- バスケが上手くなるためについて
- コーディネーショントレーニングとバスケの関係
- バスケが上手くなるコーディネーショントレーニングの方法
バスケ(バスケットボール)は、俊敏性や空間認識、ボディバランスなどフィジカル面でも高い身体能力とボールを扱う繊細なテクニックが要求されるアメリカ発祥のスポーツです。
1チーム5名ずつの編成でチームを構成し、フィールドに両チーム合わせて10名のプレイヤーがフィールドに入り、各々のプレーヤーがボールをドリブル、パスやシュートをして得点を取り合います。
シュートやパスの際に相手との距離感を把握し、ボールをコントロールします。バスケはパスやシュートの精度のみならず、対人プレイ中での反応や反射速度など、さまざまなテクニックが瞬時に要求されます。
そんな中、バスケにはコーディネーショントレーニングが効果的だということはご存知でしょうか?
この記事では『バスケとコーディネーショントレーニングの関係性』と、『なぜコーディネーショントレーニングを実施することでバスケが上達するのか』ついて解説していきます。
目次
「バスケが上手くならない」と悩む理由
「バスケがなかなか上達しない」と悩んでいる方は、以下のことで悩んでいないでしょうか。
- ドリブルが上手くならない(ボールコントロールが難しい)
- シュートが上手くならない(シュートの精度が低い)
- ディフェンスの際に抜かれてしまう(反射的に俊敏に動けない)
- パスやスクリーンのタイミングが合わない(リズミカルに動けない)
- 疲れやすい(体力が低くバテてしまう)
上記の悩みは、身長や技術力(スキル)や筋力不足(パワー)だけが原因ではなく、身体の協調性やバランス感覚がしっかりしていないことで起こる悩みの可能性があります。
バスケは身長の高さ、足の速さはもちろん武器になりますが、それらは基礎となる身体の動作を身につけていなければ役に立ちません。
バスケが上手くならない理由は体の大きさや生まれ持った才能と思い込むことはありません。これらの悩みを解消する手段の1つとして、コーディネーショントレーニングがあります。
コーディネーショントレーニング(7つの能力)とは
コーディネーショントレーニングとは、身体の協調性やバランス感覚、いわゆる体幹力も高める総合的なトレーニングです。
また身体的な能力の向上だけではなく、体の動きを指令する脳の働きも同時に刺激することができますので、体の協調性の向上も期待できます。
つまり簡単に言うと「頭脳を働かせながら、体を動かすトレーニング」になりますので、単純な筋トレや反復練習ではなく、考えて理解しつつ体を動かすため、一つ一つの動作と脳の働きが結びつきやすくなります。
コーディネーショントレーニングでは具体的に、以下の7つの能力を鍛えることを目的としています。
- バランス(体幹):身体を一定の状態に保つ能力
- リズム:一定のリズムで動作を行う能力
- 反応速度:外部からの刺激に素早く反応する能力
- 敏捷性:素早く方向転換する能力
- 連動性:複数の動作を連続して行う能力
- 予測性:動作の予測を行う能力
- 適応性:変化に適応する能力
これらの能力を高めることで、身体をより正確に、効率的に動かすことができるようになります。
コーディネーショントレーニングについて、以下の3つの視点から見ていきましょう。
- 運動神経の良さは「認知」と「判断」で変わる
- バスケで必要な能力について
- コーディネーショントレーニングのメリット
以下にて詳しく解説します。
運動神経の良さは「認知」と「判断」で変わる
「運動神経」についてまず簡単に解説しますが、実は「運動神経」と言う神経は人間の体にはありません。
ですが、一般的にはよく「運動神経が良い」「運動神経が悪い」など耳馴染みのある言葉ですが、これら良し悪しは脳から出す指令に体がうまく動かせるか否かという部分で分かれます。
つまり運動神経が良いとされるのは、単に身体能力が高いだけではありません。
周りの状況を正確に認知し、体を動かすための適切な判断を速やかに下す能力にも大きく関連しています。
例えば、バスケでドリブルをしながらディフェンスを抜くためには、ディフェンスの動きやドリブルするボールの位置を正確に認知し、相手や周りの動きに合わせて方向転換やスピードを上げる必要があります。
また、シュートを決めるには自分とゴールリングまでの距離、相手ディフェンスとの位置関係を正確に判断し、最適なフォームでシュートを打つ必要があります。
