習い事として高い人気を誇るヨガは、リラックス効果、デトックス効果、ダイエット効果などさまざまな効果が得られることが知られています。
しかし古代インドにおけるヨガは、心の安定を得るために行う修行の一種でした。つまり、一番の目的はメンタルを安定させ、強化することだったと言えます。
では、なぜヨガがメンタルヘルスに効果的なのか、その理由をご存じでしょうか?
この記事では、ヨガがメンタルヘルスに良い影響を与える理由を解説し、数あるポーズの中でも特に心の安定に効果的なリラックス系ヨガのポーズを5つ紹介します。
心が弱っていると感じたときや不安を抱えているときに、ぜひ実践してみてくださいね。
ヨガがメンタルヘルスに良い影響を与える3つの理由
ヨガが世界中に広まり人気のエクササイズとなった理由のひとつには、メンタルを健全に保てることがあります。
なぜヨガはメンタルの健康に良い影響を与えるのか、理由は次の3つです。
- 呼吸法によって自律神経を整える
- ポーズをとることで「幸福物質」の分泌を促す
- 瞑想状態によってストレスホルモンを減らす
呼吸法によって自律神経を整える
ヨガにはさまざまな流派がありますが、いずれも呼吸法を重視しています。
呼吸法は瞑想効果をもたらす方法でもあるため、ヨガを続けることで呼吸が深くなり、自律神経を整えるのですね。
そもそも自律神経とは、循環器や消化器、呼吸器など、生きていくうえで基本的な活動を調整するために休みなく働いている神経のことです。
活動的なときの交感神経とリラックス時の副交感神経の2つがありますが、このバランスが崩れてしまうと心身にさまざまな悪影響を及ぼします。
ヨガで呼吸を整え深く息を吸えるようになると、自律神経のバランスが整い、交感神経と副交感神経のスイッチもうまく切り替えられるようになります。
ポーズをとることで「幸福物質」と「リラックス物質」の分泌を促す
ヨガのポーズに集中することで、脳内物質の分泌が促進されます。
中でも幸福物質と呼ばれるセロトニンと、リラックス物質と呼ばれるアナンダマイドの分泌はとても嬉しいもの。
心身ともにリラックスできるうえ、幸せな気持ちになっていきます。
【セロトニン】
脳から分泌される神経伝達物質のひとつで、精神を安定させ前向きな気持ちにさせる成分です。セロトニンは精神安定剤と同じ働きをし、気分の落ち込みやイライラ、集中力の減少などを緩和します。
【アナンダマイド】
アラキドン酸という必須脂肪酸のことで、牛肉や豚肉の脂肪にも含まれる成分です。アナンダマイドはサンスクリット語の「至福」が語源となっており、人体の神経機能を円滑に働かせる作用があります。不安神経症や不眠症、筋肉の硬直などを緩和します。
瞑想状態によってストレスホルモンを減らす
人はストレスを感じるとコルチゾールというストレスホルモンを出します。
ところがヨガの呼吸法やポーズに集中することにより、瞑想状態になり緊張から解放されます。「今」に集中できるため脳の負担が減り、ストレスが減少するのですね。
つまり、ヨガをすることでストレスホルモンを減少、緩和できます。
ヨガでメンタルを安定させよう! 心身がリラックスするポーズ5選
ヨガそのものがメンタルヘルスを保つには最適ですが、中でも特に心身をリラックスさせるポーズを5つ解説します。
- ハッピーベイビーのポーズ(アーナンダバラ・アーサナ)
- 魚のポーズ(マツヤ・アーサナ)
- ヤシの木のポーズ(ターダ・アーサナ)
- 胎児のポーズ(ピンダ・アーサナ)
- 針の穴のポーズ(スチランドラ・アーサナ)
ハッピーベイビーのポーズ(アーナンダバラ・アーサナ)
文字通りに赤ちゃんが楽しそうに手足を動かす姿を模したポーズです。下半身の力みを解き、ゆったりとリラックスしながら柔軟性を高めていきましょう。腰痛の緩和にも効果的です。
【ハッピーベイビーのポーズのやり方】
