近年よく見聞きする「ワンオペ」とは「ワンオペレーション」の略で、一人で業務や作業をこなすことを意味する言葉です。
この言葉が世間に浸透するにつれて、日本では育児を一人でこなすことをワンオペ育児と言うようになりました。
産後の母親はただでさえ心身がボロボロなのに、さらに四六時中手がかかる子どもと過ごしていれば、誰でもイライラしますよね。
しかし世の中には、育児にイライラする自分を責めてしまう親御さまもいるようです。
この記事では、ワンオペ育児でイライラすること、イライラを少しでも緩和できるようにおすすめしたい4つの方法、そしてイライラの原因を作る配偶者への対応などを解説します。
ワンオペ育児を必死に頑張る親御さまが少しでも楽になれる方法を、ぜひ一緒にみていきましょう。
目次
ワンオペ育児でイライラする! 原因を理解して自分を責めないようにしよう
話の通じない、コミュニケーションがうまく取れない子どもの面倒を一人で見ているのであれば、間違いなくイライラしてしまいます。それは自然なことで、普通のことです。
そのため、まずはイライラしている自分を否定したり情けなく思ったりせず、受け止めるようにしましょう。
そのうえで、ワンオペ育児がイライラする原因を知るようにしましょう。原因を知れば、それに対応することで解消の糸口を掴むことができるかもしれません。
ワンオペ育児でイライラしてしまう大きな理由は、以下の3つが考えられます。
- 単に人手が足りていない
- 不安やイライラは本能からのサイン
- 人への期待
単に人手が足りていない
イライラしてしまう原因のひとつは、単に人手が足りていないからです。
育児や家事に追われ心に余裕がないため、思うように育児や家事が進まなかったり、子どもの行動にイライラしてしまいます。
まだ食事やトイレが自力ではできない子どもの世話をするには、子ども一人につき大人一人は必要です。にもかかわらず、大人一人で二人や三人の子どもをみていると、当然人手が足りません。
これは配偶者や自分の両親、配偶者の両親、友達、兄弟姉妹など、他の大人の手を借りることで解消できます。
もし周りに頼れる人がいない場合は行政や各自治体でベビーシッターを無料で利用できたり、補助金が利用できる場合がありますので調べて活用することもおすすめです。
不安やイライラは本能からのサイン
太古から弱い人間が自然界で生き残るために、進化の過程で「集団による子育て」をしてきました。
産後は女性ホルモンのエストロゲンやプロゲステロンが急激に減少するため、通常よりも孤独や不安を強く感じやすくなります。
その結果、太古の女性は女性同士の集団で子どもを分け隔てなく育ててきたのですね。しかし、現代は核家族化が進み、それができていません。
不安やイライラはホルモンバランスの崩れによるものであるため、頑張ればどうにかなるといった根性論では片づけられないのです。
イライラしてきたなと思ったら、それは「誰かの手を借りよう」という本能からのサインだと考えましょう。
参考:赤羽すずらんメンタルクリニック「産後うつの原因とは?考えられる6つの理由をチェック」
人への期待
同じように家事や育児に参加してくれるはずと、同居人である配偶者や家族に期待してしまいますよね。
さらに、近所に住んでいる実家の両親や義両親にも期待することがあるでしょう。
しかしさまざまな事情で期待が裏切られたとき、子どもの世話を一人でしている人にはイライラがたまります。期待するのではなく、口に出して希望を述べるようにしましょう。
ワンオペ育児でのイライラを解消・緩和する方法
ワンオペ育児でのイライラを解消・緩和するためには、以下のような対策法があります。
- 睡眠時間を確保する
- 家事の手を抜く
- 自分で自分を褒める
- 愚痴を言い合える人を見つける
睡眠時間を確保する
睡眠時間の確保は心身の余裕につながります。
ちゃんと眠れている人間は、心身が回復した状態で朝を迎えるため、うまくいかないことがあっても物事から距離をおいて冷静に判断できます。
しかし眠れていないと心身の疲れがたまったままなので、つい感情的になってしまうことが多いでしょう。
