- 筋肉痛の発生と原因について
- 筋肉痛が発生しやすい運動とは
- 筋肉痛を緩和するストレッチやその他方法
筋肉痛は運動によって生じる痛みです。
動けないほど強く痛みがでたり、軽度な痛みのケースもありますが、強い痛みの場合は早く改善したいと焦る方も多いのではないでしょうか。
そもそもなぜ筋肉痛が発生するのか、筋肉痛の発生に時間差がある理由や筋肉痛を起こしやすい動きにはどのようなものがあるかについて、解説します。
また、痛みを早く治すために必要なことについても触れますので、ぜひ参考にしてください。
目次
筋肉痛は筋線維の損傷が原因で発生すると言われている
筋肉痛とは、過剰な運動や不慣れな運動が原因で、全身の筋肉に生じる痛みのことです。
正式名称は「筋・筋膜性疼痛症候群」と言います。
痛みが発生するメカニズムはまだ完全に解明されていませんが、一説には筋線維が運動によって損傷し、その部分が炎症を起こすためではないかと言われています。
筋肉痛には「遅発性筋肉痛」と「早発性筋肉痛」の2種類があり、一般的に筋肉痛と呼ばれるのは遅発性筋肉痛のことです。
遅発性筋肉痛は、運動後数時間から数日後に生じる痛みのこと、そして早発性筋肉痛は、運動中や直後に生じる痛みを指します。
筋肉痛が発生するのに時間がかかる理由
筋線維そのものには、痛みを感じる神経はありません。
筋線維が損傷し、炎症が広がって発痛物質が筋膜に届くようになってから感じるため、運動してすぐの発生ではなく時間差があると考えられています。
普段からよく動かしている筋肉には、筋肉に血液を送る毛細血管がよく発達しています。
しかし、あまり使われていない筋肉の毛細血管は未発達で、十分に張り巡らされていません。
そのため、損傷した筋線維に血液成分が集まるのに時間がかかり、さらに発痛物質が生産されるのにも時間がかかることで、忘れたころに痛みが出てくると考えられています。
「年を取ると筋肉痛が遅く出る」という話を見聞きしたことがあると思いますが、あれは俗説で、裏付ける証拠は現在まで発見されていません。
筋肉痛になりやすい運動
筋肉痛になりやすい動きは、以下のような場合です
- 伸びながら力を発揮する伸張性運動:重い荷物をおろすなど
- 縮みながら力を発揮する短縮性運動:重い荷物を持ち上げるなど
- 伸縮なく力を発揮する等尺性運動:腕相撲など
筋肉を伸ばすときの方が筋線維への負荷が大きくなるため、損傷しやすくなります。
そのため、階段を下りるときや坂道を下りるとき、重い荷物を下ろすときなどは、ゆっくりした動作を心がけるようにしましょう。
遅発性筋肉痛の原因
前述したように、未だ筋肉痛の発生メカニズムは解明されていません。
以前は、運動によって筋肉に乳酸と呼ばれる疲労物質が溜まり、その反応で筋肉痛が起こるという説が有力でした。
しかし現在は、乳酸が傷の修復促進などに再利用されていることがわかっているため、筋肉痛の直接的な原因には当たらないと認識されるようになっています。
ここで、一般的に「筋肉痛」と認識されている遅発性筋肉痛の原因について、定説と新説を紹介しましょう。
遅発性筋肉痛の原因:定説
遅発性筋肉痛の原因の定説では、筋線維の炎症反応で痛みが発生するとされています。
人の筋肉(骨格筋)は何千にも及ぶ筋線維が集合してできています。
運動をしたりトレーニングをしたり、普段はしない動きをしたりして筋肉に負荷をかけると、筋線維が少しずつ損傷し、そこが炎症を起こします。
炎症が原因で、痛みを引き起こす原因物質であるヒスタミンが分泌されます。
そしてヒスタミンによって筋膜や周辺の組織に張り巡らされた神経が刺激を受け、炎症がある部分に痛みが生じ、筋肉痛と認識されるという説です。
遅発性筋肉痛の原因:新説
