赤ちゃんがいる場所の環境の見直し
- スキンシップを増やす
- 寝る際のモロー反射を軽減する環境作り
赤ちゃんがいる場所の環境の見直し
大人は平気でもさまざまな器官が未発達な赤ちゃんにとっては刺激がたくさんある場合には、モロー反射が起こりやすくなります。
たとえば照明が明る過ぎる、エアコンの風が直接当たっている、普段過ごす場所と寝室の寒暖差、周囲の騒音などの刺激はないでしょうか?
赤ちゃんが寝ている場所の環境の見直しをしてみましょう。
スキンシップを増やす
刺激に敏感に反応する際は、リラックスからほど遠い状態です。
赤ちゃんが常にリラックスした状態で過ごせるよう、毛布に包んでだっこする、話しかけるなどのスキンシップを増やしてみましょう。
寝る際のモロー反射を軽減する環境作り
モロー反射は急に頭がガクっと落ちるときや光が差し込んできたときなどに起こりやすいもの。
そのため、寝かせるときには慎重に赤ちゃんの頭の角度が変わらないように置く、あらかじめ布団を温めておく、エアコンや扇風機などの風が直接当たらないようにする、などの工夫をしてみましょう。
赤ちゃんにとって快適な空間であれば、驚いて反射を出すことは減るはずです。
モロー反射は自然な動き! 焦らず見守ろう
両手を万歳するかのように大きく広げ、そのあときゅっと身体を縮こませる動きをする「モロー反射」は、大きな動きであるため大人もびっくりしてしまいがちです。
しかしこれは生まれつき赤ちゃんが持つ反射であるため、特に焦る必要はありません。成長する過程で訪れる正常な動きだと考え、過度な心配はしないようにしましょう。
ただしモロー反射によって赤ちゃん本人も驚き、泣いてしまうケースが多発する場合は、環境の見直しが必要かもしれません。
何等かの刺激が赤ちゃんにあったのだと理解し、モロー反射が起きないように赤ちゃんをリラックスさせることを優先させてみてください。
とは言え、自己流の対応は、むしろ危険を招くことがあります。どうしても気になる、心配だという場合には、病院を受診して医師に相談することをおすすめします。
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