子どもが昼寝しているときは一緒に寝る、夜も子どもの寝かしつけで一緒に朝まで寝るなど、親の睡眠時間を確保してみてください。
家事の手を抜く
子どもがいないときはきれいな状態を保てていた家も、子どもがひとりでもいると必ず混乱状態になります。
同じく、子どもがいないときには余裕があるため栄養バランスを考えた食事を用意できていたとしても、子どもがいるなら同じような食事作りは困難です。
その現実を受け止め、家事はできるだけ手を抜いてみてください。
洗濯機と乾燥機を使いまわす、ロボット掃除機に床掃除は任せる、食洗器でお皿を洗うなど、機械に任せられることは任せてしまいましょう。
休日など夫婦が揃うときに一緒に家事をしたり、一人が子どもを見ている間に交代で済ませたりすることもおすすめです。
自分で自分を褒める
家事や育児は、どれだけ頑張ってもその頑張りが見えないところが苦しいもの。何かをやったあとは自分で自分を褒める習慣をつけてみてください。
家事を片付けたあと、子どもを寝かしつけたあとに「今日もよく頑張ったね」と自分へ言葉をかけましょう。甘い飲み物でも作って、リラックスタイムを作れたらなお良しです。
愚痴を言い合える人を見つける
愚痴を言い合える人を見つけることも大切です。ちょっと話を聞いてもらうだけで、気持ちは大きく救われるもの。
まずは子どもの年齢が似たお母さん同士、お父さん同士で話せる相手を見つけてみてください。
ワンオペ育児で思い悩む前に家族と話合おう! 家族を動かす方法
日本では、配偶者や家族、特に男性は、育児に対して当事者意識を持ちにくいと言われています。
「男は仕事、女は家事育児」という時代が日本でしばらく続いたため、中には「家事・育児は男性の仕事ではない」や「女性の方が向いている」、そして「男性が家事・育児をすると周囲から冷たい目で見られる」などと思う男性が少なからずいます。
しかし一方で、多くの男性が「男性も家事・育児を行うことは、当然である」と思っているようです。
また、やる気がないわけではないのですが「やり方がわからない」「手を出したら叱られたことがある」などが原因で、行動の前で止まっているケースもあるでしょう。
家族に対するイライラを緩和するには、以下のことを試してみてください。
- 詳細にわたって的確に指示を出す
- 決めたことをしない配偶者のサポートはしない
- 休日は子どもと遊びに出させる
詳細にわたって的確に指示を出す
配偶者や家族に家事や育児への参加を促す場合は、1から10までしっかり指示しましょう。
「わかってくれるだろう」ではなく、言葉にしなければ何も伝わりません。家事でも仕事でも育児でも、初めは誰もわかりません。
しっかり指示を出して、行動を促してください。すべきことが完了したら、お互いに感謝を述べることも忘れないようにしましょう。
決めたことをしない配偶者のサポートはしない
分担を決めたら、完全に任せましょう。手や口を中途半端に出してはいけません。
もしも体調不良や不在以外で決めたことをやってくれない場合は、自分がフォローやカバーをしようとしないことも大切です。
休日は交代で休みを取ると提案する
日常的な協力が難しい場合には、丸一日だけでいいと話してみてください。たとえば夫は土曜日で妻は日曜日など、お互いに家事や育児のオフ日を設定し、その日はフリーで好きなことができるようにします。
半日だけでも子どもや家事から離れられる時間があれば、心の余裕は大きく違うはずです。
ワンオペ育児は18年続く! できることから自分を楽にしていこう
子どもの成人は、日本では18歳ですね。手が離れるようになるのは高校生のころですが、それでも育児は成人まで終わりません。子どもは別人格でコントロールできないため、イライラすることも多いでしょう。
育児において「こうあるべき」という考えをあまりに持ちすぎると、自分を追い詰めてしまうかも知れません。手を抜けるところは抜いて、今の自分を心身ともに楽にしていきましょう。
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