子どもが何に対しても「いや!」と反抗的な態度を取るようになる時期は、自我の目覚めの時期です。
この時期は子どもの心の成長にとって大切な時期ですが、多くの親御さまはその意味や流れを知らず、育児に対し大きな悩みを持ってしまいがちですよね。
そのため、この記事では自我の目覚めに焦点を当てて、さまざまなことを解説しています。
自我の目覚めを迎える時期や成長のおおまかな流れ、自我を持つことの意味、親はどのように対応することがおすすめかなどに触れますので、ぜひ参考にしてください。
目次
自我が目覚めるのは1歳前後
「自分で○○をやりたい」と思い出したら、それが自我の目覚めです。お母さんから生まれてからの赤ちゃんは、自分以外の他人という存在に気付いていません。
しかし発達に伴って自分の意思と他人の意思は違うと気づき、自分の意思を主張しようと考えるようになります。それが自我の目覚めの時期、大きく心が発達する時期ですね。
発達や成長には個人差がありますが、一般的には1歳から2歳にかけて訪れます。その後、周囲の影響を受けながら自我を確立させて、やがて自立へとつながっていきます。
乳児の発達のおおまかな流れとは
乳児の発達のおおまかな流れをみていきましょう。
誕生してすぐは、赤ちゃんはお母さんの声を認識しています。この頃の情緒(感情の動き)は、単純な「快」か「不快」かしかありません。
快のときは声を上げ喜び、不快のときは泣きます。脳や身体の発達が進み、生後3カ月あたりからハンドリガードが始まります。
自分の体や声は自分が出して動かしていると気づき、情緒も「怒り」「恐れ」「得意」「愛情」などが増えてきます。
そして1歳半を過ぎるとさらに情緒が発達します。「喜び」「嫉妬」なども感じられるようになり、鏡にうつる自分の姿を認知する子が多くなってきます。
ここまではまだ周囲の大人の保護が必要不可欠な年齢であるため、自己欲求は抑制されています。
しかし、親など周囲の人間への愛着形成がしっかりしはじめた2〜3歳くらいには自我がはっきりとし、次第に母親から離れて集団生活の中で他の子とも触れ合えるようになってくるのです。
自我を持つことでどう変化する?
自我を持つことで、どのような変化があるでしょうか。自我とは他人との違い「わたし」という存在の認識です。
そのため、自我が強いと言われる状態は、自分について深く理解しているともいえます。
自分の意見ややりたいことがわかっていて、自分自身を見失わないということであるため、自分に自信を持つためには必要不可欠なものです。
自我が確立していると、社会に出てからも良いことと見なされます。周囲との関係によって意思や主張を調整することはあっても「自分をしっかり持った人間である」と認識され、人の言葉や行動に流されにくい人間になります。
また、自分を信じる力を持っていると、精神的にも強くいられるでしょう。ただし、自我が肥大するとトラブルのもとにもなります。自分の気持ちを大切にすることは重要ですが、それも度が過ぎるとイメージ通りの「わがままな人」「頑固な人」になってしまいます。
自分を大事にするあまり他人の意思や主張をおろそかにしてしまうと、周囲からの評価も下がりがちです。
成長する間に、今は自我を通す場面なのかどうかを考えられる力を得ることが大切ですね。
自我の目覚め時期の特徴
自我意識がでてくる時期の特徴は、激しい自己主張と反抗です。
「魔の二歳児」や「イヤイヤ期」と呼ばれることもあるこの時期は、一見するとわがままなだけに見える子どもに振り回され、世話をする多くの親御さんは疲弊してしまいます。
しかし、この反抗はなくてはならない成長であり、決して単純なわがままや悪意ではないことを理解するようにしましょう。
この時期の子どもは「感情のコントロールができないし、ダメと言われていることをやる」生き物です。
親からたしなめられたり注意されたりすることを頭で理解していても、心が伴わず受け入れられません。
周囲の大人は、その事実を忘れないようにしたいですね。
子どもの自我が発達した際に親ができること
親も子も感情のコントロールが大変なこの時期に、大人ができることは何があるでしょうか?
次の4点を確認してみましょう。
- 子どもの意思を受け入れる
- 時には諦める
- 命令ではなくお願いをする
- 「いけないこと」は明確にし、毅然とした態度で対応する
子どもの意思を受け入れる
自我が芽生えた子どもは理不尽なことを言ったりしたりするため、真面目な親ほど「わがままは直さなくてはならない」と思うものです。
しかし、そもそも自我はわがままではありません。
そのため、まずは変化を見ても焦ったりオロオロしたりせず「うちの子は大丈夫!」と声に出してみましょう。
命にかかわることや他人を傷つけることでなければ、ひとまず子どもの意思を否定せずに受け入れて、自由にやらせてみてください。
時には諦める
どんな人にとっても「イヤイヤ期」は大変です。子どもの大切な成長ではあっても、すんなり受け入れられることの方が珍しいと言えるでしょう。
自我が芽生えたばかりの子どもの主張は理不尽なものも多いため、付き合えないこともありますよね。そんなときは「諦める」ようにしてみてください。
いい教育をしようとかいい子に育てよう、母親なのだから感情的に怒ってはダメなどと自分を追い詰めず、無理なときは諦めて子どもと一緒に泣いてみましょう。
自分の気持ちや時間に余裕があるときだけ、子どもの自我に付き合うようにしてもいいですね。
命令ではなくお願いをする
イライラするとつい「○○しなさい」と命令口調になってしまうものですが、強い言葉を使うと反抗心が湧き起こり、子どもも言うことを聞けなくなります。
子どもは感情が爆発して泣き、大人も余計に疲れることになるでしょう。
イライラしたときには一度深呼吸をして「○○してほしいな、そうしてくれると嬉しいな」といったような、お願い言葉を使ってみてください。
お互いに感情を逆なでせず、コミュニケーションが取りやすくなります。
「いけないこと」は明確にし、毅然とした態度で対応する
前述したように、子どもの意思を尊重してやりたい気持ちを満たすことは大切なのですが、やっていいことやいけないことは明確にしなければなりません。
命にかかわることや他人を傷つけるようなことなど、ダメなときは毅然とした態度で対応するようにしましょう。
このとき大切なことは、家庭内における物事の良し悪しの線引きを合わせておくことです。さまざまな線引きは家庭によって異なるのが普通ですが、同じ家庭内では基準を合わせないと子どもが混乱します。
同じ行動だったのに、お父さんは叱らなかったけれどお母さんには叱られたということがないよう、一度夫婦で意見をすり合わせておくようにしましょう。
子どもの自我が発達する頃は難しい時期! 心の成長期を見守ろう
子どもに自我が芽生えだすのは生後1歳くらいからです。
自我が芽生えると「わたし」を確立するために、子どもはさまざまな言動を取り始め、親はそれに振り回されることになるでしょう。大変ですし、ついイライラしてしまいますよね。
しかし、これも正しい心の発達の過程です。健やかに成長していくため、この時期は仕方がないと考え、穏やかに見守るようにしてくださいね。
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