ストレス社会と呼ばれる現代において、少しでも上手にストレスを解消させることは生活の質の向上につながります。方法は複数ありますが、おすすめは運動をすること。運動で体を動かすと、心身へさまざまな良い影響があることはいくつかの研究結果でも認められています。
ここでは運動がストレス解消につながるメカニズムや、運動をする人としない人との特徴と違い、ストレスを過度に溜め込むとどうなるのかについて紹介します。
毎日の生活が明るく楽しいものになるように、今日から運動を取り入れてみましょう。
目次
運動がストレス解消になるのはなぜ? 心を安定させるメカニズムとは
厚生労働省が発表している「健康づくりのための身体活動基準2013」の中で、身体活動や運動が気分転換やストレス解消につながり、メンタル面での健康改善にも効果があると出ています。
これは、適度な運動をして体を動かすことで交感神経が優位である時間が長くなり、ポジティブになりやすくなるからです。
歩く・走る・飛ぶといった有酸素運動や、自分の体やウェイトを押す・引く・上げる・下げるといった無酸素運動がありますが、息が切れない程度に軽く行うだけでもストレス解消に役立つホルモンが分泌されます。
このホルモンは「セロトニン」と「エンドルフィン」です。
セロトニンは精神の安定や安心感、頭の回転を良くするなど「幸福ホルモン」と呼ばれることもある脳内物質。精神安定剤とよく似た分子構造をしており、特にストレスに対して効能があります。
エンドルフィンは「脳内麻薬」と呼ばれる脳内物質で、分泌によって得られるのは痛みの緩和やリラックス効果などです。
これらのホルモンは軽めでも運動をすることで分泌されるため、運動を定期的に行うと安定して分泌を促せます。その結果、ストレスや疲労の解消・緩和が期待できるのです。
大きな違い! 運動をする人しない人の健康面での特徴
普段から適度な運動をしている人が得ている代表的な効果は、以下のようなものがあります。
- ホルモン分泌によるストレス解消や緩和
- エネルギー消費による食欲増進
- 血流促進や改善による体温上昇
- 疲労を得ることによる睡眠の質の改善
- 血流促進による脳の活性
これらは運動することによって筋肉が鍛えられ、全身の血流が促進・改善されるために得られるメリットです。全身の血のめぐりが良くなる結果冷えがなくなり、冷えないことで内臓も正しく自らの役割を果たせるようになります。
定期的に運動をする人と特に運動はしていないという人との違いは、これらのメリットを安定的かつ継続的に得ているかどうかです。
結果的に、次の3つにおいて大きな差が出てきます。
- 病気やケガ
- 見た目
- 精神面
【関連記事】運動が健康に与える良い影響についての記事はこちら。
特徴①体の内側の違い:病気やケガの有無や頻度
定期的に運動をしている人と特に運動をしていないという人では、病気やケガの有無やその頻度に違いがあります。
普段運動不足を自認している方の中には、血のめぐりが良くないために手足やお腹が冷えていたり、食事によるエネルギーの取りすぎて肥満になっていたり、老廃物が体内に溜まってむくみや便秘があったりする人がたくさんいます。長年そのままでいると、体内は少しずつ悪い方へと変化。以下のような病気リスクが増えていきます。
- 心血管疾患
- 高血圧
- 糖尿病
- 骨粗しょう症
- 転倒
- ガン
- 認知症
血が全身をしっかりとめぐり、栄養や酸素を届けることで体は正しく機能しやすくなります。しかし運動不足だと血のめぐりが滞って体が冷え、内臓がうまく機能できません。寒いと人は、体を小さくして硬くなりますよね。内臓も同じように、冷えると働きにくくなります。その結果、上記のような病気のリスクが増えるのです。
また、筋肉は使われなければ衰えて痩せていくため、疲れやすくなったり力が出なくなったりします。その結果、とっさのときに思うように体を動かせず、少しの段差に躓いたり転倒したりするように。定期的に体を動かして体内を温めるようにすると、病気やケガになるリスクや頻度を下げられます。
