多くのアスリートが実践していることでも話題の「ケトジェニックダイエット」は、糖質の代わりに脂質からエネルギーを得るダイエット法です。
脂肪を燃焼しやすい体へと変化させるため、一度体内から糖質を枯渇させることでどんどん体重が減少し始めます。
興味を持つ方の中には「ケトジェニックダイエットは安全なのか」「どのような食事制限をすれば良いのか」など、さまざまな疑問を抱く方もいることでしょう。
この記事ではケトジェニックダイエットとは何か、エネルギー源を脂肪に変えるというのはどのようなことか、ケトジェニックダイエットの具体的なやり方や注意点、ケトジェニックダイエットが向かない人について解説していきます。
目次
糖質から脂質をエネルギー源に変える“ケトジェニックダイエット”とは?
ケトジェニックダイエットは、人が動くためのエネルギー源を糖質から脂質へ変えることによって、全身の脂肪を燃焼させるダイエット方法です。
簡単に言うと「糖質制限ダイエット」ですが、ただ単に糖質を制限するだけのものではありません。
糖質を減らして体重を減らすことが目的ではなく、体内のエネルギー源を糖質から脂質へと変化させることが目的です。
正しく行えば体重の減少だけでなく、頭の回転や思考がすっきりしたり、ボディラインが引き締まったりといった効果が期待できます。
人間にはエネルギー回路が2つある
多くの方は糖質が体を動かす力になるということはご存じでしょう。
糖質の代表的な食物はパンや麺類、ご飯などの炭水化物から摂れるものですね。もしも糖質制限ダイエットをしている場合でも、決められた最低限の糖質量を摂る必要があります。
しかし実は、人間は糖質由来のブドウ糖以外にも、脂質由来のケトン体をエネルギー回路にできます。
実際に、生まれたての赤ちゃんは、ケトン体をエネルギー源として動いていました。赤ちゃんが成長し、食事をとるようになってからはご飯や麺、パンなどの糖質からエネルギーを取るようになるのです。
そのため、誰でも脂質をエネルギー源とすることは可能です。糖質をギリギリまで制限することでエネルギー源をケトン体に変更させると、動くために体内の脂肪をどんどん燃やすようになります。
ケトジェニックダイエットの成功指標は「ケトーシス状態」
糖質ではなく脂質をエネルギーとして使っている状態のことを「ケトーシス状態」といいます。
ケトジェニックダイエットでケトーシス状態になれたら、ダイエットは成功したも同然です。
ケトーシス状態になると、早い人なら3日ほど、遅くとも2週間程度で身体に変化が訪れるでしょう。
体内の脂肪をガンガン燃やして動いている状態なので、特に激しい運動をしなくとも順調に痩せていくと期待できます。
ケトーシス状態になるとさまざまな体調不良を起こすことも
ケトジェニックダイエットは脂質をエネルギーとして代替して消化する面では、ダイエットを志す方には非常に大きなメリットですが、メリットの反面のデメリットもあります。
ケトジェニックダイエットは極端な糖質の摂取制限となり、体に合わない方はが実施してしまうと以下のような症状を起こしてしまう可能性があります。
- 感情の起伏が激しくなり精神的に不安定になる
- 食事リズムが崩れることで過食症や摂食障害のリスクが高まる
- リバウンドの可能性が高まる
- 便秘になりやすくなる
- 下痢を引き起こす可能性がある
ケトジェニックダイエットの期間は長期間の実施は避け、1週間から長くても3ヶ月程度までの実施がベストと言われています。
ケトジェニックダイエットを長期間おこなうことで、上記のような症状を引き起こす可能性を高めたり、健康状態を悪化させてしまう可能性もありますので取り組む際は十分に健康状態を注意しながら無理をせずに余裕を持って取り組みましょう。
糖質制限(カロリー制限)とケトジェニックダイエットの違い
ケトジェニックダイエットも食事から糖質の量を減らすという点では糖質制限と同じですが、厳密には少々異なります。
糖質制限は単純に摂取する糖質量を減らす(炭水化物を減らす)ダイエット法ですが、ケトジェニックダイエットでは三大栄養素(タンパク質・脂質・糖質)のバランスを意識した食生活の徹底が必要となります。
食事で得る栄養をタンパク質・脂質・糖質の比率をカロリー単位で「3:6:1(タンパク質:脂質:糖質)」にするのがケトジェニックダイエットの特徴です。
ケトジェニックダイエットのやり方と注意点
ケトジェニックダイエットでは、以下のルールと注意点を守りましょう。
