子育てにはさまざまな発達段階において、いくつかの呼び方がありますよね。
たとえば「イヤイヤ期」や「なぜなぜ期」などが有名です。なぜなぜ期は3歳から4歳くらいに訪れる、質問攻めの時期のこと。
ようやくすべてのことにイヤイヤ言う時期が終わったのに、次はなぜなぜと毎日繰り返し質問されるため「恐怖の3歳児」とも呼ばれています。
この記事では、なぜなぜ期とは何か、なぜそのような時期が発生するのか、この発達段階を経て得られる力、そしておすすめの対応方法などを解説します。
お子さまと話をする際の参考にしてください。
目次
子どもの発達段階のひとつ「なになに期」と「なぜなぜ期」
子どもが0歳から5歳ころになるにかけては、さまざまな発達段階が次々に訪れます。
「なになに期」と「なぜなぜ期」は二つ合わせて「質問期」と呼ばれる発達段階です。物などを示して名前を尋ねる第1質問期(2歳ころから)は「命名期」や「なになに期」。
そして、物事の理由や原因、目的や結果などを尋ねる第2質問期(3歳ころから)は「なぜなぜ期」と呼ばれています。
第1質問期は「これはなに?」という疑問が多いため、名前を答えれば良いので対応はしやすいでしょう。
しかし、第2質問期は正解がなかったり答えるのが難しかったりする質問が多いため、親としてもとても対応が難しいという特徴があります。
なぜなぜ期のころは脳の発達が著しい時期
人間の脳神経は3歳頃に成人の8割程度まで成長します。
2歳から3歳のころは脳内の神経回路が急速に形成されて発達する時期に当たるため、さまざまなことに興味を持って知りたがるのではないかと考えられています。
生きるために必要な情報をたくさん吸収し、記憶に定着させようとしているのですね。
情報を脳へ取り込む大切な時期で、このときに「知ることは楽しい」「わからなかったことがわかるって嬉しい」と実感できると、自主性が養われ、自分から意欲的に勉強するようになると言われています。
参考:国立スポーツ科学センター「発育・発達について」
3歳児がなぜなぜ期を通して得られる力
なぜなぜ期を通して得られる力は、次の4つが代表的です。
- 思考力
- 探求心
- 学習意欲
- コミュニケーション能力
思考力
大人に質問して答えを返されることにより、子どもの知りたい欲求が満たされます。
その結果、複数のものを比較したりその仕組みを考えたりするようになり、自分で回答を導き出す思考力が身についていきます。
探求心
大人の回答を子どもが覚えることで知識が養われ、それをもとにして数珠つなぎのように質問が増えていきます。
わかる、納得するまで何度でも同じ質問を繰り返すことにより、物事を深く追求しようとする探求心が芽生えるのです。
学習意欲
さまざまなものごとに興味関心が湧き、学ぶことに対しても意欲が出てくるでしょう。
大人は、覚えた知識や調べてわかったことを子どもが話したときに、たくさん褒めるようにしてください。
子どもの自信につながり、より学習意欲を沸き立たせられます。
コミュニケーション能力
子どもが何度も大人に質問するのは、大人とのやり取りを楽しんでいることも理由のひとつです。
親とコミュニケーションを繰り返すことによって語彙力や会話力も育っていくため、できるだけ時間を割いて対応してあげましょう。
なぜなぜ期へのおすすめ対応方法4つ
質問攻めの毎日に、大人も疲れてイライラしてしまうことが多くなるかもしれません。しかし、以下のような対応をすることで子どもの健やかな発達を促せます。
- できるだけ早めに答える
- 子どもがわかる言葉で説明する
- 質問し返す
- 誤魔化さずに答える
イライラしてしまうときは一度深呼吸をし、辛抱強く対応してあげてくださいね。
できるだけ早めに答える
子どもが質問をしてきたとき、子どもが答えを知りたいのは「その瞬間」です。
大人にもさまざまな都合がありますが、少し手を止めて、できるだけすぐに回答するようにしてあげましょう。
そのときとても忙しい瞬間であっても、すぐに答えられる場合にはその場で対応することが大切です。
子どもは「今を生きる」生き物であるため、すぐに物事や意欲を忘れてしまいます。その場で答えず後回しにしてしまうと、あとで時間を取ったときには忘れてしまっていることも多いでしょう。
「宇宙はなぜあるの?」といった回答が難しい質問であっても「難しいね。今はわからないから、あとで一緒に調べようか」といったように、答える意思はあると感じさせる返答をするようにしてください。
「知らない」「わからない」「今はやめて」などは避けるよう心掛けましょう。
子どもがわかる言葉で説明する
子どもの質問に対し回答がわかったとしても、子どもには難しく理解できない言葉回しで説明しては意味がありません。
たとえば「なぜ空は青いのか」という質問があったときに「大気中の分子は……」などと説明しても理解できる子はほとんどいないでしょう。
少し雑になったとしても「太陽の光にはたくさんの色があるのだけれど、その中で青が一番見えやすいからだよ」といったように、子どもの目線で、わかるように説明してあげてください。
質問し返す
どのような質問であってもきちんと答える姿勢が大切です。しかし、たまには質問返しをしてみることをおすすめします。
質問を返すことで子どもが自分で答えを見つけようとしたり、創造力を働かせたりするようになるからです。
子どもが自分の持つ知識の中で自分なりの答えを出したら、親子で一緒に正しい答えを調べてみるというのもおすすめです。
誤魔化さずに答える
少し面倒くさい質問が来た場合などに「〇〇ちゃんはまだ知らなくていいの」などと誤魔化すようなことはやめましょう。
できる限り、子どもがわかる言葉を使って説明するようにしてください。
適当に応えたり誤魔化したりすることが続くと、子どもの学習意欲が低下してしまう恐れがあります。
なぜなぜ期に避けた方がよい対応
なぜなぜ期で避ける方がよい対応は、次の2つです。
- 笑ったりからかったりしない
- 質問に怒ったり途中で打ち切ったりしない
大人にとっては知っていて当然のことでも、子どもは知らない・不思議に感じることが多いもの。
また、質問が的外れになっていて思わず笑ってしまうようなこともあるでしょう。しかし、質問に笑われたりからかったりされることは、大人であっても不快ですよね。子どもも同じです。
そして忙しいときの質問にイライラして、つい「うるさい」や「今は無理!」などと怒鳴ってしまうこともあるかもしれません。
しかし、それは子どもにとってコミュニケーションの拒否です。子どもの心を傷つけるだけでなく、学習意欲や創造力の成長をも妨害することになります。
なぜなぜ期はコミュニケーションのひとつとし、反応することを意識しましょう。誠実な態度で「あなたの話を聞いているよ」と示すことが大切です。
3歳児に訪れるなぜなぜ期は正常な発達段階のひとつ! 辛抱強く付き合って
子どもが「なぜ?」とさまざまなことに対して疑問を持つのが「なぜなぜ期」です。脳にとって大切な知識の吸収期で、子どもの学習意欲や創造力、コミュニケーション能力を育てるための重要な過程であると考えられています。
子どもがする質問にはできるだけ早く、短い言葉で子どもにわかるように答えてあげることは重要です。とは言え、すべての質問を真正面から受けることはとても大変ですよね。
大人がストレスを溜めると、それはそれで子どもにも影響があるもの。そのためじっくり付き合うときと、簡単に済ませるときがあっても構いません。わからないことはわからないから一緒に調べようと誘うなど、ぜひ大人も「なぜ?」を楽しんでください。
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