- 運動と健康の関係について
- 運動が与える健康への影響について
- 過度な運動と適度な運動の違いについて
では、運動することでどのような良い影響があるのか、具体的にご存じでしょうか?
この記事では、運動することで得られる健康への良い影響や、適度な運動量の目安、過度な運動は健康に良くないという話は事実なのかについて紹介します。
いつまでも健康な心身で生活するには、適量の運動が必要です。
運動と健康の関係について知り、運動するモチベーションを上げていきましょう。
目次
運動と健康はどう関係するのか?運動により得られるメリット
運動することで得られる健康にとってのメリットは、大きく分けると次の3つがあります。
- 病気や怪我をしにくい身体になる
- 睡眠の質や脳の活性化につながる
- ストレス解消により心が安定する
病気やケガをしにくい身体になる
適度な運動で筋肉を動かすことで、病気やケガをしにくい身体を作ることに繋がります。
筋肉を使って伸縮させることで、筋繊維が強く太くなります。
そのため日常生活でしか筋肉を使わないと、あまり使わない他の部位の筋肉が少しずつ衰え弱くなり、筋線維が痩せてしまいます。
その結果、体力がなく疲れやすくなったり、病気やケガをしやすくなったりするといったさまざまなリスクが発生します。
普段、運動で筋肉を発達させている人は筋肉量が多いため疲れにくく、そのうえ運動によって摂取したカロリーをエネルギーとして消費します。
普段から運動している人は、筋肉量も多く代謝も高まっていますので脂肪がつきにくい身体になります。
体重が減ったり、腕や足のむくみが改善されたりするので、体が軽く感じるようになるでしょう。
転んだり、躓いたりといったリスクが減るため、ケガをしにくくもなります。
また、筋肉がしっかり動くことで血のめぐりがよくなるため、全身に酸素や栄養素などがスムーズに届けられます。
さらに運動中はエネルギーに変えるために酸素を取り入れようとし、呼吸によって肺などの呼吸器官が鍛えられます。
心肺機能が向上し、呼吸器官の不調による風邪や喘息の症状などを防ぐことも期待できるのです。
参考サイト:健康づくりのための運動とは | 健康長寿ネット
睡眠の質や脳の活性化につながる
運動することは体の内側にも良い影響を与え、全体的な生活の質を改善します。
たとえば血糖値を下げたり、睡眠の質を改善したり、脳の活性化といったことですね。
血糖値は血液中にどれくらい糖が含まれているかを表す数値です。
この血糖値が高くなると、糖尿病を始めとして体にさまざまな問題を引き起こします。
ところが運動をして筋肉を動かすと、エネルギー源として血糖が消費されます。高血糖を抑え、正常値を保ちやすくなるのです。
また、運動によって得られる疲労は、快眠のためには非常に重要です。
肉体疲労を解消しようとして、脳は休息を促します。睡眠の質は生活のすべてに影響するため、日中は適度に肉体疲労を得るようにしましょう。
さらに、適度な運動は脳の活動量を増やすことにもつながります。
運動をするとき、筋肉に対して動きの指令を出すのはわたしたちの脳です。運動の最中には、実は脳も活発に動いています。
参考サイト:運動と睡眠は、心身のバランスを整える重要な要素 | 都道府県支部 | 全国健康保険協会
▼運動と脳についての関係は以下の記事で詳しく解説しています。
ストレス解消により心が安定する
運動は心にも良い影響を与え、メンタルヘルスの改善に繋がります。
運動をすることで期待できるのは、ストレスの軽減・解消や自己肯定感の向上などです。
運動することにより血流が促進され、脳を含む全身の血のめぐりが良くなってホルモンの分泌を促進。
精神の安定やリラックス効果があるとされる、セロトニンやエンドルフィンと呼ばれるホルモンの分泌量が増えます。
- セロトニン・・・脳内の神経伝達物質のひとつで、精神を安定させる働きをする。
- エンドルフィン・・・脳内の神経伝達物質のひとつで、鎮痛効果や気分の高揚、幸福感が得られる作用がある。
参考サイト:「幸せホルモン(幸福物質)4つ」ドーパミン・セロトニン・オキシトシン・βエンドルフィンとは? – 国立消化器・内視鏡クリニック
定期的に運動すると、脳内でこれらのホルモンが安定して供給されるためにメンタルが安定し、ストレス耐性がつきます。
また、運動や筋トレではちょっとした成功体験を積みやすいので、自己肯定感の向上も期待できます。
最初より扱う重量が増えた、長距離を歩けるようになったなど、「できた」という達成感を積み上げることが自己肯定感の向上のためには大切です。
適度な運動が健康を維持する
「何事も過ぎたるは猶及ばざるが如し」と言いますよね。
運動も健康を害さないように、その人にあった適度な量であることが大切です。
では、適度な運動量とはどの程度なのか、過度な運動を控えるべきなのはどうしてなのかについて解説していきます。