このように、ただ筋力や体力が十分にあったとしても、バスケで必要な判断や認知ができていないと上達することはできません。
バスケで必要な能力とは
バスケで求められる能力は、以下のとおりです。
- 身体能力:ジャンプ力、速度、パワー、持久力など
- 技術:ドリブル、シュート、パス、ディフェンスなど
- 戦術理解:チーム戦術、個人戦術など
- メンタル:集中力、精神力、忍耐力など
当たり前ですが、これらの能力を身につけることでより高いパフォーマンスを発揮することができます。
しかし、これらの能力はどうしたら身に付くのか、上達するのか気になりますよね。以下からコーディネーショントレーニングのメリットを解説します。
コーディネーショントレーニングによるメリット
コーディネーショントレーニングは脳と体の関連性を高め、協調運動を向上させます。
協調運動が向上することで、体の動きが良くなるだけでなく、足場の悪い場所やバランスを崩した際のバランス感覚(体幹力)を高めるために最適なトレーニングです。
体が上手にコントロールできることで、様々なメリットを得ることができす。
試合で活躍できる
ドリブルやシュートを打つ際は体の軸がしっかり固定されていなければ、正確な動きはできません。
例えば、ディフェンスと接触した状態でドリブルやシュートを正確にできるでしょうか?おそらく多くの人は、上体がブレてしまって思ったプレーができないないかと思われます。
理由は簡単で、ドリブルやシュートを放つ際は土台となる体がしっかり支えられていないと、思ったようにボールをコントロールできない、いわゆるブレる状態になります。
このブレをコーディショントレーニングで補正することで、姿勢や体勢を崩した状態でもバランスを保てたり、転ばない・倒されずに動くことができ、咄嗟の動きができるようになるなど様々な運動能力の向上が期待できます。
また、相手ディフェンスとの距離感や予測など、一瞬の動作の中で頭で考えて体を動かしやすくなるため、ディフェンスを抜き去ったり、シュートの精度を高めて点を取りやすくなったりし、バスケが上達する可能性を拡げます。
また、ディフェンスをする際でも相手の動作に合わせて体を動かしやすくなるため、オフェンスの動きにも反応しやすくなり、ボールの奪取やパスコースを防いだり、ディフェンス力の向上も期待できます。
技術の習得が早くなり上達しやすくなる
コーディショントレーニングで協調運動がスムーズになることで、バスケのスキル習得の速度が向上しやすくなります。
その理由は協調運動がスムーズになるにより、脳から出される指令に体を動かしやすくなるためです。
さまざまな動作を繰り返すことで、脳はその動かし方や感覚を覚えることができます。
今までしたことのない動きをする際でも、これまで培った動作を応用して「なんとなく」の感覚で少しずつ新しい動きを身につけるようになります。
もちろん「はじめからプロ選手のようなハンドリング、ドリブルができるようになる」ということはありませんが、以前の自分と比較した際に動きの習得速度の速さは見違えているはずです。
また、すでに習得している技術や動きもより一層正確に動かすことができ、さらにそれを応用した独創的な動きや効率的な動作を見出すことができるようになるかもしれません。
怪我が減る
協調運動が向上し、体をうまくコントロールすることで、例えばつまずいてバランスを崩したり、誰かに押されて転びそうになった際などに、倒れたり転んだりすることが少なくなります。
これは、脳が発する指令に対して体を速く動かすことができることで、瞬時に体のバランスを取れたり、怪我をしないように体を守る動作を素早く取れるようになるからです。
怪我をする原因の多くは咄嗟の動きができない場合が多く、これはお年寄りが転んでしまった際に手が出なくなってしまい、怪我をしてしまうことと同じです。
またコーディショントレーニングで体の協調性を向上させることで、運動時の筋肉の強張りを緩和する効果が期待できます。
筋肉の強張りは筋組織の怪我や思わぬ怪我につながる以外にも、筋肉が常に緊張することで肉体的に疲労を溜めてしまう原因にもなります。
コーディネーショントレーニングは、バスケのスキルアップや怪我の予防に効果的なトレーニングです。ぜひ、日頃の練習に取り入れてみてはいかがでしょうか。
参考サイト
Training 22コーディネーション能力を強化しよう
バスケットボールのコーディネーショントレーニング その練習方法をお伝えします
コーディネーショントレーニングで本当にバスケが上手くなるのか
