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ヨガの経典「ヨーガスートラ」と「八支則」について

ヨガ

ヨガの経典「ヨーガスートラ」と「八支則」について

世界中で愛され、実践されているヨガですが、継続して取り組んでいくうちに「ヨガはただのエクササイズや運動ではない」と感じる方もいるのではないでしょうか。

ヨガとは最終的な目的に「解脱」を据える、いわば学問の一種です。

この記事では、ヨガとは何かについて理解を深めるため、ヨガ四大教典のひとつである「ヨーガスートラ」について、ヨーガスートラとはどのようなものか、その中心的内容である八支則とは、そして他の経典の内容について、順番に解説します。

▼起源と目的で共通するアーユルヴェーダについて以下で詳しく解説しています。

アーユルヴェーダとヨガの関係とは? 健康と美容に寄与する世界最古の予防医学を解説

「ヨーガスートラ」はヨガの四大教典のひとつ

「ヨーガスートラ」はヨガの四大教典のひとつ

「ヨーガスートラ」はヨガを実践して解脱を得るための知識と、実践に関するヨガの教えが書かれたガイドブックのようなもの。

瑜伽経(ゆがきょう)とも呼ばれています。正当バラモン教の一派で、ヨガの修行による解脱を説くヨガ学派の教典です。

古代インドに存在したパタンジャリが編纂したとされるヨガ哲学の根本経典で、さまざまな素材や群小教典をまとめたものと言われています。

ただし、編纂者のパタンジャリという人物については、わかっていることはほとんどありません。

紀元前200年〜400年ごろに形が整えられました。全4章、195のスートラ(経文)で構成されています。

経文であるため非常に短い文の集まりで、その一文のみを見て理解することは非常に困難です。

もともとは師匠から弟子に、自らが受け継いできたものや自身の経験をもとにした説明を含めて教えられてきたことであるため、さまざまな解釈ができます。

【ヨーガスートラの内容】

1章:サマーディ(三昧)→ヨガの目的から実践方法までの全体像について
2章:サーダナー(修養法)→ヨガの実践方法について
3章:ヴィヴーティー(超人的力)→ヨガを極めることによる知恵や能力について
4章:カイヴァルヤ(解脱)→ヨガの哲学や心理学についての補足

 

ヨーガスートラによるヨガの定義

ヨガについては、スートラの1章2節で「ヨガとは心の働きを止滅させることである(ヨーガスチッタヴルッティニローダハ)」と定義しています。

体を動かすハタヨガに比べ、ヨーガスートラでは精神的実践に重きをおいており、瞑想を行って集中力を高め、心の動きを止めることで本当の自分に達することができるという考えです。

そして、その心の動きを止め、鎮めるためのステップとして「八支則(アシュタンガ)」が存在します。

八支則とはヨーガスートラの核となるもので、2章から3章の冒頭にかけて書かれている、サマーディ(没我状態=三昧)を目指すための実践解説です。

 

ヨーガスートラの中心的内容は八支則

ヨーガスートラの中心的内容は八支則

ヨーガスートラは全編を通してヨガの良さと具体的な実践方法について解説した内容になっていますが、中心的な内容は八支則(アシュタンガ)と呼ばれるものです。

その内訳は、外的支則(バヒランガ)という5つの訓練方法と、内的支則(アンタランガ)というヨガを実践することで得られる3つの段階があります。

 

外的支則(バヒランガ)

外的支則は自分でコントロールできることが特徴です。日常生活の中で自分の心を磨き、体を整える方法が記されています。

ヤマ(Yama):禁戒 やってはいけない5つのこと
ニヤマ(Niyama):勧戒 積極的にやるべき5つのこと
アーサナ(Asana):坐法 座り方・ヨガのポーズのこと
プラーナヤーマ(Pranayama):調気 呼吸によって体と心をつなげること
プラーティヤハーラ(Pratyahara):制感 五感をコントロールすること

 

内的支則(アンタランガ)

