- 汗の成分と汗腺について
- 汗がくさくなる理由
運動や気温によって汗をかきますが、その際にどうしても気になるのが「汗のにおい」ですよね。
特に夏場は外にいるだけで汗をかくため、自分が汗臭くなっていないかを気にしてソワソワしてしまう方もいるでしょう。
また、運動後の汗のにおいは臭くなりがちですが、においの対処法だけでなく、根本からにおいを改善していくことがおすすめです。
そこで今回は、運動後に代表されるような汗のにおいが臭い理由、汗臭さの根本的解決法と、運動後の汗臭さを改善するために大切なことなどを解説します。
目次
運動後の汗が臭い? 汗に本来はにおいはない
元々、汗は無臭でにおいはありません。
汗を出す器官は「汗腺」と呼び、人間の全身にいたるところに「エクリン腺」という汗腺があり、脇の下や外陰部など体の限られた場所には「アポクリン腺」という汗腺もあります。
両方とも出た汗そのものは無臭ですが、エクリン腺はサラサラで透明な汗であるのに対し、アポクリン腺から出る汗には脂質やタンパク質が含まれており、薄い乳白色をしています。
ちなみに汗腺の働きは、発汗前の汗からミネラル分など体に必要な成分をろ過し、水分だけを汗として体外に出すことです。
汗が臭くなる3つの理由
以下の3つが、汗が臭くなる代表的な理由です。
- 皮膚の雑菌
- 腸内環境
- ストレスや疲れ
皮膚の雑菌
汗腺から分泌されたばかりの汗に皮膚の垢や油が混ざると、それを餌として皮膚の表面にいる細菌が活動を活発化させ、におい物質を作り出します。これが汗のにおいの正体ですね。
そのため、汗をかき出したらすぐにタオルでぬぐったり、日ごろから皮膚を清潔にしておいたりといったケアが必要です。
ただし、においを気にしすぎて過剰に皮膚を洗浄すると、必要な細菌まで洗い流してしまう恐れがあります。
その結果、返ってにおいを発生させる細菌が増える環境を作り出してしまうため、肌の洗いすぎや消毒のしすぎには避けるようにしましょう。
腸内環境
腸内環境が悪化して悪玉菌が増えると、腸では悪臭が発生します。
その悪臭は腸から血管に入り込んで全身に運ばれ、汗が分泌される際ににおいとして発散されます。
つまり、汗が臭いと感じる場合に便秘や下痢であると、腸内環境が悪化している可能性が高いと考えてください。
ストレスや疲れ
ストレスや疲れが蓄積しているときに出る汗は、エクリン腺からではなくアポクリン腺から分泌されます。
アポクリン腺は脇の下に多く存在し、その特徴は、毛根と直接つながっていることから毛穴の皮脂と混ざりやすい点です。
アポクリン腺から出る汗と皮脂が混ざると、つーんとした酸味ある強いにおいが広がります。
運動後の汗が臭い場合は汗腺の機能が低下している
筋肉などと同じく、汗腺も使われないと少しずつ衰えていきます。
汗腺をよく使い機能が衰えていない場合は、汗をかく際にミネラルなどの再吸収がきちんと行われるため、ほぼ水に近い状態でにおいません。
しかし、夏場にクーラーを常につけてたり、普段から運動不足で汗をあまりかいたりしない方は、汗腺の機能が低下します。
その結果、汗は余分な成分を含んでおり、ベタベタしたにおいのある汗になります。
通常のサラサラした汗とは違って乾きにくく、匂いのもととなる成分を含んでいるために、汗臭さの原因になってしまうのですね。
汗がにおわないようにするためには、汗腺の機能が低下しないよう普段から汗をかく習慣をつけることが大切です。
意識的に汗腺を鍛えるためには、2週間から3週間程度で機能が回復すると言われています。
日ごろの運動不足の解消に動き出しましょう。
汗臭さの根本的改善! 汗腺を鍛える3つの方法
汗臭さを根本的に改善するために、汗腺を鍛える方法としては以下の3つが代表的です。
- こまめな水分補給
- 運動
- 半身浴
こまめな水分補給
