- カボリックについて
- カタボリックの予防方法について
- カボリックに傾いた際の体の変化
筋トレをしていると「カタボリック」という言葉を見聞きすることが増えます。
日々トレーニングをする方にとってはネガティブなイメージがある言葉ですが、どのような状態かはっきり理解されていない方も少なくはないのではないでしょうか。
この記事では、カタボリックとはどのような状態か、カタボリックの原因と対策、カタボリック状態になることで受ける体の影響などを解説します。
筋トレ効果を落とさずカタボリックを防ぐ方法を解説しますので、トレーニングをされているか方もこれからトレーニングをする方もぜひ、参考にしてみてください。
目次
カタボリックは筋トレ用語では「筋肉の分解」を意味する
カタボリックは科学用語で「異化」という意味を持つ言葉です。
簡単に言うと、大きな分子を小さな分子に分解することを指します。
これが筋トレ用語では「筋肉の分解」という意味になるため、カタボリック状態というのは「筋肉がタンパク質に分解されている状態」のことです。
筋肉の分解「筋分解」とは
体内にエネルギー源が不足すると(お腹が空いた状態が続くと)、体は筋タンパク質を分解してアミノ酸にします。
アミノ酸にすることでエネルギー源としたり、新しい細胞の材料などとして再利用します。
つまり、体内で古い細胞と新しい細胞のリサイクルが起こっていると考えましょう。
このとき分解されるのは「体内の古くなったタンパク質」です。トレーニングや日常生活の刺激で新しく作られた筋肉が分解されるわけではありません。
カタボリックは毎日行われている
筋肉を肥大させ強くしようとしているトレーニーにとってカタボリックはネガティブなものです。
ですが、実際にカタボリックは体内で毎日のように筋肉の分解と合成を繰り返しています。
前述したように、カタボリックは体内リサイクル活動であり、一定の筋肉量をキープするために必要なことなので、それ自体は悪いことではありません。
カタボリックが問題なのではなく、カタボリックに偏ることが問題を生み出します。
筋肉を増やすことが目的である場合、いかにカタボリック(筋肉分解)を減らしてアナボリック(筋肉合成)を増やすかが重要です。
▼筋肉を増やすために必要なバルクアップについては以下の記事で詳しく解説しています。
カタボリックになる4つの原因とその対応策
カタボリックになる原因と対策についてみていきましょう。
筋肉を増やすためには以下の原因をできる限り排除し、アナボリック(筋肉合成)を優位にする必要があります。
- ストレス増加
- 過剰なトレーニングや長時間のトレーニング
- アミノ酸不足
- カロリー不足
ストレス増加
人はストレスが増加することで、体内の副腎皮質から分泌されるコルチゾールが増えます。
コルチゾールはストレスホルモンと呼ばれるもので、強いストレスを受けたときに分泌されるホルモンです。
名前だけ見ると悪いもののように思えますが、実際にはストレスから心身を守るために分泌される大切なもの。ただし、過剰に分泌されると体に悪影響もでてきます。
コルチゾールがもつ作用のひとつは、筋肉の分解です。そのため、コルチゾールが過剰に増えると体内の筋肉の分解が進みます。
適度なストレスは、人が生きるためになくてはならないものです。
大切なのは、ストレスを溜めないこと。そのため、こまめにストレス発散したり、疲れを感じたらしっかり休息をとるようにしましょう。
過剰なトレーニングや長時間のトレーニング
トレーニングは激しく、そして長くすればよいというものではありません。
オーバートレーニングになって心身が疲労すれば、カタボリックに傾いてしまいます。
トレーニングは1時間以内と決め、部位ごとにトレーニングを分けることがおすすめです。
もしも1時間以上トレーニングを続けるときは、一旦体を休め、おにぎりやバナナなどを食べてエネルギー補給しましょう。
トレーニーにとって大切なことはこまめな栄養補給と休息です。しっかりトレーニングして筋肉を増やしたいと考える方は、朝食・間食・トレーニング前後、就寝前などに栄養摂取をしてくださいね。
