- 子育ての「お父さん効果」について
- 父親が子育てに参加する様々なメリット
- 子育てにおける父親の役割とその効果ついて
昨今では、男性も積極的に家事や子育てに参加するといった意識が高まっており、育児に積極的に参加する男性を「イクメン」とも呼ばれています。
子どもが生まれたら積極的に育児に関わっていきたいと考える男性も多い一方、父親の役割とは何かがわからず、育児に消極的な方もいるでしょう。
この記事では、父親が子育てに参加すると子どもにどのような効果があるのか、そして父親の子育てでの役割とはどのようなものかについて、解説します。
子どもにとって良い家庭環境を作れるよう、夫婦で話合うきっかけになれば幸いです。
目次
「お父さん効果」とは?育児に父親が参加することの大切さ
まずは子育てに父親がしっかり参加することの大切さについてみていきましょう。
父親が子どもとの密接な関わりを積極的に取っていると、子どもにどのような影響があるかについては、世界中で研究されてきました。
イギリスのオックスフォード大学の研究チームによる「お父さん効果」という造語があります。
世界中のさまざまな研究結果を集めて分析してできた造語で、以下の研究結果が含まれています。
お父さん効果:イギリスのニューカッスル大学の研究
1958年に生まれた男女11,000名を対象にした研究です。
成長期に父親と多くの時間を過ごした子どもと、父親と過ごす時間が少なかった子どもと比較すると、父親と多くの時間を過ごした子どもの方がIQが高いという結果が出ました。
また、父親が子どもによく本を読み聞かせたり、家族で一緒にたくさん旅行に行く家庭の子どもは、社会的地位が高くなる傾向にあります。
お父さん効果:アメリカのノースカロライナ大学の研究
2歳児を持つ共働き夫婦を対象にした調査結果です。
父親が積極的に育児や子どもとのコミュニケショーンをとった家庭の子どもは、そうではない家庭の子どもと比較して、3歳時点での言語能力が飛躍的に発達していると発表しました。
お父さん効果:イギリスの国立児童発達研究所
7歳・11歳・16歳の児童17,000人を対象とした調査結果です。
子どもの成長期に父親とよく交流したり、一緒に遊んだるする子どもには以下の特徴がみられました。
- 非行に走らず学業成績が優秀
- 人間関係が良好
- 新しいことへの挑戦心や達成意欲が高い
お父さん効果:アメリカの発達心理学者:カルデラ博士
父親が育児に積極的に参加した家の幼児を調査した結果です。
子どもには以下の特徴がみられました。
- 癇癪を起しにくい
- 親のお願いをスムーズに聞く
- 人見知りがなく他者と打ち解けやすい
- 我慢強い
上記の複数の研究の原文は、残念ながら公開されていませんでした。
そのため根拠を示すことが難しいのですが、父親が育児に積極的に参加するメリットについての研究は、現在も世界中で行われています。
(※)参考:ScienceDirect「Why do some dads get more involved than others? Evidence from a large British cohort」
父親の子育て参加がもたらすその他のメリット
父親が育児を通して子どもと密接に関わることによる、子どもへの影響以外でのメリットは次の2つがあります。
- 夫婦関係が円満になる
- 父親の共感力が高くなる
夫婦関係が円満になる
夫が子育てに積極的に参加することで、妻の育児や家事の負担が軽減され、ストレスの軽減も期待できます。
妻も夫も子育ての初心者であることは同じであるため、育児に対して「何が正しいのか」「何をしたらいいのか」など疑問や不安を常に抱えています。
また、まだ子どもが産まれて間もない時期であれば、慣れない育児にプラスして妻は出産の傷も治っていないうちは、心身の調子を崩しやすい状態でもあります。
そのようなときには、夫も積極的に育児に参加して、一緒に相談したり不安を払拭できる存在があると、お互いに心強く頼もしいものです。
妊娠期間を経て、命をかけて出産する女性に比べ、男性は親になったという自覚をすぐには持ちにくいと言われています。
しかし、できるだけ早く妻と一緒に育児をすることが夫婦円満につながります。
夫婦仲が円満になると、自宅は過ごしやすく、子どもにとっても幸せであたたかい場所になることでしょう。
父親の共感力が高くなる