腸内の水分が不足すると、小さなコロコロとした便がでたり、しつこい便秘に悩まされることになります。
前述したように、便秘や下痢の際に腸内で発生した悪臭は血液に溶け込み臭い汗として全身から発散されます。
解消のためには、こまめな水分補給が大切です。
また、汗はそもそもがほぼ水でできているため、体が水分不足になると汗の水分量も減ってしまい、濃度が濃い汗になってしまいます。
その分においやすくなるため、やはり水分補給が大切です。
運動
日ごろから運動する習慣をつけて汗腺を鍛えていると、汗はほぼ水の無臭状態で体外へ排出されます。
おすすめなのは大きな筋肉を動かす筋トレのスクワットや、ウォーキングや縄跳びなどの有酸素運動です。
適度な運動は全身の血液循環を促進し、発汗を促します。
半身浴
なかなか運動する機会がないという方も、お風呂タイムを利用して発汗するようにしましょう。おすすめは半身浴です。
胸下までを36度から39度程度のぬるめのお湯につけ、15分以上そのままキープしましょう。
体の深部からじっくりと温まり、全身から汗が出てきます。
お湯から上がったらシャワーを浴びて汗を流し、タオルで水分を拭きとって、自然に汗が引くのを待ってから着替えてください。
のぼせやすい方は、お風呂に飲料水を持って入るとのぼせを予防できますよ。
運動後の汗臭さの改善のために大切なこと
運動後にどうも毎回汗が臭い、そう悩んでいる方は、汗臭さ解消のための基本ポイント2つを押さえられているか、確認してみましょう。
- 汗をかいたらすぐに塗れタオルでふき取る
- 制汗剤とボディシートを使い分ける
汗をかいたらすぐに塗れタオルでふき取る
汗は本来無臭であるため、汗をかいたあとに放置している間ににおいが発生すると考えてください。
つまり、汗をかいたなと思ったらできるだけすぐにぬぐい取ってしまうことがおすすめです。
汗をかいてにおい出すまでの目安は、約1時間。早めにぬぐい取り、においが発散されないようにしましょう。
なお、汗を拭きとる際にはボディシートや濡れタオルを使うようにしてください。
乾いたタオルで拭く場合、水分は吸収してくれますが、においの成分が皮膚の表面に残ってしまいます。
制汗剤とボディシートを使い分ける
【制汗剤】
できるだけ汗をかきたくない、もしくは汗をかく前ににおいの対策をしておきたい、そう考える方におすすめなのが制汗剤です。
あらかじめ肌に直接スプレーしておくことで、肌を引き締めたり汗腺を塞いだりして、汗を抑えられます。
出てしまった汗に対し、消臭効果がある成分を配合している商品もありますよ。
【ボディシート】
出てしまった汗を拭きとるための、専用のシートです。
ジムや学校、職場など、汗をかいた後すぐにシャワーが浴びられない場合にとても有効です。
次の汗がにおわないように皮膚表面を消毒したり、よい香りをだしたり、肌を引き締めたりする効果があります。
運動後の汗臭さは改善できる! 毎日の習慣にして継続しよう
運動後など、汗の臭さは自分でもわかるくらいに強く出るため、人目も気になりますよね。
もしも出てきた汗がベタベタしてにおいが強いという場合は、日ごろあまり汗をかかず、汗腺が衰えているのかもしれません。
まずはウォーキングなどの負荷の低い運動から始め、汗を出すことで徐々に汗腺を鍛えていきましょう。
また、汗はかいたあとすぐに拭き取ることで臭さを抑えられます。濡れタオルやボディシートなどを利用し、早めに対応してくださいね。
この記事に書いてあることを試して、それでもなお、においが気になるということであれば、その原因はアポクリン腺かもしれません。
一人で悩まず、病院の診察を受けましょう。治療で解決する可能性がありますよ。
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