中高年以降に膝や腰に痛みや不調を感じる方が多くなってきます。これは姿勢が悪いことが第一の原因です。
実は多くの方が「正しい姿勢で立ってみてください」と言われるとできません。これは学校の教育や日ごろの悪癖によって、少しずつ体に歪みが出たからだと考えられます。
正しい立ち方・姿勢でなければどこかに負担がかかるはずで、それが年齢を重ねたときに痛みや不調となって現れるのですね。
では、正しい姿勢で立つとはどういうことでしょうか。
この記事では現在の自分が正しい立ち方・姿勢でいられているかどうかの簡単なテスト方法、真っ直ぐに立つヨガのポーズやその注意点などを紹介します。
将来の健康のためにも、ぜひ正しい姿勢で立つことを実践してみましょう。
目次
今までの「正しい立ち方」は間違い!? 自分の立ち方・姿勢を直視しよう
年を重ねるうちに腰や膝が痛くなることが増えてきた、下腹部がぽっこりと前に出ている、そのような経験がある方は、「正しい姿勢で立っているか」を意識してみることをおすすめします。
本来の人間の正しい立ち方は、真横から見たときに耳からかかとまでが真直ぐになった状態を指しますが、この場合、重心は体の真ん中になければいけません。ところが日々の悪癖などにより、多くの方は重心が体の後方にきてしまっています。
自分の立ち方は客観的にみることが難しいため、鏡に映したり写真を撮ったりして、どのような姿勢で立っているかの確認をしてみてくださいね。
正しい姿勢で立てているかのテスト方法
正しい姿勢で立てているかの簡単なテストを紹介します。以下がその手順です。
- 自分がよいと考える「真っ直ぐな姿勢」になる。
- 他の人に自分の両肩を真っ直ぐ上から押してもらう。
- 腰や膝が前に出て姿勢が崩れてしまったらアウト。
学校や職場などで教わる「よい立ち方」は、多くの場合が背筋を伸ばして胸を張った姿勢です。しかしこちらはあくまでも相手に礼儀を示すための立ち方で、いわば「見せるための姿勢」。本来、人の身体の仕組みから見ると、気を付けの姿勢はかなり不自然なのです。
実際に上記のテストを行うと、学校で習う「気を付け」の姿勢をしている場合は膝が前に出てすぐに崩れてしまいます。それは背筋が真っ直ぐであるため、上からの力に背骨が衝撃を吸収できないからです。
正しい姿勢で立つと、人の背中はゆるいS字カーブを描きます。そして若干猫背気味で、膝は曲げずに真っ直ぐに伸ばし、耳・首・かかとが一直線になります。一見だらけて見えるのですが、その状態でもう一度テストをしてみると、上からの力にも踏ん張れて崩れないはずです。
悪い姿勢で立つことを続けると「反り腰」や「膝痛」が起こりやすくなる
普段の生活で「真っ直ぐに立っている」とわたし達が思っている姿勢は、前述したように、小学校などで教育される「気を付け」や「直れ」の姿勢です。実際には体の持つ自然な曲線を無視した姿勢であるため、体に負担がかかっています。
問題は、胸を張ろうとして肩が後ろへ下がり重心が後ろへいくため、バランスを取ろうとした腰が前へ出て、反り腰の状態になること。その状態で長年過ごしていると、加齢などによって筋力が弱くなってくると同時に腰や膝に痛みが出やすくなります。
正しい姿勢で真っ直ぐに立つためにヨガの「山のポーズ(タダーサナ)」がおすすめ!
正しい姿勢はヨガで学べます。
山のポーズはサンスクリット語で「タダーサナ」と呼ばれるポーズで、ヨガでは基本中の基本のポーズです。狭い場所でもヨガマットがなくても実践できるため、隙間時間にその場で実践できます。
山のポーズ(タダーサナ)の効能は以下の通りです。
- 全身疲労感の解消
- お腹の引き締め
- 骨盤周辺の歪みの改善
- 肩こりの解消
- 扁平足の改善
特にとても疲れた日には、全身のストレッチと共に山のポーズも取り入れてみてください。深い呼吸で全身に酸素を行き渡らせましょう。
【山のポーズ(タダーサナ)のやり方】
- 両足を揃えて立ち、足裏全体で地面をしっかり踏む。親指の付け根、小指の付け根、かかとの内側と外側の4点を地面に当てるようにする。
- 両手を体の側面に沿わせ、両膝を正面にむける。
- 腰が反らないように気を付けながら、下腹部を体の真ん中へ引き入れるイメージで力を入れ、胸を斜め上へ引き上げる。
- 首の後ろを伸ばし、肩に力が入らないようにストンと落とす。
- 顎の下は床と平行にして目線は前へ向ける。
- 天井から糸で頭が釣られているように、頭頂と足裏で体を引っ張り合うイメージで立つ。
体の重心が真ん中にくるように調節し、そのまま数呼吸繰り返します。呼吸に集中したい方は、まぶたを軽く閉じてみることがおすすめです。
山のポーズ(タダーサナ)をするときの注意点
山のポーズを行うときの注意点は以下の通りです。
- 全身に力を入れすぎないようにする
- 下腹を引き締めるようにする
- 低血圧の方は慎重に行う
全身に力を入れすぎないようにする
バランスを意識しすぎると、肩に力が入りすぎてしまってリラックスできません。肩はストンと下へ落とすようにし、首を長く保ちましょう。
下腹を引き締めるようにする
体を真っ直ぐにしようとすると多くの方が反り腰になります。しかし反り腰の状態では上半身を腰だけで支えることになり、腰に強い負担がかかり痛める原因に。そのため、ポーズで意識すべきは下腹の引き締めです。
下腹部を引き締め、自然に耳とかかとが一直線になるように調整してください。
低血圧の方は慎重に行う
低血圧の方は、山のポーズをしている間にふらりとなることがあるかもしれません。もしも頭痛やめまいを感じたら無理をせず、その場にゆっくりと座るようにしましょう。
日ごろから真っ直ぐな姿勢になるように注意して過ごすことが大切
姿勢を悪くしないためには、普段の行動から意識していく必要があります。特に下記のような行動は、体の左右バランスを崩す原因です。
- 脚を組む
- 片方の足に寄りかかって立つ
- 椅子に深く座る
左右の筋肉バランスを崩すのは、どちらかに負担がかかる姿勢です。座るときに脚は組まない方がよいのですが、どうしても組みたいという方は左右で交互に組むようにしてください。
普段は椅子に浅く腰掛けて腰を反らない程度に背筋を伸ばし、立つときは両足裏で地面を踏みしめるようにしましょう。
ちなみに、「胸を張る」の正しいやり方は、胸を斜め上へ引き上げるイメージです。両肩を後ろへ引いて肩甲骨を背中に寄せるようにするのではなく、ただその場で胸だけを少し引き上げてください。反り腰にならずに済みますよ。
普段の行動を思い出し、少しずつでも習慣を変えていきましょう。
ヨガの山のポーズで真っ直ぐな姿勢に! 正しく立つことで健康を維持しよう
普段意識することはほとんどないかもしれませんが、「正しい姿勢で真っ直ぐに立つこと」は、体にとって最も負担が少ない立ち方です。
背筋を伸ばして胸を張る「よい姿勢」と一般的に言われる立ち方は、腰や膝に負担がかかるため、長年続けているといずれ痛みや不調が出てきます。そうならないためにも、正しい姿勢で立つことが大切。山のポーズを実践し、正しい立ち方を覚えましょう。
山のポーズは体へのメリットも多いポーズです。思い立ったときに取り組み、全身の健康を維持してくださいね。
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