階段でつまずいた、人と話しながら歩いていて何かにぶつかりそうになった——そんな「ふとした瞬間」のヒヤリとした経験はありませんか。
実はこうした瞬間の多くは、体だけでなく「注意力」が原因で起きています。近年、リハビリやスポーツ医学の現場で注目されているのが「デュアルタスクトレーニング」です。この記事では、なぜ2つのことを同時に行う運動が体と脳の両方に効果的なのか、具体的な研究データとともに解説します。
デュアルタスクトレーニングとは何か
デュアルタスクトレーニングとは、体を動かす運動(運動課題)と、頭を使う作業(認知課題)を同時に行うトレーニング方法です。
例えば、歩きながら簡単な計算をする、ボールをキャッチしながら質問に答える、リズムに合わせてステップを踏みながらしりとりをする、といった組み合わせが代表例です。1つの動作に集中する通常の運動とは異なり、注意を分散させた状態でも体を思い通りに動かせるかを鍛える点が特徴です。
なぜ「ながら」が効果的なのか
日常生活での転倒の多くは、単純に足がもつれたのではなく、「考え事をしながら歩いていた」「人と話しながら段差に気づかなかった」といった、注意が分散した瞬間に起きると言われています。
研究では、平均80歳の高齢者112名を対象に約半年間デュアルタスクトレーニングを行ったところ、転倒リスクが大幅に減少したという結果が報告されています。また、運動と認知課題を組み合わせたトレーニングが認知機能低下の予防に寄与する可能性も複数の研究レビューで示唆されています。単純な筋力トレーニングだけでは鍛えにくい「とっさの対応力」を伸ばせることが、この手法が注目される理由のひとつです。
効果を感じるまでの期間と、日常への取り入れ方
効果の実感には個人差がありますが、座って行う簡単なデュアルタスク(計算しながら手を動かす等)は2〜3週間程度で変化を感じる方が多く、歩行を伴うようなより実践的なデュアルタスク能力の向上には、3ヶ月程度の継続が目安になるとされています。
特別な道具がなくても、家事をしながら数字を数える、テレビを見ながら片足立ちをするなど、日常の中に「2つを同時に行う」場面を意識的に増やすだけでも第一歩になります。ただし転倒リスクが心配な方は、無理に自己流で行わず、安全な環境で試すことが大切です。
NEIGHBORFITでの取り組み
NEIGHBORFITでは、TRXや運動あそび教室のプログラムの中に、体を動かしながら考える要素を自然に組み込んだメニューも取り入れています。
少人数制のため、一人ひとりの体力・年齢に合わせて「ながら運動」の難易度を調整しながら取り組んでいただけます。
まとめ
デュアルタスクトレーニングは、単に体を鍛えるだけでなく、日常のヒヤリとした瞬間を減らすための「とっさの対応力」を養うトレーニングです。特別な道具は不要なので、まずは日常の中の小さな「ながら」から始めてみてはいかがでしょうか。