先述したように、コーディネーショントレーニングは身体の協調性やバランス感覚を高めるトレーニングです。
加えてバスケは、ドリブルやシュート、パス、ディフェンスなど、さまざまな動きを組み合わせて行うスポーツです。
そのため、コーディネーショントレーニングによって、これらの動きをよりスムーズに、正確に行うことができるようになります。
なぜコーディネーショントレーニングでバスケが上手くなるのか
コーディネーショントレーニングによってバスケが上手くなる理由は、以下の能力の向上が期待できるからです。
- 連動性:複数の動作を連続して行う能力
- 反応速度:外部からの刺激に素早く反応する能力
これらの能力が向上することで、試合中での一瞬の判断と動作がしやすくなります。
例えば、ドリブルでディフェンスを抜くためには、ドリブルと方向転換を連動して行う必要がありますが、これは連動性を向上させることで動作をよりスムーズにすることができます。
さらに協調運動がしやすくなると、動作スピードの向上も期待できますので「素早く正確に」動作することができるようになります。
また、シュートを打つ際には、相手ディフェンスの動きや距離感、自分とゴールまでの位置を素早く判断し、適切な場所へ移動したり、その場でタイミングを計ってシュートを打つ必要があります。
これは反応速度が重要で、相手の動作を読み取って距離感を把握して適切な動作を実行します。
相手ディフェンスが近くに接近しているなら、距離を置いてシュートコースを探す、もしくは味方へのパスコースを作る。
相手ディフェンスと距離があるなら、その場でシュートを打っても良いし、得点を取る確率を上げたいなら相手ディフェンスを避けつつ距離を縮めてシュート打てる場所へ移動するなど、その場面ごとに最適な反応、判断をします。
コーディネーショントレーニングを継続して取り組むことで、一瞬の判断や反応速度を高めることが期待でき、バスケのオフェンスやディフェンスのパフォーマンス向上に大きな寄与が期待できます。
バスケが上手くなるコーディネーショントレーニングの方法とは
バスケ上達のために有効なコーディネーショントレーニングの具体的なトレーニング方法を以下にまとめました。
- テニスボールでドリブル
- 2ボールドリブル
- ミラードリブル
- リアクションじゃんけん
- マリオネット
それぞれのトレーニング内容を解説していきます。
大きさの異なるボールを使う『テニスボールドリブル』
バスケの練習にテニスボールを取り入れてみましょう。
テニスボールドリブルが効果的な理由
テニスボールはバスケットボールよりも小さく軽いため、手や指の細かい動きが要求される
パートナーにテニスボールを投げてもらうことで、より高い負荷をかけることができる
1人でテニスボールドリブルを行う練習法
1人でテニスボールドリブルを行う場合は、片方の手でドリブルをつき、もう一方の手でテニスボールを軽く浮かせ、キャッチします。
慣れてきたら、ドリブルと同時にテニスボールを投げ、キャッチしたテニスボールを反対の手でキャッチするように練習しましょう。
さらに慣れてきたら、ダブルチェンジでキャッチします。
テニスボールドリブルを2人で行う練習法
パートナーと行う練習法は、1人は選手、1人はサポート役として、テニスボールを投げてもらいます。パートナーはドリブルをしている選手に対し、テニスボールを投げます。それを選手はキャッチし、すぐパートナーに返す、という練習です。
パートナーは、あえてキャッチしにくいところに投げましょう。やや高いところや低いところ、横にズレたところなど、様々な位置のボールを追い、掴むことでより力が身につきます。
難易度を高める方法
通常のトレーニングに慣れてきたら難易度を上げていきましょう。
例えば、テニスボールを2つにしたり、2回ドリブルしたらパートナーにテニスボールを投げて、投げ返してもらってキャッチするなど複雑な動作を取り入れてみましょう。
また、右手でバスケットボールをドリブルし、左手でテニスボールをドリブルして、回数を決めて交互に入れ替えるなど、ボールの種類を増やしたり、規定の動作を付け加えるだけで難易度が高まり、より高度なトレーニングを実施することができます。
左右の腕で同時におこなう『2ボールドリブル』
バスケのボールを2つ使ってドリブルをしてみましょう。
2ボールドリブルが効果的な理由
- 左右の腕のバランスが向上する
- ドリブルのコントロール力が向上する
- 視野が広がる
