- 筋膜の概要とその役割について
- 筋膜リリースの効果とメリットについて
- 筋膜リリースの方法について
運動不足が続いたり、同じ姿勢での作業が続いたりすると、筋肉がこって血流が滞り、重さや痛みを感じるようになります。
ストレッチやマッサージを受けてもすぐに肩こりや腰痛が戻ってくる、というような方は、筋膜リリースがおすすめです。
この記事では、筋膜リリースとはどのようなものか、その必要性や行うことによる効果、さらに自分でできる簡単な筋膜リリースのやり方などを解説します。少しずつで構いません、筋膜リリースに取り組んでみましょう。
目次
筋膜とは
筋膜は筋肉を覆う薄い組織膜のことで、筋肉だけでなく内臓や神経、血管などともつながっています。
「第二の骨格」と呼ばれることもありますが、これは筋膜が全身を覆っていること、そして重要な役割を担っていることからつけられた呼び名です。
筋膜の役割は大きく分けて、以下の通り3つあります。
- 各組織を包み込んで仕切ると同時に結びつけ、体の姿勢を保つ
- 組織同士の摩擦から保護する
- 筋線維の動きを支えて力を伝達する
筋膜そのものはコラーゲンでできており、その85%は水分です。
水分不足・ストレス過多・長時間同じ姿勢での作業・筋肉の柔軟性の低下などにより、筋膜同士が癒着(ゆちゃく)してしまった結果、筋肉の動きを阻害するようになり、痛みやこりが出てきてしまいます。
筋膜が癒着すると、肩こりや腰痛などだけでなくスポーツパフォーマンスの低下や日常生活での活動低下につながるため、こまめに筋膜リリースをすることが大切です。
特に運動前後や長時間同じ姿勢でいたときなどに、取り組むことをおすすめします。
筋膜リリースとは? 必要性と方法
筋膜リリースとは、筋膜の萎縮(いしゅく)や癒着を引きはがして伸ばし、正常な状態へ戻すことを指す言葉です。筋膜はがしとも呼ばれています。
筋膜を柔らかくして滑りをよくし、ほぐすことによって、痛みや筋力の低下などのさまざまな症状を改善・緩和できます。
筋膜をリリースする必要性
筋膜をリリースすることによって体のバランスが整い、動きがスムーズに、そして軽くできるようになります。
筋肉が固まった状態ではとっさの動きにも対応できず、怪我につながる恐れがあります。
さらに、怪我をしてしまった箇所は動かさないようにするため、長期固定によって筋の収縮力の低下や関節の可動域が狭くなり、思い通りに体を動かすことがより困難になるなど、悪循環にはまってしまう可能性も否定できません。
筋膜をリリースする方法
筋膜リリースはストレッチのように一定の方向に伸ばすのではなく、さまざまな方向に解きほぐすようにします。
以下は、筋膜リリースの代表的な方法です。
- 整体の手技を受ける
- フォームローラーやボール、マッサージガンを使う
- 自分でストレッチやマッサージを行う
整体や鍼灸院では、プロが筋膜リリースの施術を行いますので、自分では緩められない深部の筋膜までアプローチできるうえに、健康に関するアドバイスや指導を受けられます。
自宅でのセルフケアは、フォームローラーやボール(テニスボールやゴルフボール)などを使うと簡単に行うことができますし、現在ではマッサージガンという便利なものもあります。
筋膜リリースはストレッチの一種ですので、気軽に筋肉をゆっくりと伸ばしてみましょう。筋肉が癒着している箇所を触ると硬く、多くの場合で痛みを伴います。
しかし、刺激した際の硬さや痛みは、血液が滞っている証拠に他なりません。丁寧にほぐし、血流を改善してましょう。
筋膜リリースの4つの効果
筋膜リリースの効果である、以下4つの項目をみていきましょう。
- 体のこりや痛みの緩和