内的支則は、ヨガを実践することで得られる3つの段階のことです。

外的支則と異なり自分でコントロールしにくいもので、解脱を目指す過程で内的支則ができるようになります。

内的支則の最終的な目的は「本来の自分」に出会えるようにすること。この3つの段階にははっきりとした区別はなく、連続して取り組みます。

ダーラナー(Dharana):集中 一点集中のこと
ディヤーナ(Dhyana):瞑想 五感のコントロールと集中が意識せずに続いている状態のこと
サマーディ(Samadhi):三昧 解脱・悟りの状態

▼以下の記事で八支則について解説しています。

ヨガの八支則はよりよい人生を送るための教え:ヨガ・スートラやアシュタンガの関係とは?

 

ヨガを通して「ありのままの自分を見る」練習を積む

ヨガを通して「ありのままの自分を見る」練習を積む

自分のことをよくわかっていない人はたくさんいますが、それはありのままの自分を見ることが難しいためです。

普段、多くの人は「わたし」というフィルターを通して主観的に世の中や自分のことを見ています。しかし、このフィルターはさまざまな出来事の影響を受け、歪んだり、汚れたりしています。

ヨガは物事をありのままに見られるように、フィルターを掃除して、汚れや歪みを取り除く役割を持っていると考えてください。

ヨガのポーズの練習を行い、呼吸法を学び、瞑想し、日々の行いに気を配ることで、客観的に自分という人間を見られるようになるのです。

 

ヨーガスートラ以外のヨガの3経典

ヨーガスートラ以外のヨガの3経典

最後に、ヨーガスートラ以外の3つの経典を紹介しましょう。それぞれの編纂者、年代、構成や特徴を簡単に説明しますので、確認してくださいね。

【ヴェーダ聖典】

編纂者はヴャーサ、紀元前1100年から紀元後200年ごろに成立したと言われている聖典です。

ヴェーダ聖典は「リグ・ヴェーダ」「サーマ・ヴェーダ」「ヤジュル・ヴェーダ」「アタルヴァ・ヴェーダ」の4つが存在しており、ヴェーダとは本集、梵書、森林書、奥義書の4部門からできた聖典群の総称です。

ヴェーダは現代インド文化の基礎となる思想で、宗教・哲学・医学(アーユルヴェーダ)・音楽・文学・ヨガなど、あらゆる知識の源になっています。

 

【バガヴァッド・ギーター】

ヴェーダの編纂者でもあるヴャーサが作者と言われています。紀元前150年ごろに原型が成立し、紀元後100年ごろに現在の形になりました。

古代インドの叙事詩である「マハー・バーラタ」の一部であり、その第6章に収められている全18章700の詩編です。

無知を取り除いて真理を悟るための知識を説いた、最終解脱へ導く指南書であり、神との問答形式になっています。

 

【ハタ・ヨーガ・プラディーピカー】

編纂者はスヴァートマラーマ。紀元前1500年から1600年ごろに成立した、ハタヨガの哲学と実践のためのマニュアル書です。

各種行法で肉体を浄化しますが、その主な目的はサマーディ(没我状態=三昧)です。「アーサナ(体位)」「プラーナーヤーマー(調気法)」「ムドラー(印相)」「ラージャ・ヨーガ」の4章で構成されています。

ラージャ・ヨーガ(心の働きを統御することを対象にしたヨガ)を目指すための前段階、階段であるとされ、坐法を中心に紹介している経典です。

参考:Yoga Wiki「ヨーガ・スートラ ヨガをする人が読んでおきたい基本の教典

参考:FLARE PLUS「ハタヨーガプラディーピカーの概要・アーサナ一覧

 

ヨーガスートラはヨガを学ぶ人が読んでおきたい基本の経典

ヨーガスートラは四大教典のひとつで、サマーディに至るまでの教科書と言えるものです。

中心の内容である八支則を実践していくことで、より解脱に近づけ、体のみならず心も軽くなるかもしれません。

ぜひ、ポーズや呼吸法だけでなく、ヨーガスートラに書かれているステップ通りにヨガを実践してみましょう。古代インドより伝わる、本格的な学問に触れられますよ。


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