バスケのハンドリング能力(ボールを操作する能力)を向上させるには、左右の腕で同時にボールをコントロールする練習が効果的です。
2ボールドリブルのやり方
片方の手で大きな強いドリブル、もう片方の手で細かくト・トンのリズムでドリブルを行います。
慣れてきたら、細かいドリブルをフロントチェンジに切り替えます。
対面の人の真似をする『ミラードリブル』
対面の人のドリブルを真似てみましょう。
ミラードリブルが効果的な理由
- ドリブル技術を向上させるには、様々なドリブルを経験することが大切
- パートナーのドリブルを真似することで、様々なドリブルの種類や動きを学べる
ミラードリブルのやり方
2人で向かい合い、親が子に真似されないように、様々なドリブルの種類、スピード、リズムを操ってドリブルをします。
子は親の動きをよく見て、鏡のようにズレを生まずにドリブルします。
ミラードリブルのポイント
親は、子がついてこれないような難しいドリブルをする
子はパートナーのリズムに合わせてドリブルする
後出しで勝つものを出す『リアクションじゃんけん』
リアクションじゃんけんで反応速度と判断力を鍛えてみるのも、バスケの上達には効果的です。
リアクションじゃんけんが効果的な理由
- バスケでは、相手の動きを予測し、素早く正確な判断を下すことが重要
- じゃんけんの手を見た瞬間に、後出しで勝てるようにするため、反応速度と判断力を鍛えられる
リアクションじゃんけんのやり方
ペアになって、向かい合いましょう。片方の人がじゃんけんの手を出し、パートナーは、その手を見た瞬間に同じ手でじゃんけんをします。
または、1人で行うこともできます。壁に向かってじゃんけんの手を出し、後出しで勝つものを出す練習も効果的です。
リアクションじゃんけんのポイント
- じゃんけんの手は、ランダムに出す
- 相手がどんな手を出すか予測しながら、素早くじゃんけんをする
- 後出しで勝つものを出すことを意識する
リズムに合わせて腕と足を動かす『マリオネット』
マリオネットとは、左右の腕や足を同時に動かすことで、身体のバランスや連動性を向上させるトレーニング方法です。
マリオネットが効果的な理由
- 身体のバランスや連動性が向上する
- ドリブルやシュートなどの動作の精度が向上する
- コート上での動きがスムーズになる
バスケでは、ドリブルやシュートなど、左右の腕や足を同時に使う動作が数多くあります。
そのため、マリオネットトレーニングを行うことで、これらの動作をよりスムーズに行うことができるようになります。
マリオネットを1人で行う方法
以下の手順で行います。
- 片方の腕でドリブルをし、もう片方の腕でボールを触ります。
- ドリブルと同時に、ボールを触った腕を動かします。
- ボールを落とさないように、左右の腕をバランスよく動かします。
慣れてきたら、ドリブルと同時にボールを投げたり、キャッチしたりする練習も行います。
マリオネットをパートナーと一緒に行う方法
以下の手順で行います。
- パートナーと向かい合って、片方の腕を相手の片方の腕に結びます。
- ドリブルをしながら、相手の腕を動かします。
- ドリブルと同時に、相手の腕をバランスよく動かします。
慣れてきたら、ドリブルと同時に相手の腕を投げたり、キャッチしたりする練習も行います。
マリオネットトレーニングは、バスケットボールの技術向上に欠かせないトレーニング方法です。ぜひ、日頃の練習に取り入れてみてください。
まとめ
バスケの上達には、コーディネーショントレーニングが効果的です。
バスケのプレイヤーとしての成長を望むなら、ただの筋力トレーニングや基本動作の練習だけでは不十分です。
特に、コート上での滑らかな動きや瞬時の判断を鍛えるには、コーディネーショントレーニングが欠かせません。
コーディネーショントレーニングを継続的に行うことで、例えばドリブル中に相手ディフェンダーの動きにすばやく反応したり、パスを受け取る位置やタイミングを的確に予測する能力が養われます。
プレイヤーとボール、そしてチームメイトとの連動性が増すことで、ゲーム全体の流れがスムーズになるでしょう。また、実際のゲームでの成功体験は、自信の向上にも繋がります。
コーディネーショントレーニングは、その成功をサポートするツールとして非常に効果的です。
日頃の練習時に、このトレーニングを取り入れることで、あなたのバスケの技術や戦術の幅が広がることを体感できるでしょう。
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