- 姿勢の改善
- 柔軟性の向上
- リフレッシュ効果
体のこりや痛みの緩和
リリースにより、肩こりや腰、背中、首などの痛みが緩和されます。
くっついてしまった筋膜を引きはがし、血流を正常化して全身に酸素や栄養を届けやすくすることで、症状が楽になっていきます。
姿勢の改善
筋膜が癒着すると筋肉や筋肉によって支えられている骨格が崩れてしまうため、全身のバランスも悪化します。
痛みやこりがある部分は無意識の内に庇うようになり、左右がアンバランスになって姿勢も悪くなる結果、よりつらい症状が出てきてしまうのです。
筋膜リリースで筋肉の柔軟性を上げ、骨格バランスを整えて美しい姿勢を保てるようになりましょう。
柔軟性の向上
くっついて固まってしまっている筋膜がほぐれることにより、筋肉の柔軟性が増します。柔軟性が向上することで筋肉の動きがスムーズになり、関節の可動域も広くなるのです。
そのため、運動前にはストレッチとしての筋膜リリースをおすすめします。
リフレッシュ効果
全身がこっている状態のときは、精神的にも明るい気持ちにはなれません。重さや痛みを体に感じ、ストレスから自律神経が乱れてしまいやすくなります。
筋膜リリースでは癒着しているところが痛みますが、血流が改善されることでスッキリとしてくるはずです。リフレッシュ効果もあるため、自律神経も整えることができます。
道具不要の簡単セルフ筋膜リリース2選
自宅やオフィス、学校など、出先でも簡単に行える、道具不要の筋膜リリース方法を2つ紹介しましょう。
- 背中や肩甲骨周辺の筋膜リリース
- お腹周りの筋膜リリース
背中や肩甲骨周辺の筋膜リリース
デスクワークやパソコン作業などで固まってしまいやすい、背中や肩甲骨周辺を動かす方法です。2分ほどで終わるため、休憩時間に取り組んでみましょう。
背中や肩甲骨周辺の筋膜リリースのやり方
- 机の前に立ち、肩幅程度に開いた両手の平を机につける。
- 肩から力を抜き、鼻から大きく息を吸い、息を吐きながら後ろへ両足を歩かせる。
- 机に置いた両手からお尻までが床とほぼ水平になるまで下がったら、視線を下へ向け、胸を床へ近づけるように背中をしならせる。
- 肩をすくめないようにしながら、ゆっくりと5回呼吸を続けるまでキープする。
息を吐きながら背中の力を抜いて、リラックスしましょう。
お腹周りの筋膜リリース
お腹周りの筋膜を伸ばして、くびれを作りましょう。お腹の筋膜リリースは老廃物の排出(デトックス)にも効果的です。
お腹周りの筋膜リリースのやり方
- 床の上にあぐらをかいて座り、両手は体の横に自然に下ろしておく。
- 息を吸いながら左手を頭の上へ伸ばす。
- 息を吐きながらその状態で上半身を右側へ傾ける。
- 手のひらと顔を下や上、正面などにゆっくりと動かす。
- その姿勢のまま、背中を丸めたり反らしたりしてお腹や背中の筋肉を伸ばす。
- 息を吸いながら状態を元の場所に戻し、息を吐きながら左手を床へ下ろす。
- 左右を反対にして、同様に行う。
上体を傾ける際に、お尻が床から浮かないようにしましょう。
数分でOK! 筋膜リリースを始めよう
筋膜リリースには、メリットがたくさんあります。
しかし、癒着を剝がすためと強く力を入れることはやめましょう。「痛いけれど気持ち良い」という程度の刺激でマッサージすることが大切です。
また、すでに強い痛みを抱えているところや怪我をしているところがあれば、自己流ではなく専門家や医師へ相談するようにしてください。筋膜リリースによって痛みが増す恐れがあります。
筋膜リリースは運動の前後の取り組みや寝る前のマッサージとして行うことがおすすめですが、体調を見て状況に合わせ、少しずつ取り組むようにしましょう。