- ヨガマットの上に仰向けで寝転び、膝を曲げて両手で膝をつかむ。
- 両手で膝を胸に引き寄せたら、膝を胸の外側までゆっくりと開く。
- 膝が90度の角度になるようにし、両手で足裏の土踏まずを外側からつかむ。
- そのまま5回呼吸を繰り返す。
外側から足の裏をつかんだままで、左右に小さく揺れてもOKです。肩が浮かないように、背中全体をマットにつけましょう。お尻が浮いてしまう場合は、土踏まずではなく足首やすねを持っても構いません。
魚のポーズ(マツヤ・アーサナ)
魚のポーズをすることで呼吸が胸へすっと入りやすくなり、頭がすっきりします。また、小顔効果があるうえに、肩・首こりの改善にも良いポーズですよ。
【魚のポーズのやり方】
- ヨガマットの上に仰向けになって寝転び、手のひらは床へ向けて両手をお尻の下へ入れる。
- 肘と肩甲骨を内側へと寄せながら、胸を天井へ向かってゆっくり持ち上げる。
- 頭頂部を床につけて胸が一番高いアーチを作り、首から胸までを伸ばす。
- ゆっくりと深い呼吸を5回繰り返す。
大切なのはしっかりと胸を持ち上げることですが、無理に腰をそらさないようにしてください。また、頭頂部を床につけることで眩暈や吐き気を感じる方もいますので、気持ち悪くなればポーズを解きましょう。
ヤシの木のポーズ(ターダ・アーサナ)
ヤシの木のポーズは呼吸を整え心を落ち着かせる効果があります。両手を上げてつま先立ちになる簡単なポーズですが、肩こりには大変効果的です。
【ヤシの木のポーズのやり方】
- ヨガマットの上で両足を肩幅に開き、直立する。
- その場で両手をパッと広げ、息を吸いながらゆっくりと真上へ上げていく。
- 肩を落としたまま両手を上へあげて万歳の状態になり、次の吸う息でかかとも持ち上げてつま先立ちになる。
- そのまま3回呼吸を繰り返し、息を吐きながら両手・両足をゆっくりと下ろす。
両手を上げる際に肩まで上げてしまうと、効果を得られません。腕を耳から離し、肩を下げてください。肩ではなく肩甲骨を上げるイメージをするとやりやすいかもしれません。
胎児のポーズ(ピンダ・アーサナ)
胎児のポーズでは背骨の緊張をほぐし、腰痛の改善や便秘解消の効果が期待できます。
【胎児のポーズのやり方】
- ヨガマットの上に正座をし、そのまま上体を前へ倒す。
- 顔は左右どちらでも好きな方へ向け、両手はゆるくグーをつくって顎下あたりに置く。
- 全身から力を抜き、ゆっくり呼吸を繰り返す。
寝つきが悪いときなどに、ベッドの上でするのもおすすめです。
針の穴のポーズ(スチランドラ・アーサナ)
背骨と股関節をストレッチさせ、腰痛を緩和させるポーズです。股関節が硬い方は少し難しいかもしれませんが、目的はリラックスですので無理はしないようにしてくださいね。
【針の穴のポーズのやり方】
- ヨガマットの上に仰向けに寝転び、両足を揃えて膝を立て、両手は体の横に手のひらを下にしてつける。
- 左足首を右膝へのせ、左膝をできるだけ横へ開く。
- 両足の間から左手を通して右膝の上で両手を組み、右膝を胸へ引き寄せる。
- 頭と肩の外側が床から浮かないようにし、首を伸ばしてゆっくりと呼吸する。
- 左右を交代し同様に行う。
股関節が硬く右膝の上で両手を組めない方は、右の太ももで組んでも構いません。背中と床がつく面が多ければ多いほど、リラックス効果が高まります。
ヨガはメンタルケアに効果的! ポーズと呼吸でしなやかな心身を手にしよう
太古より、ヨガは精神を健全に保つ目的で行われてきました。
ポーズと呼吸に集中することで瞑想状態になるため、雑念を払いリラックスを手にできます。
深い呼吸を意識しながら、紹介したポーズをゆっくりと楽しんでください。続けるうちに、しなやかで健康な心身に変わっていきますよ。
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