- カーリングペアレントについて
- カーリングペアレントが与える子どもへの悪影響とは
- カーリングペアレントの脱却方法について
カーリングペアレントとは、子どもに対して過保護・過干渉な親を指すデンマーク発祥の言葉です。
我が子が可愛いと思うのは誰しも同じですが、その愛情が子どもをコントロールする方向へと進んでしまうと、子どもの自立の芽を摘む原因になってしまいます。
この記事では、カーリングペアレントとはなにか、カーリングペアレントの何が問題なのか、カーリングペアレントが子どもに与える悪影響や親の役割について解説します。
我が子のことを心配しがちな親がなってしまいやすいカーリングペアレントについて、ぜひ学んでいきましょう。
目次
「カーリングペアレント」は子どもを過剰に保護する親のこと
カーリングペアレントはデンマーク発祥の言葉で、幼少時からの親の継続的な過保護傾向を指す言葉です。
子どもの失敗要因になりそうなこと、障害と認められることに次々に手を出し、子どもが進む道を平にならしてしまう「過保護で過干渉な親」を表しています。
カーリングとは競技スポーツの1つで氷上をすべるストーンの前を、ブラシでこすりながら石を思い通りの方向に誘導するスポーツのことです。
カーリングペアレントとは、そのカーリングと同様に親が子どもを思い通りに失敗のない人生に誘導する様を例えた言葉なのですね。
カーリングペアレントの何が問題なのか
大抵の親は、我が子には笑顔でいてほしいという気持ちがあります。
しかし、だからといってあらかじめ障害を排除して平坦な道を歩かせてしまうと、失敗する経験が著しく少なくなってしまいます。
その結果は「子どもが人間として、精神的に成長する機会の損失」です。
子どもが小さいころはまだ親がそばにいるので良いのですが、年齢を重ねるにつれて親にひっついてばかりいられなくなります。
すると、子どもが大きくなってから自主性や主体性の面で、さまざまな問題が生じるようになります。
親としては大切に包み込んで育てているつもりでも、実際には子どもの人生をより困難にしてしまう恐れがあります。
カーリングペアレントは「毒親(トキシックペアレント)」の一種
アメリカではニュアンスが少々異なりますが、ヘリコプターペアレントとも言われています。
いずれも子どもの人生に過干渉する親のことで、これは日本で言われている毒親(トキシックペアレント)の一種です。
ただし、カーリングペアレントやヘリコプターペアレントには根底に「保護」の気持ちがあるため、親本人は子どもの人生を台無しにしているという考えはさほどありません。
また、育児はそもそも”さじ加減”が難しいため、気づいたら過保護になっていたということも多くあるでしょう。
カーリングペアレントが子どもに与える5つの悪影響
幼少時から親が先回りして道を鳴らした結果、子どもはつまづいたり痛い思いをしたり失敗したりすることが減ります。
それによって子ども本人も親からの愛情を感じ、一時的に自己肯定感が高くなり、楽観的にもなると考えられます。しかし、そのような良い側面はずっと続きません。
年を追うごとに親から離れざるを得なくなり、いきなり凸凹の多い社会に放り出されることになるのです。
その結果、以下のような思春期を迎えるケースが発生する可能性を高めてしまうかもしれません。
- 忍耐力がなく諦めが早い
- 完璧主義で失敗を過度に恐れる
- 衝動コントロールができなくなってキレる
- 不登校やひきこもりという形で安全地帯から出なくなる
忍耐力がなく諦めが早い
カーリングペアレントは子どもがつまづきそうなこと、壁になりそうなことを次々に摘み取ってしまいます。
しかし人は、挑戦しては失敗し、悔しさをバネに再度挑戦するといったことで粘り強さを獲得します。
その機会が大人によって奪われてしまった子どもは、忍耐力がなく、諦めが早くなる傾向にあります。今までトラブルは、親が解決してくれていました。
そのため物事がスムーズに進むことに慣れすぎており、待つことや我慢をするといったことを苦痛に感じてしまうのです。
完璧主義で失敗を過度に恐れる
カーリングペアレントの多くは、我が子に失敗してほしくない、という気持ちを持っています。
それは決して子どもの苦しむ顔を見たくないといった理由だけでなく、子どもの失敗が親の失敗のように感じ、自分に価値がないかのように感じることが嫌だからです。
そしてその気持ちは、子どもにも伝わります。
『失敗した自分を親は受け入れてくれないかもしれない』と不安に思うあまり、子どもは失敗を過度に恐れ、完璧にこだわるようになります。
失敗する可能性があることには、最初から手を出しません。
衝動コントロールができなくなってキレる
何事もスムーズに進み、自分は辛さや苦しみ、痛みで悩む機会が少なかった子どもは、親がそばについていないときに物事が思い通りにならないと、激昂しやすくなる傾向があるようです。
なにか困難や突発的な不都合が発生することに感情のコントロールができず、衝動的な言動をしてしまい、俯瞰して見ることや落ち着くまで待つこと、他者と話し合いで問題を解決するといったことが難しくなってしまいます。
不登校やひきこもりという形で安全地帯から出なくなる
問題解決の経験がないため、学校などで人間関係につまづくと、安全地帯である「家」や「自分の部屋」に閉じこもってしまいます。
社会生活では自分で考えたり判断したりがどうしても必要になりますが、今まで危険なこと、困難なことは親に止められていたため、自分で何かしようと考えられなくなっています。
そのため安全地帯にこもり、自分の心を守ろうとする傾向があるでしょう。
親の役割は「失敗をぬぐう」のではなく「失敗後の感情に寄り添う」こと
もしも自分が子どもへ過干渉をしているとか、過保護かも知れないと感じたら、まずやるべきことはマインドセットです。
次の2つを口に出して繰り返し言ってみましょう。
- 手を出さないことも愛情
- 子どもの人生は子どものもの
その上で、子どもの問題を先回りして解消するのではなく、以下に注力することが大切です。
- 解決策を一緒に考えたりアドバイスしたりする
- 失敗したときは挑戦や努力を褒め、子どもの感情を受け止める
- 子どもの話をよく聞き、親の意見を押し付けない
大切なことは、手を出すのをぐっと我慢して、子どもが失敗するのをただ見守ることです。
そのあとで「じゃあ今度はこうしてみようか」や「挑戦することがすごいことだよ!途中すごく頑張っていたよね」といった声掛けをしましょう。
子どもは親に寄り添ってもらえたことを喜び、次の挑戦への勇気を生み出せます。
また、よかれと思ったことでも一度は子どもに意見を聞いてみることも大切です。高校受験や大学受験、就職活動などで本人の意思を尊重せず、親が勝手に話を進めてしまうことがないようにしましょう。
失敗をぬぐうのは、子ども本人の責任です。
親は見守るようにして、本人が考え、決断できるように導いてあげてください。
カーリングペアレントを脱却して子どもを見守ろう
カーリングペアレントは、子どものことを心配するあまり過保護になり、子どもが進む道をあらかじめ平にならしてしまう親のことを言います。
大切な我が子だからこそ守ってあげたいという気持ちがあり、それが過剰な過干渉となってしまうのですね。
だけどそれがやりすぎではないかどうか、親は意識的に振り返ることが大切です。
いかなる出来事も、子どもが人間的・精神的に成長するチャンスです。
ぜひ失敗も前向きにとらえ、手を出さず見守るようにしてみてください。
▼こちらの記事も読まれています