- 摂取する炭水化物の量を1日50g(200kcal)に抑える
- 糖類オフ系の製品、食物は利用しない
- 水分と食物繊維を多めに摂る
- ケトジェニックダイエットの期間は長くても3カ月以内にする
炭水化物の量を1日50g(200kcal)に抑える
性別や年齢、毎日の活動量によりますが、一般的に女性は1日に2,000kcal、男性は2,500kcal前後が適正な摂取カロリーとされています。
そこからタンパク質・脂質・糖質の割合を3:6:1で計算すると、糖質は約50g(200kcal)になるため、なかなか厳しい制限がかかります。
たとえばおにぎり1個の糖質が約38.1g(約156kcal)の場合、1日に1つ食べると他の炭水化物はほぼ食べられません。肉や魚、野菜にも炭水化物は含まれるため、全部で1日約50gの糖質に抑えるには、少量でもご飯は食べないということになります。
糖類オフ系の製品、食物は利用しない
糖類とは糖質の一部のことなので、糖類がオフやゼロであっても糖質がオフやゼロではありません。
多くの場合、糖質量が書いていない市販商品は、実際には糖質が多く含まれていると考えるようにしましょう。たとえば糖類ゼロビールは糖類がゼロでも糖質はゼロではないため、ダイエット中はそもそも利用しないようにする方が賢明です。
水分と食物繊維を多目に摂る
炭水化物を控えると、炭水化物の中に入っている食物繊維も同時に取れなくなります。
さらに、タンパク質を多く摂取すると腸内の悪玉菌が活発に活動するようになり、腸内環境は悪くなってしまいます。
そのため、ケトジェニックダイエット中は糖質を減らしながら、水分と食物繊維を意識して取るようにしましょう。
ケトジェニックダイエットの期間は長くても3カ月以内にする
正しい方法で取り組んだとしても、ダイエット実施期間が長くなると毒にもなると覚えておいてください。
たとえば、以下のことが考えられます。
- 筋肉量低下
- 代謝低下
- 体重の下がり止まり
- リバウンド
栄養を意識的に枯渇させる結果、長引けばいくつかのリスクが出るため、短期間もしくは長くても3カ月程度のスパンで実施してください。ダイエットを終了したら、それ以降はゆるやかな糖質制限に移行することがおすすめです。
ケトジェニックダイエットで「食べていいもの」「避けるもの」
ケトジェニックダイエットの期間中に食べていいものと避けるものを紹介します。
ケトジェニックダイエット中に食べていいもの
- 肉
- 魚介類
- 卵
- ナッツ
- 上質な脂肪と油(フィッシュオイル、オリーブオイル、MCTオイルなど)
- 土の上で育つ野菜
- 海藻類
主菜は積極的に食べましょう。土の上で育つ野菜は、キャベツやきゅうり、ナスなどがおすすめです。また、ミネラルを摂取するために海藻類もしっかり食べるようにしてくださいね。
ケトジェニックダイエット中は避けるもの
- フルーツ
- 野菜ジュースを含む市販のジュース
- 根野菜
- お菓子
- サラダ油やマーガリン
根野菜やフルーツなど糖質が多いものや、脳が嫌がる「トランス脂肪酸」が含まれるマーガリンや菓子パン、お菓子類などは止めておきましょう。
ケトジェニックダイエットが向かない人
体質が合わない方がケトジェニックダイエットを取り組むと、返って健康を害す可能性があるため注意が必要です。
ケトジェニックダイエットでは炭水化物の量を極めて少なくするため、その影響でセロトニンという脳内物質の分泌が低下する場合があります。セロトニンは幸福ホルモンと呼ばれるもので、これが少なくなるとやる気の低下や不眠を招くことがあります。
そのため、無気力状態ややる気が上がらない、自己肯定感が下がるような場合は、すぐにケトジェニックダイエットを中止しましょう。
また、もともとセロトニンの分泌障がいがあるうつ病やパニック障がい、不安障がいなどを持っている方は、ケトジェニックダイエットをおすすめしません。
ケトジェニックダイエットで脂肪を燃焼しまくる! 食事のバランスを重視しよう
体内の糖質を一時的に枯渇させることでエネルギー源が糖質から脂質に変化し、ケトーシス状態になります。すると体脂肪がどんどん燃やされてすっきり痩せた体になる、これがケトジェニックダイエットです。
糖質制限と似ていますが、実際には炭水化物や脂質とのバランスがとても重要です。返って不健康にならないよう、食事管理を意識して行い、ダイエットを成功させましょう。
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