ここ数年、日本でもTRXというトレーニング名をさまざまなところで見聞きするようになりましたね。TRXは大手のジムでも取り入れられており、年々人気が高まっています。
しかし、名前からはどのようなトレーニングをするのかわかり辛く、興味はあっても取り組むまではいかないという方もいるでしょう。
ここではTRXトレーニングについて、その歴史や取り組むことで得られるメリット、トレーニングメニューにはどんなものがあるのかを紹介します。TRXについて理解を深め、一歩を踏み出してみましょう。
目次
TRXとはアメリカ海軍で生まれたトレーニングシステムのこと
TRXはアメリカ海軍で生まれたトレーニングシステムで、正式には「TRXサスペンショントレーニング」と言います。サスペンショントレーナーと呼ばれるトレーニング器具を使用し、自分の体重と重力を負荷にして全身運動をするトレーニングです。
対象者は子供から高齢者までと幅広く、強度を自由に設定できるため、ダイエットやリハビリなどさまざまな目的で取り入れられています。
ちなみに「TRX」とはサスペンショントレーナーを開発・製造・販売している企業の名前ですが、トレーニングそのものを指す言葉として広く認識されているため、ここでもトレーニングのことをTRXと記載します。
TRXの歴史
TRXの生まれは、前述した通り、アメリカ海軍特殊部隊(ネイヴィーシールズ)でした。考案したのは当時の海軍特殊部隊の司令官だったランディ・へトリック。自分自身と隊員が任務を確実に遂行できるように体力やコンディションを維持しようと、柔術ベルトやパラシュートウェビングなどその場にあるものを使ってトレーニング器具を考え、隊員をトレーニングしました。
以下は、TRX社とトレーニングの歴史を簡単にまとめたものです。
- 1997年にランディ・へトリックによって考案、最初のモデルを開発
- 2004年最初のトレーニングコースを開発
- 2006年海外でTRXの販売開始
- 2007年アメリカ海兵隊の主要なトレーニングに
- 2009年60ヶ国以上のジムで100万人以上に利用される
- 2011年日本、ブラジル、イギリスにオフィスを設置
- 2023年までに80ヶ国以上の国々に導入されている
なお、日本単体では現在、6,000人以上の人がTRXのコースを受講しています。
TRXトレーニングが持つ5つのメリット
TRXトレーニングが持つメリットにはどのようなものがあるでしょうか? 5つのメリットについて紹介しましょう。
- 年齢性別に関係なく取り組める
- コストパフォーマンスが高い
- トレーニングメニューがとても豊富
- 動作の習得が早い
- 取り組める場所が多い
年齢性別に関係なく取り組める
TRXトレーニングは運動強度が幅広いため、取り組む人のレベルに合わせた強度で柔軟にメニューを組めます。したがって、子供から高齢者まで、性別に関係なく取り組むことが可能です。
日ごろ運動をしていない方やケガや病気によってリハビリが必要な方でも、ケガのリスクを減らした安全なトレーニングができます。
コストパフォーマンスが高い
TRXトレーニングに必要な道具は、サスペンショントレーナーと呼ばれる器具のみです。一般的なウエイトトレーニングのように、ダンベルやバーベル、鉄棒、マットレス、ベンチなどさまざまな器具を準備する必要がありません。
そのため、コストパフォーマンスが高いことも人気の理由のひとつです。
トレーニングメニューがとても豊富
TRXのトレーニングメニューは、その数およそ300以上あります。一般的な筋トレメニューはほとんどすべてがTRXで再現可能なうえ、ストレッチやヨガなどのメニューもサスペンショントレーナーがあれば、同様に取り組めるためです。
動作の習得が早い
TRXトレーニングでは強度を簡単に変更できます。そのため、自分が苦しくない低負荷からトレーニングをスタートでき、じっくり正しい動作を覚えられるのですね。
他のトレーニングに比べると動作の習得が早く、運動が苦手な方でもモチベーション維持が簡単です。
取り組める場所が多い
TRXサスペンショントレーナーは非常にコンパクトで持ち運びが楽なアイテム。そのため、どこにでも持っていけるうえ、ドアアンカーという部品もあればホテルや体育館、公園、自宅でもトレーニングが可能です。
取り組める場所が多いため継続しやすく、運動を習慣化しやすくなります。
TRXトレーニングで期待できる効果
TRXトレーニングで得られる効果は2つ、「体幹強化」と「筋肉の持久力の向上」です。
体幹強化
体幹は書いて字のごとく「体の幹」のこと、つまり、人の胴体部分を指します。手や足、頭はすべて胴体とつながっているため、胴体部分がぐらぐらと不安定であれば全身が使い物になりません。そのため、体幹を鍛えることは重要です。
その体幹を鍛えるトレーニングで有名なのはバランスボールですが、TRXトレーニングもバランスボールと同じように不安定な状態で動作を行います。体が無意識にバランスを取ろうとして胴体部分の筋肉をよく使うため、体幹を強くする効果が得られるのです。
体幹を鍛えることにより、各種スポーツにおけるパフォーマンスの向上や日常生活でのケガリスクの減少、良い姿勢を維持できるようになるなどの効果が期待できます。
筋肉の持久力の向上
また、TRXトレーニングでは筋肉の持久力向上も期待できます。たとえばダンベルなどの器具を使うウエイトトレーニングでは全身を使わず、対象となる筋肉部位のみを強く刺激します。その結果、体重とのバランスが悪くなるケースもあるのです。
一方、TRXトレーニングは手または足の一部が床と接した状態で他の部分は宙に浮いているため、バランスを取るためにどのメニューでも全身をくまなく使います。また自分の体重の範囲内でじっくりと負荷をかけるため、筋肉に持久力がつきやすくなるのです。
硬く太い筋肉ではなく、しなやかで強靭な筋肉が手に入るのですね。
TRXトレーニングのメニュー例を紹介
具体的にどのようなメニューがあるのかを知りたい方のため、ここではあくまで一部ですが、TRXのトレーニングメニューを紹介しましょう。
また、便宜上ここでは筋肉の部位別にトレーニングメニューを紹介しますが、TRXは一般的なウエイトトレーニングのように部位別に鍛えるトレーニングではありません。
そのためメニューを選ぶときには、ダイエットやパフォーマンスの向上など目的別にメニューを選択することがおすすめです。
体幹を鍛えるメニュー
TRXプランク、TRXマウンテンクライマーなど。
胸を鍛えるメニュー
TRXチェストプレス、TRXチェストフライなど。
腹筋を鍛えるメニュー
TRXクランチ、TRXパイクなど。
背筋を鍛えるメニュー
TRXボディソーなど。
下半身を鍛えるメニュー
TRXハムストリングカール、TRXスクワットなど。
上半身を鍛えるメニュー
TRXロールアウトなど。
ヨガとTRXを組み合わせたトレーニングについてはこちらの記事をどうぞ。
「TRXを利用したヨガファウンデーションとは」
TRXは全身を効果的に鍛えられるトレーニングシステム!
TRXは取り組む人を選ばない、全身運動のトレーニングシステム。自分の体重と重力を使い、負荷を自由に変えながらじっくりとバランスよく筋肉を刺激できます。
トレーニングはつらく厳しいものと考え中々一歩を踏み出せない方も、ぜひ一度TRXトレーニングを体験してみてください。軽い負荷をかけることからスタートできるため、楽しみながら持久力・瞬発力・バランス力に優れた体へと変えていけますよ。