男性は女性と比較して、外部への共感力が乏しいといわれています。
何か問題があった際、一般的に男性は解決することを急ぎますが、女性は解決の前に自分の立場や状況から生まれる感情に共感を求めます。
父親が育児をする際にやりがちなのが、子どもがとった行動に対してプロセスを聞かずに頭ごなしに注意や咎めてしてしまうことです。
子どもも自分で考えたり気分で行動しますので、なぜその行動をしたのかをまずは聞いて共感して、接するようにすることで共感力を養えるのではないでしょうか。
子育てを通してそのような環境に身を置くことで、夫は他者に共感する力を養えます。
共感力を養うことはコミュニケーション能力の向上につながるため、社会でも役立つスキルであることは間違いありません。
育児における父親の役割
育児における父親の具体的な役割は、次のものがあります。
- 先に行動して見せる
- 外遊びやダイナミックな遊びをする
- 妻のサポート、育児を分担する
- 最終的な壁になる
先に行動して見せる
父親は言葉で説明するよりも、先に行動してその姿を見せることで子どもも真似したり、興味をもったりします。
たとえば、花や植物の名前を教えるのが母親なら、実際に虫の捕り方を教えるのが父親です。
母親が子どもに食事のあとはお皿をキッチンへ持っていこうねと声をかけたなら、父親は実際に自分で使った食器を運ぶ姿を見せるようにします。
子どもはよく親の姿を見ているため、「お皿を運びなさい」というだけで自分は動かずスマホを触っている父親であれば、その姿を真似します。
実践型で子どもたちに教育すると効果的ですよ。
外遊びやダイナミックな遊びをする
母親では難しい遊びを父親が担当してみましょう。
公園にいって走り回ることは母親でもできますが、木に登ったり子ども体を持ち上げて投げたりといった体力や筋力が必要なことは、男性である父親の方が適任です。
「お父さんはすごい」「力持ち」という子どもから尊敬の念も生まれやすいため、体を使ったダイナミックな遊びを子どもと一緒に楽しんでみてはいかがでしょうか。
妻のサポート、育児を分担する
子どもが小さいうちは、どうしても妻に家事や育児の負担が多くなりがちです。
幼児の場合はミルクをやったり、離乳食を作ったり、オムツを替えたりとすることが多く1日に何度もすることですので、「〇〇〇はお父さん」「〇〇〇はお母さん」など役割を決めておくことで各々の負担を分散できます。
また新生児の場合で授乳をさせている場合は、子どもの夜泣きで母親は起きなくてはいけません。
十分に睡眠時間を確保できない辛い時期ですので、妻がしっかり休めるように日中は夫が育児を全面的に対応するなど、時期によって分担することも有効です。
また、妻が家事をしているときは子どもの相手をしたり、妻が子どもの相手をしているときはトイレ掃除やお風呂掃除などの力が必要な家事を担当するなど、さまざまなことで妻をサポートできます。
育児は妻がすること、と決めつけず一緒に育児をして、その時にだけしか味わえない得難い時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。
最終的な壁になる
子どもにとって優しいだけの親は、決して良い親とは言えず甘やかしているだけかもしれません。
母親は常日頃一緒にいるため、子どもも必然的に母親からの注意や叱責には徐々に慣れてきてしまいます。
「ダメなことはダメ」「さとすことはさとす」といった行動は、最終的に父親が引き受けるとうまくいくことが多いでしょう。
最終的な壁には、父親がなるようにしてください。
父親の子育ては子どもに大きな影響がある! 父親の役割について考えよう
父親が子育てに参加することでどれだけ大きな良い影響が子どもにあるか、おわかりいただけたでしょうか。
日本では父親が仕事、母親が家事と育児という価値観が一般的でした。
しかし、現代では女性も仕事にまい進し、昔に比べて家事や育児に割ける時間や体力、気力がありません。
男性はぜひ育児のパートナーであるという意識を持ち、積極的に子育てに関わるようにしてください。
現在、夫はなかなか育児に参加できる時間がないという家庭は、仕事と家事、育児について、じっくり話し合う時間を持つことがおすすめです。
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