なお、オーバートレーニング症候群を避けるため、一度鍛えた部位はトレーニング後48時間は休ませることが大切です。
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アミノ酸不足
体は血中アミノ酸濃度が高ければアミノ酸を合成して筋タンパク質を作ろうとしますが、濃度が低いと筋タンパク質を分解し、アミノ酸を取り出そうとします。
つまり、血中アミノ酸濃度が低いということは、栄養が不足しているということ。
タンパク質やアミノ酸が効率よく摂れる、肉や魚、豆類、卵、乳製品などをしっかり摂取しましょう。
カロリー不足
摂取カロリーが低い場合も、エネルギー源を求めて体は筋肉を分解します。
食事制限ダイエットで体重が減るのはそのためですね。
食事を抜くというダイエットは簡単なうえに体重も減りますが、実際は筋肉が分解され脂肪が溜まりやすい体へと変化しています。
そのため、一時的に体重が減ってダイエットが成功しても、筋肉が減って脂肪が溜まりやすい体になっているため長く痩せたからを維持することが難しくなります。
カタボリックを防ぐために、カロリーの摂取を減らしすぎないようにしましょう。
どうしても体重を減量したいときは、糖質を制限して脂質をしっかり摂るケトジェニックダイエットがおすすめです。
▼ダイエットと栄養について以下の記事で解説しています。
カタボリックに傾くと体にある影響
体がカタボリックに傾くと、どのような影響があるのでしょうか。
代表的な影響は以下の3つが考えられます。
- 筋肉量と筋力の低下
- 基礎代謝の低下
- 体重の減少
筋肉量と筋力の低下
カタボリックに傾くと、通常に比べて筋タンパク質が合成される量より分解される量が増えます。
それはつまり、体内の筋肉量が低下するということであり、同じく筋力も低下するため体が思うように動かず、ケガが増える可能性が上がります。
疲れやすく、冷えも感じやすくなるでしょう。
基礎代謝の低下
基礎代謝とは、生きていくのに必要な最低限のカロリー消費のことです。
筋肉が収縮するためにも維持するためにもエネルギーが必要で、筋肉が増えると基礎代謝が上がり、減ると基礎代謝も下がります。
しかし、カタボリック状態では分解されて筋肉量が減るため、基礎代謝も低下。
基礎代謝が下がると体の中で脂肪燃焼効率が下がり、その結果、痩せにくく太りやすい体へと変化します。
▼基礎代謝と痩せない人の特徴について以下の記事で詳しく解説しています
体重の減少
同じ体積の場合、わずかではありますが、筋肉は脂肪よりも重くなります。そのため、筋肉量が減ると体重も減少します。
たとえば入院などで寝たきりになると、使われない筋肉が一気に衰え、立つにもリハビリが必要になることがあります。
入院中に食事をしていても体重が減るのは、使われない筋肉が衰え分解が進むからというのも一因です。
ダイエット中の方は体重減少に喜ぶかもしれませんが、実際にはこのとき、脂肪燃焼率は落ちて筋肉が分解されているわけです。
体重減少はしても筋力がないため疲れやすくなっていますので、基礎代謝が落ちて痩せにくい体になっていると理解しましょう。
カタボリックで筋トレ効果が台無しに? エネルギーを摂取しつつ適正時間でトレーニングを!
筋トレをして筋肉を強く太くしようとしているのに、カタボリック状態になって筋トレ効果が台無しになっては困りますよね。
カタボリックは常に体内で発生している現象ではありますが、通常より多くなってしまうと筋肉の分解が進んでしまいます。
体がカタボリックに傾く原因はさまざまなものがありますが、いずれも対策は可能です。
長時間の激しい運動はやめ、栄養補給と休息をしっかりとるようにしましょう。カロリーも適度に摂り、ストレス発散に努めてください。
せっかく鍛えた筋肉を減らさないよう、トレーニングのやり方や生活習慣を、定期的に見直してみることがおすすめです。
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