一方、遅発性筋肉痛の原因の新説では、筋損傷を伴いません。
筋線維は炎症を起こしてはおらず、筋肉が疲労することでさまざまな作用が発生して神経が過敏になり、筋肉痛として感じるという説です。
運動を続けることで徐々に筋肉が疲労すると、筋線維の細胞膜にある気体や液体、イオンなどを透過させる性質に異変が発生します。
すると本来は細胞膜から出ないはずの「筋肉の損傷に反応する酵素」などの物質が血管に入ってくることに。
その結果、組織内で発痛物質が分泌され、さらに複数の反応を起こし、感覚神経の感度を高めることで神経過敏となって、筋肉痛だと感じるという説です。
早発性筋肉痛の原因
早発性筋肉痛は、運動中や運動直後に発生するため、急性筋肉痛や即発性筋肉痛とも呼ばれています。
その名の通り発生が早く、運動中にズキっとした痛みが生じて思うように動けなくなることがあります。
痛みは急激で、短距離走や重量挙げなどの激しい運動に多い筋肉痛です。
早発性筋肉痛は、筋膜が部分断裂を起こすなどの物理的なダメージが原因になったり、水素イオンなどが溜まって筋肉内にある痛みの受容器を刺激することが原因になったりします。
筋肉痛を改善は「冷やす」「血流促進する」「栄養補給する」が必要
筋肉痛を改善するのに必要な、以下の3つをみていきましょう。
- 患部を冷やす
- マッサージやストレッチで血流を促進する
- 食事で栄養補給する
患部を冷やす
強く痛みが出ている場合は、筋線維がダメージを受け炎症を起こしている状態です。
まずは氷嚢などを使って患部を冷やし、炎症の悪化を抑えましょう。
マッサージやストレッチで血流を促進する
患部の強い痛みが治まれば、マッサージやストレッチを行ってください。
疲労物質を流れやすくするため、そして筋線維の修復に必要な酸素や栄養をスムーズに取り込めるようにするために、筋肉組織の血流を促していきましょう。
ぬるめのお湯を張った浴槽に全身浸かり、軽くマッサージをしながら体全体を温めると血行促進に効果的です。
その後、無理のない範囲でストレッチに取り組んでください。触ると痛むという箇所をもみ込む必要はありません。
食事で栄養補給する
さらに食事でエネルギーを摂取して、疲労回復をサポートしましょう。
疲労した体をサポートするには、以下の栄養を積極的に摂る必要があります。
- たんぱく質
- 炭水化物
- ビタミンB群
- カルシウム
- 亜鉛
たんぱく質は筋肉を作る栄養素であるため、普段から意識して摂取することがおすすめです。
また、炭水化物は体を動かすエネルギーになりますし、ビタミンB群は糖質や脂質の代謝を助ける働きがあります。
筋の収縮をサポートするカルシウムは必須アミノ酸、そして亜鉛は筋肉の回復効率を向上する効果が期待できます。
基本的に、必要な栄養は3度の食事で摂取するようにしますが、難しい場合はサプリメントやプロテインなどを利用してもよいですね。
また、回復のために何よりも重要なのは休息です。疲労回復のために食事でしっかり栄養を摂り、夜は十分な睡眠を取ってください。
筋肉痛への理解を深めて早めの対処をしよう
筋肉痛は日常生活に支障が出ることもある身体的痛みであるため、やはりできれば出ない方がいいですし、早く回復する方がよいですよね。
筋肉痛のはっきりとした原因はわかっていませんが、スムーズな回復には栄養補給と休息が必要なことは間違いありません。
また、血行促進にストレッチは効果的ですが、筋肉を伸ばした際に違和感があるときは、無理に動かさず安静にしてください。
筋肉痛になったときはできるだけ心身をリラックスさせ、早めの就寝を心がけましょう。
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