適度な運動量とは
人は体格や持っている体力、運動習慣にそれぞれ個人差があるため、適度な運動量についてはっきりとした基準は設けられていません。
ただし、一般の方が自分の健康を改善したり維持したりするための運動と考えると、次の2つが基準です。
- 継続がストレスにならない有酸素運動
- 疲労や筋肉痛が溜まったままにならない無酸素運動
有酸素運動はジョギングやウォーキング、縄跳びといった酸素をエネルギー源とする運動を指し、無酸素運動はいわゆる筋トレを指します。
運動において大切なことは「正しいやり方」で「継続して行うこと」です。
一定の頻度で続けると、小さくても必ず成果を生み出すことができます。心身を追い込むような厳しい運動は控え、まずは「正しいやり方」で「継続して」運動してみましょう。
スタート時の運動強度の目安としては、「運動の途中で話しかけられても応答ができる」程度が望ましいといわれています。
運動の時間と強度、頻度は慣れるにしたがって徐々に上げていくことがおすすめです。
過度な運動がNGである理由
過度な運動は関節や腱に負担がかかりケガのリスクが高まるうえ、体内に活性酸素が増加します。
何度もジャンプをしたり走ったりすれば、誰でも膝や足首といった下半身の関節や腱にかなりの負担がかかるものです。
過剰な運動量で筋肉や関節を疲労させると、最悪の場合ケガに繋がることもあります。
一度ケガをしてしまえば回復までの間に筋肉が使えずに衰えるうえ、日常生活にも支障がでるでしょう。
また、運動によってたくさん酸素を吸い込むと、体内で活性酸素が増加します。
活性酸素は本来、ウィルスや細菌から体を守る大切な役割を持つもの。
ただし必要以上に増えると、細胞を酸化させて新陳代謝を悪くしたり、生活習慣病の要因となったりします。
日常生活にも大きな影響を及ぼすため、肉体が疲れ切るような運動はしないようにしましょう。
【2019年の研究結果】過度な運動をしても実際には健康リスクや死亡率に影響しない?
過度な運動量は健康リスクがある、そう言われていますが、実際にはどうなのでしょうか?
ここで2019年にテキサス州のダラスにあるクーパー研究所所長らが行った実験結果を紹介します。
これは非常識と呼べるほどに過激なトレーニング量をこなす人でも、健康的運動量をこなす人と比べ、死亡率や健康リスクに影響しないという結論がでた実験です。
参考:Athletes Performing Extraordinary Physical Activity (>10,000 MET∙Min/Week) at No Greater Risk of All-Cause or Cardiovascular Disease Mortality.
DeFina, L. et. al. 2019
2019年の研究結果
研究の対象は、日常的に運動をする習慣があり、過去に心臓病の疾患歴がない健康な男女2154人です。
このうち28%が女性で、平均年齢は52.1歳でした。
対象者を以下2つのグループに分けて問診、運動テスト、CTスキャンを実行。
そしてその後、10年間の追跡調査を行っています。
- 高度な運動量のグループ(2088人)・・・1週間に行う運動量が3,000~9,999MET×分の範囲内
- 過激な運動量のグループ(66人)・・・1週間に行う運動量が10,000MET×分以上
※METは運動によって消費されるエネルギー(運動強度)。10,000METをジョギングに当てはめると、1週間にフルマラソンを4回走ることと同じ程度の運動量となる。
追跡調査も含めた結果、2つのグループには心血管の疾患率やほかの原因による死亡率にも有意な差がありませんでした。
つまり、明らかに過度だと思われる運動をずっと続けている人であっても、適度もしくは高度な運動量の人と比べて「健康に悪い」とは言えないと発表されたのです。
ただし、これはあくまでも健康で一切心疾患を持たない人たちによる心血管の健康や死亡率についての調査です。
日本循環器協会によると、もともと心疾患を持っている方や本人に自覚がない隠れ心疾患患者では、過度な運動は病気を悪化させるとされています。
前述したように関節や腱への負担、疲労蓄積や筋肉痛による日常生活への悪影響は依然としてあります。
そのような意味では、やはり過度な運動は健康を害すると言えるでしょう。
適度な運動で心身の健康をキープしよう
日ごろ運動不足だと感じている方は、まずは歩くことからスタートしてみましょう。
そして普段から運動しているという方は、少しずつ運動の時間や頻度、強度を高くしてみることがおすすめです。
適度な運動量は、心身の健康に良い影響があると認められています。毎日笑顔ですごせるよう、生活に運動を取り入れてみましょう。
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