特徴②体の外側の違い:体形や清潔感
運動して筋肉に刺激を与えると、見た目にも大きな影響を与えます。体形が引き締まるだけでなくスムーズに老廃物が排出されて肌が奇麗になり、清潔感が出ます。
有酸素運動をすると酸素をエネルギーにして体内に蓄積した脂肪を燃やすため、体脂肪が減少。体を温めて汗を出すのでむくみもなくなり、体重が減ってすっきりと軽やかになれます。そして無酸素運動をすると筋肉が刺激を受けて肥大したり引き締まったりするため、「男性(女性)らしい」体形に近づけます。
また、運動したときに汗をかくのは体温調節が目的ですが、定期的に汗をかくようになると、汗がサラサラしたものに変化します。
前述したように、運動不足の人は体が冷えやすい状態です。汗をかかないために汗腺をあまり使いません。すると汗をかくときに、不純物が含まれたドロドロした汗になります。
定期的に汗をかくことは、肌にある蛇口を開けているような状態。不純物が流れやすくなり、ドロドロした汗はサラサラして匂いの少ないものに変わります。
運動をしない人は体内に老廃物がたまりがちになるため、体形がぶよぶよと太くなりやすかったり、ドロドロした汗による匂いが出たりしやすくなるのです。
特徴③精神面の違い:明るさや自己肯定感の高さ
前述したように、運動すると脳内ホルモンの分泌が促進されます。
セロトニンやエンドルフィンが分泌されることによって得られるのは、精神安定と自己肯定感の高さです。
結果的に、落ち込みからの回復が早くなる・思考がポジティブになる・自分のことを認め好きになるといった効果が期待できます。
対して多くの運動不足の人は、体が冷えて体内に脂肪や老廃物が溜まることにより、しんどい・つらい・だるいといった気持ちになりがちです。鏡で自分を見てネガティブな感情を抱いたり、体調の悪さに悲しい気持ちになったりします。
危険! ストレスを過度に溜めこむと心身に起こる変化
「ストレスがある」とは、外部からかかる圧力によって心身に歪みが生じた状態のことです。その歪みをうまく元へ戻すことを「ストレス発散(解消)する」と言いますが、それができずにストレスを溜め込むと、心身に大きな影響が出てきてしまいます。
体の変化
ストレスを溜め込むことにより体に出てくる変化は、以下のようなものがあります。
- 頭痛やめまい
- 下痢
- 全身の冷え
- 倦怠感
- 免疫力の低下
- 不眠
- 生理不順
- 胃潰瘍など内臓のトラブル
ストレスが蓄積することで体にはさまざまな不調や痛みが出ます。病院で対症療法を行いますが、根本的なストレスを解消しないことには全快は難しいでしょう。
心の変化
一方、心に出てくる変化は以下の通りです。
- 落ち込みやすくなる
- やる気の喪失
- 気分の浮き沈みが激しい
- ミスが増える
ストレスが溜まると、イライラしたり面倒くさくなったり落ち込んだりしやすくなり、集中力が低下します。それによって仕事や家事などでミスが発生し、よりストレスが溜まるという悪循環になることも。
人はイライラしているとき、呼吸が浅くなっています。心が不調だなと感じたら、ゆっくり深呼吸をしてみましょう。また、体の変化への対処と同じく、ストレスを発散させたりストレスの元となる事柄を解決するなどの対応が必要です。
運動で上手にストレスを発散して心身を守ろう!
良い出来事も悪い出来事も、人にとっては同じ「ストレス」です。人は何のストレスもなく生きていくことはできませんが、ストレスを溜め続けると心身に不調をきたします。
ストレスの元を解消・解決するように動くことはもちろん、軽く運動をして体を動かし、セロトニンやエンドルフィンといったホルモンの良い影響を受けましょう。
イライラが落ち着き、前向きになり、落ち込んだ状態からの回復を早められます。
また運動をして体を動かすと、呼吸が深くなる・疲労から眠りやすくなる・お腹がすいてしっかりご飯を食べるなど、心身が元気になるために必要な行動をしやすくなります。
まずは軽く散歩するといった程度からスタートすることがおすすめです。気持ちよく体を動かし、ストレスに負けない心身を作りましょう。